第13章 (5月2日)
壁にカレンダーが掛けられていて、5月2日のページが表しています。
「えっ、ここは?私、着替えている…」
扉が開かれました。
「おはよう姫様、私のベッド、どうだったかしら」
「シンメイさんのレストランに来てからのことは覚えていない…」
「あら、これは医者にいくべきかしら、昨日シアナがお泊まりを誘ってあげていて、シアナと深夜まで枕投げをしていたじゃない」
「そういえばシアナさんは?」
「銀行へお使いに行かせた。昨日、切符が切られたじゃない」
「ごめんなさいシンメイさん、お金は後で弁済するわ」
「だからいいって」
「あ、今は何時だったの?」
「△時すぎたくらいかしら」
「あかん!私、バイトあるの」
「あらら、姫様は姫様らしくないわ、今日は出前をやめよう、私の自転車、使っていいよ」
「シンメイさんありがどう」
少女が全力で自転車で走って、「デリ・シー・ピザ ルプレイヌ=ド=メ魔王城店」という看板のある店の前に止めました。
「おはようございます、シアボーネさん」
「おはよう、ユージェちゃん。ユージェちゃんって遅くない?キャロルちゃんはもう何回も出入りして来て、大変だったよ」
「ごめんなさい、ダブル分を頑張るわ、それよりシアボーネさん、見て見て、私、自機免許を取れたの」
「本当?ならより早くお客さんに届けそうだよね。手間を省いた分、給料に増してあげるぞ…どれどれ?あ、これ、講習を受けた印鑑をもらわないとと効力がないぞ。すぐに役に立たないのね、今度の休み、講習を受けてきたらどうだい?講習料はお給料の前借りで」
「講習もいるのか…やっぱり今回はやめます。私、友達の自転車で配達してくるわ」
「いってらっしゃい(…あの自転車って…ああ、シノワの娘と仲良くなったのか)」
少女がお店を出て数十メートルの後、再びお店に戻りました。
「あ、シアボーネさんごめんなさい」
「だろうね、お客様の住所もメモせずに行っちゃったから」




