第1章 (C)
「水は無限でないのなら、水玉が通貨と使えるじゃない?」
もしも数百年の人が、ある円盤をひねって、水が長い円筒から出ることを見たら、きっと神の贈り物と思い込んでしまうのだろう。
皿洗いしたあとに、エルフに勉強の指導をしなければけないが、無限に流れそうな水の柱が、人を吸い込むように魅力的である。指導って言っても、その知識自体は難しいくないけど、なんとか頭の中から結びつく知識を、東部からの友人にやさしい連邦語を教えるのは、すごく大変だった。
へそくりをためて所詮500リンジー、ムーテおじさんに好意をしてしたらすぐもらえる額何だけと、チチを裏切る気持ちが、シアナにそんなことを拒ませる。ムーテおじさんとハハがこっそりとやっていることを、チチに伝えたら、必ずしも気分が良くなると思わない。むしろ、万が一、いや、おそらくチチの実の娘ではないことを明らかにしたら、周りの人に苦痛をしか増やさないのだろう。偽通貨のように、親子関係を鑑定する技術がまだ現れていないから、助かった。ウソの重ねで支えてきた紙風船は、未だに破ることなく、助かった。
「シアナ、水が溢れているよ。どうした、今日は?」
「…メイっち、食事のあとにストレッチしたら、体に良くなりそう」
「…ストレッチ?タイマン?」
「『東部大陸語で』ジッヘイじゃない、体を伸ばすことだわ」
「『東部大陸語で』伸びる?木偶の鼻のような伸び方か?覆水盆に返らず?」
「『東部大陸語で』それは比喩じゃない、文字通りの伸びるだ『連邦語で』神様よ、私を連れ出して!」
若女将がシアナの心の声を代わりに話した。
みんなが沼に落ちていく世界に、救い主がほしい。




