第9章
「ウルフ・ユニ・ヴェロ!」
「シアナって本当に陰晴定まらずだったわ」
「そういえば、うちたち、いつの間にルプレイヌ=ド=メ区に入ったっけ?」
「オノレ大通りをすぎたくらいかしら」
「メイっちって土地鑑だね」
「ねね、姫様、どうしてシアナを出前に行かせないのを知っているかしら?この方向音痴が一度出かけたら世界一周しないと帰り道が見つからないわ」
「あははっ、シアナさん、もっと頑張ってください」
3人がウルフ・ユニ・ヴェロのショーウィンドウ前に立っています。
「この店主、死んだ?うちたちがせっかくテンダム自転車を届いてきたのに」
「店の中にいなければ、裏の自転車ガレージにいるかも」
「姫様って詳しいね、常連さんだったかしら」
3人がテンダム自転車を店の裏にあるガレージに押して行きました。そこで、一人の男の人が自転車をハマーで叩いています。
「レイトさん、こんにちはー」
「あら、ユージェちゃんかい。俺がチューンした自転車は走りにくかったかい?」
「走りやすかったよ。でも、今日は別の用件にきたの」
「オーナー、これ、受け取れー」
シアナがテンダム自転車のハンドルをレイトさんに手を放しました。
「痛てぇ」
「ちょっと、バカシアナ、なにをしているの」
「所有者に返すこと」
「あっ、これか、これがユージェちゃんの用件?このテンダム自転車はアドリーゼに頼んで運んできたはずが…」
「アドリーゼって奴は誰?うちたちはリンジャーっちに頼まれたんだ」
「アドリーゼさんは今日あっていないわ」少女が返事します。
「このバカ息子…今度は懲らしめるんだ、ありがとう、きみたち」
「恩を返すなら何かを奢って」
「バカシアナっ!もう行くよ、ごめんなさいレイトさん、私たちはこれで」
「いそがなくていいぞ、つけでもいいぞ」
「もう行けー」
「レイトさん、では失礼するわ」少女が挨拶をして立ち去りました。




