第9章 (6月4日)
6月4日。少女が予定していた仕事時間を減らし、早く上がりました。
「下ブルティーノ市に16.3万人でもあったのか。全然知らなかったわ。」
少女がシティホールで資料を調べています。
「議会の改選選挙は7月23日?広く知らせた?」
「バス停と広場にポスター掲示していると思います」
少女の後ろに女の人が通りかかって、突然ひと言さしはさみました。
「お会いした記憶がありますが…昨日の代理の先生を装う暴れん坊将軍お爺さんを呼び止めた方です?」
「申し遅れました。わたくし、アメリー・ラプノーは、公 共 教育省 が下ブルティーノ市に派遣した公民教育長官、ユベール・ルクレールの秘書です。」
「あのお爺さんは教育視学会議の委員長とかですか…」
「そうです」
「教員になりたかったら、客員教授とかになればいいですのに…わざと授業の邪魔しにくる公民教育長官なんて初めて見ましたわ」
「長官は抑圧されない心を持っていますが、教育者には向いていません」
「昨日のことを見たら誰でも同じ結論を出るかもしれませんわ」
「その他に、長官が最近になって、記憶障害とかがしばしば発生します。あと身だしなみに無頓着になったり、どこへ行こうとしていたのか分からなくなったりします」
「引退すれば?田植えの優しいお爺さんになりそうですわ」
「けれども長官は、次期の改選に興味を持ったそうです。」