第5½章
少女が郵便局を出たとたん、郵便局員の制服姿の女の人に呼び止められました。
「ジェニーちゃんだよね。クレールの同級生?私はクレールの姉だ」
「ああ、そうですか。お世話になっております。ガルデさん」
「違うよ。私はエステル。そして苗字はサブレだ。離婚した前の父の苗字だ。私のほうが連れ子だった。あはは、話がずれた。ところでクレールは学校でどうだった?」
「成績は普通でしたわ。彼氏もときとき学校に来なかったらもっと良くなるかもしれません」
「私よりモテモテだね。」
「ね、サブレさん、その時に居たでしょ?どうしてあの人を止めませんでしたの?」
「この年になったら誰でも分かる。すべての議論を覇権争いにしないこと。屈服するのが弱い人だとは限らない。それどころか、それが賢明だと思う」
「それが賢明かしら?」
「私たちはもろくて弱いから、多かれ少なかれね」
「…銃弾に撃たれたら死ぬもろさだわ」
その後しばらく、少女と女の人が言葉を交わず、まるで心が通じ合うように一緒に空を見上げました。薄明るい空に、いくつかの星が見えてきます。
「その翼、触ってもいい?」
「いいですわ」
「あ、触り心地よいね。ふわふわだ」
「くすぐったいですのー」




