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第2½章
「キャロルさん、おはよう」
「あ、ジェニーちゃん、交代するよ…ところで、ジェニーちゃんも上がったら新聞を見た方がいいよ、だってジェニーちゃんが新聞に載ったし」
「わかったわ…でも一体…ヤーノスさんだったのか…ありがとうキャロルさん、見ておくよ」
少女が自転車を乗ってジャン・ジョレ広場を通る途中、レベスクさんに呼び止められました。
「ちょうどよかった、ド・ルプレイヌ=ド=メさん。売り残りがあるから、1部あげるよ…いいなあ、私も一度新聞に書かれたいなのよ」
「…レベスクさん、ありがとう…けど新聞の話題にされると困るわ」
少女が新聞をもらいました。1番目の特集のタイトルには
「自由にしないでくれ、私が何とかするから」
と書かれています。
「ヤーノスさんってすごいだわ…本人が読んだとしても、涙が出るくらい、悲しい感情を煽っている文字が踊っている…」
「この世界にはきっと善があり、そのために戦う価値がある…」
我を忘れるまま、いつの間にか夕陽が少女の顔に照らしました。




