幕間5-1
神様にかじられたリンゴのように、誰にでも欠点はあります。神様がその香りを特に好みのあるからこそ、より欠点の多い者もいます。
峰室のある団地の一室で、女の子が家に帰ります。
「清めよ!」
玄関に入ったら、女の子とそっくりのもう一人の女の子が、箸より太くて黒い棒を持って変な言葉を繰り返しています。
「ばかばか!」
女の子が自分のそっくりさんに棒を指されました。
自分が有線テレビを契約しないが、女の子が一瞬、町のレストランで有線テレビでよく見かける戊蔵特別市のドッキリ番組でもこの僻地まで来ると思いました。
「忘却の魔法が効かない?あれ?今日学んだばっかりなのに…」
「それ、魔法かしら?そんなに簡単で魔法が使えるのなら、極東の研究所の連中はみんな失業して、朝張あさばりの鉱場で働きされたわ」
ついにツッコミをしてしまった女の子が、自分のそっくりさんが着た制服に “五月原”の名札が縫われています。
「私もサツキガワラだわ。親戚といっても珍客だもの。峰室まで訪ねて来たら、先に手紙と電話をくれたらいいのに」
「峰室?長野崎じゃないのか?」
女の子がすでに他界した萩内教授が提出した他世界干渉仮説を思い出しました。
先に別の研究の職で採用されなかったら、興味深い萩内教授の研究を引き継ぐのでしょう。
「ねぇ、これからいう事は信じがたいかもしれないけど…」




