第11章
オノレ大通りの横断歩道に、テンダム自転車が止まりました。
「オノレ大通りを通る時には、きちんと表示板に従うのよ」
「『止まれ』くらいは分かっているって」
「朝通った時には、シアナが信号無視したわ」
「シアナへの愛は止められない。行くんだ!」
「待ってまってまって。警告!止まれ!いい子はそんなことしないわ」
「余計なお世話だ。僕の母じゃないんだ。」
「いいから止まれよ」
少女が全力を尽くして、ハンドルを握った翼を振ります。回り始まった後ろの車輪がどんどん宙に浮いていきます。ペーパーカッターのレバーのような角度になった時、テンダム自転車がまた傾いできて、二人を地面に転がせます。
少女が呼吸も速くなって、振り頻度もあげて、ようやくテンダム自転車180度回転して、横断歩道の逆方向に着陸しました。
「何をしているんだ?」
猛スピードで貨物輸送の行動機械が通りすぎました。
「…ありがとう」
「『行け』になったから、行こう」
ボーマノワールさんがテンダム自転車の方向を変えようとしている時、憲兵の行動機械が警笛を鳴らしながら猛スピードで通りすぎました。
「こちらこそノロノロでありがとう。『行け』になって、左右をきちんと見てから、行こう」
「ありがとうを言ってくれてありがとう」
「さあ、早く行こう」
「左…異常なし」
「こんな時にはノロノロでなくてもいいわ」
「右…異常なし」
「出発…また『止まれ』になった」
「降りるわ」




