第7章
「今日は人が少ないな」
少女が二人と別れたあと、10年生の教室に向かいました。大きな蓄音機が教室の中心に置かれていて、机と椅子が周りに散乱してあります。
「今、わたくし、サン=エティエンヌ=ブルティノー王国の臨時首相ジャン=マシュー・ガリポーは、王国の国民および魔王を代表し、この日から、自由、正義、公正の原則に基づき建国されたサン=エティエンヌ=ブルティノー王国は、魔族、人間を問わず全ての国民の福祉と幸福を常に求めるよう誓うことを宣言する。何が起ころうとも、レジスタンスの炎が消えることはない!」
「おーい、ガチ魔王が来たわよ」
「っ!」
「おはよう、ガリポーさん、レグヴァンさん。あら、ガリポーさん、レコードでも持って来た?」
「おっ、おおー、おはよう、ド・ルプ…ペインドマイさん」
「焦っちゃだーめ、おはよう、ド・ルプレイヌ=ド=メの魔王姫」
「あの…今日は授業日なんじゃないの?」
「聞いていなかったのね、魔王姫…先日の授業で言ったじゃない?当面の間でまともな授業がないわ」
「そうなのか…ありがとう、レグヴァンさん」
「魔王姫、あたいは、あなたを気に食わないのよ。運命から逃げられるでも思ってる?ちょっと抜けてる天真爛漫のフリじゃ、なんの盾にもならないのよ」
「どうして…」
「やだ~悪役やっちゃったよ~。マシューくん、あなたが慰めて上げてちょうだい?」
「ああ…ド・ルプレイヌ=ド=メさん、レコード録音でも遊ぼう?実家のスライムでできたレコードだから、あげてもいいよ」
「ごめんね、ガリポーさん、今はそんな気持ちではないの…」
「バガだよね、あたい…人を傷つけるのは許されないことだと分かってたのに…わかってたのにね…」
「100リンジーならド・ルプレイヌ=ド=メさんの笑顔を買える?」
「いただく!」
「お金なんかじゃ、人の心は買えやしないと思ってたわ…」




