第3章
「西から東に自転車が1人」
「東から西に自転車が1人」
両側に4、5階の石造建物が並ぶ狭い石畳みの道に、1人の女の人がノートに何かを書いています。少女がピザ配達用の自転車で通るたびに、二言三言ささやきます。
「待って!画を描く邪魔になったら声かけほしいわ、まわり道しますから」
「勘違いさせてごめんね。自分の店を立ち上がりたいから立地を選んているんだ」
少女が女の人のノートにある『五十川』に目を引かれました。自分のミドルネームにある『五』の形が同じですから。
「ル・セジュール・リキードのお姉さん!」
少女が女の人との接点を思い出しました。
「あ、ボッチ魔王…ド・ルプレイヌ=ド=メさんだね。私はレア・イラガワ。ボッチ…ド・ルプレイヌ=ド=メさんの言う通りル・セジュール・リキードで働いているけど、自分の店を立ち上がりたいから、オフの日に立地を選んているんだ」
「何のお店にしたいですの?」
「マッチケーキの店だ。マッチのように燃えるにケーキのように食べられるものを売る店だ」
「破産手続きをよろこんで代理しますわ。あ、そういえば私をサツキと呼んでいいですわ。…ね、この記号ってどういう意味ですか。」
「サンクだ」
「解答ありがとうございます。…なんか冷たいですわ」
「タテマエとホンネがあるんじゃない?そうか…連邦人にそういう文化がないのか。要するに、第二の人格が出たから」
「オー、さっぱり分からない解説ありがとうございます。」
「フォーの匂いがするね。けとピザ屋でしょ?これは興味深い」
「ピザがいかがでしょうか。ほら、チラシ、毎度あり!」
少女がチラシを女の人に渡すときに、眉をひそめました。
「私の第3、5、7、11の人格が勝手にしちゃったからお詫びしますわ」




