第8章
「未だに信じられないわ、まさかこのまま自機免許が取れるなんて」
少女がピカピカなカードを握っています。
「うち、凄いのだろう、えへ」
「ほら、まだこのテンダム自転車を返却しないといけないだわ、私もベタベタしたわ、早く家に寝たい。あら、そんなに飛べたいなら姫様、ここで飛んでみない?免許も取れたし」
「でも…シティホール周辺って飛行禁止区域じゃないの?」
「大丈夫だ、うち、ムーテおじさんに言ってこよう?」
「やはりここはシンメイさんの言う通り早くテンダム自転車をリターンしよう」
「へー、つまんないー」
少女とシンメイさんが真ん中のシートにシアナさんが座っているテンダム自転車を押して歩いています。
「おそーい、もっと早く押して」
「シアナムシも手伝いなさい」
「シアナさん、さぼるのは悪いことわ」
「えー、やだ、だってメイっちが方向をコントロールしているし、翼っちが後ろに支えているし、うち、立つ場所ないじゃない、まさかうちがナマケモノのようにボディを掴むほうがいいのか」
「どうやってその発想が出たのか」
「シアナさん…私、限界だわ」
「姫様っ!」
シンメイさんがテンダム自転車を捨て、少女の傍にダッシュしてきました。
「ぐっ」
テンダム自転車が倒れました。
「ちょっと、ひどくない?」
「少し黙ってシアナ、姫様が熱中症だそうわ」
「早くいえばよかったな、メイっち、一緒に翼っちをテンダム自転車に乗せて」
「いいえ、こんな時は陰のある木の下に休憩をとるべきわ、テンダム自転車なんてしばらくここに放っておいておこう」
少女が2人に木の下にあるベンチへ運ばれました。
「アイスコーヒー買ってきたわ」
「メルシーメイっち、早くくれ」
「あんたにあげるものじゃないわ」
「…シアナさん?ここは?」
「ラングラード川 迷子センター、お子様を取り戻したいならお金頂戴」
「それは誘拐だわバカシアナ」
「テンダム自転車は?」
「心配しないで姫様、こんな地方で無くすわけないわ、ほら、コーヒー」
「ごめん、シンメイさん、私のせいで…」
「だからその考え方はやめてって、私たちもう長い親友だわ」
「はい、親友、コーヒーまた買ってー」
「あ、葉っぱにも水分が含まれているのね、ねね、シアナムシ、口開いて」
「やだー、気持ちわりー」
3人はテンダム自転車が残されている場所に戻りました。
「この車両は〇年5月1日□時×分に放置違反が確認されています…50リンジーもするのっ?!私、こんなお金はもうないよ…」
「うそ、こんな地方でも切符がくるの?ごめん、姫様、私が全額を肩代わりするわ」
「メイっちってバカ、最初に翼っちを載せたらいいじゃん」
「もう発生済みなことは戻せないわ、シアナ黙ってってなさい」
「メイっちの責任だ、うちが引き受けないぞ」
「はいはい、メイっちが責任をとるわ、この辺の憲兵は暇すぎだったのかしら、、あぁあぁ、だから公務員って嫌いわ」




