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第4½章
「帰ってきたわ」
「おかえり。卵を産んでくれる?」
「何を言っているんですか?シアボーネさん」
「鳥のような翼をもっているから、ニワトリようなたまごがくれるとも思ったねー。たまごを買い忘れて、足りなくなったから」
「そういえば、食品衛生検査官って最近こないですわ」
「ユージェちゃん、今日は冗談が通じないじゃない。嫌なことでもあった?抱かれたい?」
「労働監督官補にハラスメントを受けたって告発するわ」
「何でもない。忘れていいよ。お疲れさん」
「お疲れさま」
「ジェニーちゃんは?」
「ああ、ミシェルくんか、ジェニーちゃんも行っちゃったよ。もしミシェルくんが便座との付き合いが短くなったら、会えたのにね」
「今日は最後の日だから、あまりやる気がでないよ。ごめん、店長。親戚が紹介してくれた鉄道の電報発報員の仕事がこの仕事よりよほど魅力があるから」
「わかる。国営企業だから、パートでも待遇がいい」
「電話だ。受けてくる。キッチンに入る前にもう一度ちゃんと手を洗ってね」
「分かっているって」




