第1章 (5月29日)
「人質司法というものが私も嫌いだわ」
少女が取調室で女の人に声をかけました。
「…」
「人為的に作り出された困難や障害は、事実や証拠が重要でないと感じさせてしまう。」
「…」
「衛兵隊に捨てコマとされたこと、悔しいでしょうねぇ」
「…」
「気軽に言えることじゃないかもしれないけど…両親を探す努力もしてるわ」
「魔王の…両親?」
「魔王と言っても、銃に撃たれた死ぬものだ。」
「ごめんなさい…」
「そう言えば、戦時中にいろんなドリルを使って、銃の生産に手伝ってきたの。多分、ブルティーノの子供たちは銃工場の場所を知らない人はいないと思うわ」
「…」
「信じられなかった…私にも銃の製造に手伝うことを」
「…」
「あなたの心の盾が頑固だわ。私に分けてほしいとお願いしたいくらいに」
「…」
「最もチカラを持つことは、私にとって重要ではない。夜、横になって眠りにつくときに”本当に素晴らしいことをしたんだ”と言えることが、私にとって重要なことなのだ。」
「…」
「すべての乙女のこころの中には、踊りたいと願う白鳥が眠っている。その一羽の白鳥を救うことは私の今日の”素晴らしいこと”にしたいわ。私を代理人として、私が処理してあげようか」
「…」
「私に奉仕せよ、私の盾となれ…ってお願いしたいとしても、強要しないわ。自分の心に従いなさい。」
「…やります」
「あなたの代理人としての書類を準備してくるわ」
少女がミノさんと話しています。
「被害者であって、加害者の代理人であって、慣習法の世継ぎでもあって、まるでトリニタスだわ」
「新しい宗教を開拓して、集金したら簡単に魔王城の税金を解決できるのにね」
「私は多い借金を背負ったとしても、賭博場に行って夥しいリンジーを稼ごうとしないわ」
「次はどうする?」
「とにかく、明日は新しい日だ。」
少女が委任状を書いています。
「…権限を委任します。 △△年5月…29日」
5月29日。