第1章
「ここまでは順調…」
泥のように眠ってきた少女が何だかの音に起こされました。
「また魔王城の外から騒いだのかしら?」
少女が窓外を眺めていると、月明かりに照らされた二人組が羊をロープで引っ張って、魔王城の庭を歩いています。
「どこからの羊飼いかよ、羊を放し飼いにしたいなら別のところに行きなさいよ」
少女が2人に腹を立てさせます。
「ここは私有地だ。部外者は立ち入りべからず」
意気揚々としている女の子が適当に打った木製フェンスを指差して、ドヤ顔で言います。
「じゃ私はどうやって魔王城から出るのかしら?」
「おほほほっ、鬼じゃないからよー、通行権くらいはあげる」
「姫様、これはさすがにやりすぎではないか…」
「嫌な鳥が現れたなあ。かかしでも置こうかな。ロッテ、お前はここに立って、問答無用だ!」
「…」
「もう眠気がなくなった…お互い一歩譲ったらどうかしら?」
「和解は弱い奴がするもの~大事なことは2回言う、当然のことですの」
「とても意地悪じゃないかしら?どっちが魔族か分からなくなってきたわ」
「油断したな魔族よ。お前の寿命が尽きる時、それは今日!」
「このムカつく感じ。けど、体の循環がよくなる…ありがとう、腹ごなしの姫様」
少女が争いをやめ、二度寝の準備をします。
「下げなさい、この汚いけもの…服をかむな!」
「ああ、ダメイドが間違った。魔王城AKAルプレイヌ=ド=メ保育園じゃないかしら?私は最低のお人好しなのだから。」
「姫様はバカだけど、と~ってもいい子なの!魔王様、助けてください」
「だから魔王じゃないっていつもいってんの」




