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霊感商法のカモ関連

街金とトラブルになりブラックリスト入りしたようです。実家のポストに闇金業者から営業の手紙が届くようになりました。

作者: 佐々木 龍

 タイトルのとおりのお話なんですが、ちょっと前置きをしておこうと思うのです。


 何でこんな不穏な昔話をしようと思ったのかというと、最近、なろうの先輩がエッセイで「街金の借金を帳消しにできるハッカーがいるという噂があるけど、どうなんだろうね」という事をおっしゃってて。

 そんで、街金という単語を見て、記憶の彼方から悪夢が呼び起こされてきてしまって、眠れない週末の夜を過ごしているのです。というわけで、極めて自己都合で語られる文章である事を、おことわりしておく次第で。


 そもそもなぜ二十代前半のころの私が多重債務者になり(銀行二社から計100万、ショッピングのローン約150万、街金から20万、知人二名から57万)、闇金にまで名前や住所を知られるような人生になっちゃったのかというとですね。それらの借金の全ては、元々は母親が信仰していた、カルト教団でこしらえたものだったのですが……簡単に言うと、霊感商法のカモになってたからなのです。

 ちなみに現在は、カルト教団や借金とは無縁の、平穏な生活をしています。


 霊感商法の定義について、確認しておこうと思うのですよ。みなさんご存じ、ウィキペディアから引用します。(以下、引用・抜粋)



霊感商法れいかんしょうほうとは、霊感があるかのように振舞って、先祖の因縁や霊の祟り、悪いカルマがあるなどの話を用いて、印鑑・数珠・多宝塔などを法外な値段で商品を売ったり、不当に高額な金銭などを取る商法である。警視庁などでは悪徳商法の一種として定義している。


法的解釈

法的にみれば悩みや苦しみを抱えている者などに対して、霊界など科学的な根拠もないことを言って勧誘したり、霊視を口実に人を集めたり、演じたりなどして(人の宗教心や超自然的なものへの畏れなどを利用して)高額な金銭などを支払わせた相手方に対しては、1.公序良俗に違反する違法な行為(民法90条)、2.詐欺・強迫にあたる行為(民法96条)、3.不法行為(民法709条(大阪地裁平成10・2・27判決)により、代金の返還・損害賠償請求ができる。

(引用・抜粋おわり。2022/02/12閲覧)



 ちなみにウィキペディアの「霊感商法」コーナーの大部分が、私をカモにした教団が起こした事件の記述で占められていて何か、笑っちゃいました(笑ってる場合ではないが)。なぜって、書いてある被害報告のほとんどに、親子で引っかかってたもんだから。我ながらマヌケだなあと思って。


 さて、何で街金というか、トイチに手を出したのかという話をしようと思うのです。こんなタイトルのエッセイを読もうと思った読者の期待に、応えることができれば幸いなのです。では始めましょう。


***


 ある日、信仰していた教団の祈祷会(きとうかい)に参加していた時の事です。祈祷会というのは、毎晩21時くらいから始まる、教会の指導者(出家信者)と一般の信者(在家の信者)の集まりなのです。

 活動内容は主にお祈りで、世界平和を祈ったりしていました。時代は2000年代の始め頃だったのです。その頃の教団というのは、今はどうなってんのか分かんないんですけど、信者からムチャクチャに献金(けんきん)を徴収していたんですね。「今月の目標は、1億2000万円です」とか言って。献金っていうのは、寄付とかお布施の事です。


 で、その日の祈祷会でもフツーに(異常だが)献金の話があって。いつもどおり深夜0時を過ぎた時点で、これ以上いたら明日の仕事に響くし、もう帰ろうかな~なんて言ってたらですね。出入口の扉の前で、教育部長だったか婦人部長だったか、とにかく教団の幹部の誰か忘れちゃったんだけど、一般の信者が出ていくのを塞いでですね。


「今から、金策してください。めどが立った人は、報告して帰ってください」


 こう言うんですね。で、私たち、軟禁だか監禁されちゃったんですね。タウンページ配られて。その頃の私は、十九歳で親元を離れて、信者の家の一室の下宿人の身分でですね。その一緒に住んでいた信者のオバさんと、他のオバさん信者達と一緒にいたんですが。「どうすんの、これ以上借りるとこ無いよ」なんて話していたんですね。みんな、銀行からめいっぱい借りているという状況で。

 するとそんな私たちを見て、ある信者がこう言ったんですね。


「私、いいとこ知ってるよ。トイチだけどね」って。


 で、みんなそこで借りようという話になって、金策が終わりようやく帰ることが出来たんですが……


 次の日ですよ。その街金は、市内一の繁華街の入り口にある、ビルの一室にありました。おそるおそる、オバさんたち計五名(母親含む)と一緒に借金を申し込んたんですが、なんだろなあ。中尾彬似のオジさん一名と、事務のオバさん一名でやってる、小さな事務所でした。そんで私は、一人20万のノルマのうち、足らない分の18万円を借りようとして、中尾彬似のオジさんからこう言われたのです。


「18万だったら、そこから10分の1、手数料貰うよ」と。


 それじゃあ足りないよと思った私は、こう言ったのです。


「どうしても18万必要なんです。では、20万円貸してください」と。


 そして目の前で、借りた20万円の中から2万円が引かれ、18万円を手にしたのでした。これが、トイチといわれているものの実際なのでした。


 結局、2万円ずつ3か月ほど返済していたんですが、ある日トイチから借金をしている事が父親にバレて、ムチャクチャ怒られました。そして、父親がトイチに行き、借金を全額返済してくれたのでした。


「迷惑料二万含めてきっちり返してきたでな! ハタチやそこらの娘に貸すなやって、札束で引っぱたいてやったわ!」


 父はそう言いました。その言葉を聞いて私は、思いました。


(迷惑料って何や。それ、払わんでいいやつでないか。よし、取り返したろ)と。


 そしてその日のうちに、トイチのおっちゃんに電話したのです。


「父から聞いたんですが、迷惑料2万円って何ですか」と。


 そうしたらばトイチのおっちゃんが


「迷惑かけて無いっていうんか」と言うので


「はい。返してください、2万円」と答えました。するとトイチのおっちゃんは


「返したるわ、取りに来いや」と怒っていました。


 そんで、オバちゃんたちと一緒にトイチまで行き、店の下に車を停めて、一人で事務所に行ったのです。事務所には、おっちゃんが一人いて、私に2万円を見せながら


「あんたの父ちゃんが来て、札で顔叩いて行きよったわ。もう来るな」と言いました。


 私は早く帰りたくて、こう言いました。


「下に人を待たせているので」と。


 するとおっちゃんが「何や、それがどうしたんや」とキレ始めたので、私はお金を持ってそそくさとその場を去ったのでした。


 取り返したお金は、銀行への借金の返済に充てました。


***


 ある日の事でした。ポストに、私宛の封筒が入っていました。差出人の名前が書いてありませんでした。一体なんだろうと思って開けてみると、そこには「ブラックでもOK! ご相談ください。0XXX-XX-XXXX」と書かれた、一枚の手紙が。そんな感じの郵便物が、一時期何通か届いたのでした。「どうやら、トイチのおっちゃんの怒りを買ったようだ。闇金業者に名前が知られている」と思いました。(迷惑料を取り返したのが良くなかったのだろう)


 こんな私が言うのもなんですが、お金は計画的に使うのが正しい生き方だと心底思います。ほんとうに。人に迷惑をかけるのは、良くないですね。だめな事をしたと思っています。


***


 これでお話はおしまいなんですが、面白がっていただけたでしょうか。もっと刺激的な話がいいという方がおられたら、やってみてもいいのです。


 それではみなさま、良い週末を。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 借金までさせる宗教、オソロシス! 心のよりどころのためになるならその人のために宗教も仕方ないのかなぁとも思いますけど、あんまり金金になる宗教はやっぱり怖い。 ( >Д<;)
[一言] 何はともあれご無事でなによりでした (;^_^A 十一の業者は怖いですね。
[一言] なんか変なこと書いてすみません。それにしても、迷惑料を取り返しに行けるのが凄いですね。私は街金から借りたことはないですが、一時期はATMからおろす感覚で借りられたと聞きました。あと不謹慎とは…
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