幕間6
「何をしている?」
「夜逃げの準備だわ。正々堂々と長野崎に行けるでも思った?」
「フェリーに乗ってモト島に行って、またフェリーでココノ州にいけばいいの話だ」
「…いいか?50ヘルツと60ヘルツのエリアに行き来するには、通行手形が必要だわ」
「通行手形を取ればいい」
「あなたは何もわかってない。60ヘルツエリアに訪問学者?ハードルが高すぎるよ」
「あと一緒に考えてよう。」
女の子のそっくりさんが妙な踊りをし始めました。
「ダックダックで見た踊りだ。男子に心を鷲掴みにして、惹きつけてしまうらしいぞ」
「男子がキノコで心を鷲掴まれるならまだしも。それにダックダック?スカルも置いて、ロウソクでも燃やしたらもっといいかしら?バカにしないで頂戴?雑誌で紹介した黒魔術なんかじゃないわよ」
「スマホを持っていないのか?…何でもない」
女の子のそっくりさんが玄関にある黒電話を見て、気落ちてしまいました。
部屋隅っこの目覚まし時計が鳴りました。
「あ、そうだ。1.5倍特売の時間だわ。レプリカ、一緒にくる?」
「1.5倍特売とはなんだ?」
「2枚配給券を3枚に使えるってのこと」
「行動機械でも持ってるのか?」
「行動機械、うん。この世界では中学校を卒業したら必ずもらえるんだ。でも冬の燃料配給券が家に優先的にしているから、あまり使わないけど」
「羨ましい。モペットでさえ乗られなかったから」
「燃料配給券が…今夜は裸で抱き合って体力温存だわ」
「それは羨ましくない」