第2½章
何事も知らず、何事も知ろうとしない、知るべきことはすべて知ったと思い込んでいる人は常にたくさんいます。
「彼は言った。「世界を救うには、決して人の数で決まることではない 」と。」
形のない「彼」は立ち去りました。しかし少女が呼び起こす記憶は、恐怖、無力感、逃げ出したいという望みばかりでした。
歴史は過去に発生したことを、あまりにも多く隠してきた。私たちは今、名作に描かれた時代から遠ざかる真っ只中にいます。
少女が魔王城の前のバス停で、どこにもつながらない遠くをぼんやりと見つめています。
「この街は次第に私の知っている街ではなくなってきた…」
この一瞬で、少女があたかもネオンライトで照らされた魔王城にガラス製のカゴが繰り返して上がったり下がったり、庭に赤く塗った「シェアリングバイク」と書かれている自転車がたくさん並んでいたりすることを見ました。
想像力が乏しければ乏しいほど、憧れは強くなります。
人の恨みを最も奮い起こすのは、往々にして自分自身の運命なのですから。
「いつかバスは四角くなるのだろうかしら?」
黄色いガスライトが消灯しました。朝の霞が少女を現実に引き返してました。




