第7章
「お嬢様はいいお嫁さんになれないと思う。せめて一つか二つくらいの料理の作り方を習得した方がいいよ」
ダメイドが雑巾でカーペットを強く擦りながら話します。
「うるさいわ。今やその考え方に適した時代じゃないの。将来、お湯を茶碗に入れただけて食べられるパスタが現れるかもしれないわ」
少女が壁にかかった電話に向かいます。
「頼んだ出前が届いてきたわ、黒い翼の生えた、食いしん坊ちゃん。今日はクリームましましだよー。けどシノワ料理というのはあっさりした味付けだ。これだと太らない?」
「余計なお世話だ。その呼び方もやめてもらえるかしら?」
少女は慌てふためく正面玄関に駆け付けました。シンメイさんがバケツを持って立っています。
「ったく、連邦人の食習慣に従ったら、私、毎日一万回縄跳びしないと体に負担がかかるわ」
「純正シノワ料理こそ味がないわ。野人の食べ物っぽくて…ごめん」
少女は微笑みながら1枚の銅製硬貨を出すシンメイさんを見て、ビビったようです。
「それで、こんなになったら、どうするつもり?」
シンメイさんが柵を指差して、少女に聞きます。
「前代未聞のこどだし…様子を見ながら進める…じゃない?」
「お大事に」
「头戴着~翡翠冠~宝玉明珠嵌着双龙游戏~身披上~香云锦…(中華芝居、翻訳しません)」
シンメイさんが歌いながら身軽にぴょいと跳びあがって、魔王城から離れます。
「気が強いシノワの小娘だね。お嬢様より魔王という身分にふさわしいかも」
ダメイドは雑巾を絞りながら、外に注目します。
「你触了例规难活也~」
シンメイさんが戻ってきて、ダメイドに指差しました。
「どうしたの?シンメイさん」
「…あ、友達として、工賃はゼロリンジーだけど、食材費だけもらっておくわ」




