最終局面
「俺はコストを8つ支払い、「スリーピースブロック」を召喚!」
スリーピースブロックが現れて、「トライアングルヒール」の効果により攻撃力が3つ上がる。 攻撃としては足りないし、何よりラピスタの効果でライファーを山札から捨て場に送られるだろう。 だが分かっていながらも突き進まなければ、終局など迎えられない。
「コンバットタイム! 静電気発生装置とスリーピースブロックで、ラピスタに攻撃!」
静電気発生装置は2ターン分残っているので攻撃力は9。 スリーピースブロックと合わせて21となる。 まずは半分削れた。 そしてインタラプトカードを使ってこない。
「エンジェルビーでラピスタを攻撃!」
エンジェルビーも2ターン分残っているので、攻撃力は21。 ラピスタの現在の体力が19。 攻撃力が上回った。
「ラピスタの効果で、山札に戻った「ライファー」を捨て場に送ることで、その戦闘の破壊を無効化する。」
「だが1でも戦闘ダメージは入るぜ。」
ギリギリではあるが、ダメージは入った。 そしてエンジェルビーの効果により、俺も1回復する。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
「私のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム。 私はラピスタの効果を使用し、捨て場から「サンドズ」を山札に戻します。 サンドズの効果は召喚時、相手モンスターを破壊すること。 私が選ぶのは「エンジェルビー」!」
ラピスタから放たれた雷でエンジェルビーが倒される。 だが今のエンジェルビーは「カーテン・ザ・マント」を羽織っていた。 カーテン・ザ・マントは装備モンスターが攻撃される時、一度だけ攻撃を無効にする効果を持っている。 当然の判断と言えばそうだろう。
「更に私はコストを4つ支払い、「身代わりの柱」を召喚。」
下から現れたのは、なにか文字が描かれた木製の柱だった。 しかしあまりステータスは高くない。 攻撃の数合わせには少々割に合っていない。 つまりこのターンでは驚異にならないということだ。 おそらくこちらのなにかの対策として入れたのだろう。
「コンバットタイム! ラピスタでスリーピースブロックに攻撃! 女帝の威光!」
スリーピースブロックに攻撃が入る。 本来ならば是が非でもツギハギの折り畳み盾を使って守りたいところではあるが、今回はそのようなことはしない。 なのでスリーピースブロックは破壊されてしまう。
「・・・っ! スリーピースブロックの効果! このカードが破壊された時、カードを逆位置にすることで「ツーピースブロック」として召喚する。 そしてトライアングルヒールの効果により、俺のライフコアを「33」に戻す。」
これで残り1回。 こちらも準備を整えないと、戦局を一瞬で持っていかれる。 余裕が無くなってきたな。 いや、最初から気は抜いていなかったんだがな。
「クールタイムに入り、私はエンディングを迎えます。」
あの柱で攻撃してこなかったか。 ステータスの低さからか、はたまた攻撃に意味はないのか。 どちらにしてもあの柱を残すのは厄介かもしれない。 なにかしらの対策をしないとな。
「俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム。 俺はコストを3つ支払い、「バンブーナイト」を召喚。」
竹槍を持った竹の騎士が地面から登場する。 今回もよろしく頼むぜ。
「そして、コストを10支払い、魔法カード「ウィークリーポイント」を発動し、対象を「ツーピースブロック」にする。 これによりツーピースブロックはこのコンバットタイム時、戦闘ダメージを行わない代わりに、戦闘した相手モンスターを破壊する効果を得る。」
戦闘で破壊出来ないのならば、効果で破壊すればいい。 ラピスタの効果は戦闘によるもの。 これが通れば、ラピスタは落ちる。
「コンバットタイム! ツーピースブロックでラピスタに攻撃だ!」
そしてそれは誰しもが考えることだろう。 だからこそ
「身代わりの柱の効果により、このカードを捨て場に送る事で、効果による破壊の対象を身代わりの柱に変更する。」
『モンスター:身代わりの柱 レアリティ 水色 コスト4
種族 植物族
相手の効果破壊をこのカードをフィールドから捨て場に送る事で、対象をこのカードに変更する。
ATK 5 HP 3』
当然対策もしてくるよな。 ラピスタに向かう筈のツーピースブロックは柱に吸い寄せられて、そのまま柱を破壊して、俺のフィールドに戻ってきた。
「貴方、これは見越していましたね? 戦闘破壊が出来ないのならば効果で破壊する。 だけどそれは相手も考えていることだから対策はしてくる、と。」
「まあ、誰しもが考えることだからな。 効果を無効化されたところで、なんの驚きもないね。 抜け穴を塞ごうと思うのは当然だし? でも攻撃は続けるぜ? バンブーナイトと静電気発生装置でHPを削れるだけ削るんだ!」
そうしてラピスタに攻撃の手が加えられる。 倒されないと分かっているから、ミカラ様も、破壊無効の効果を使わない。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はラピスタの効果を使用し、再びライファーを山札に戻します。 効果は適応されますので、お互いにドロー出来ます。」
そう言いながらミカラ様はライフを「65」まで回復し、互いにドローを行う。 あのライフコアの量を、1回で削りきるのは至難の業だろうな。 だが俺にだってやれることはある。 まだいける。
「コンバットタイム! ラピスタでバンブーナイトを攻撃! 女帝の威光!」
当然ライフの低い方を狙ってくるよな。 だがそれも折り込みつきだ。 ライフはトライアングルヒールの効果で余裕が残ってる。 ここで使っておいても損はない。
バンブーナイトが破壊され、俺のライフコアにもダメージが入る。
「バンブーナイトが破壊された事により、このカードを逆位置に置くことで「バンブーチャイルド」として再度召喚を行う! 更に俺はトライアングルヒールの最後の回復を行う。」
俺のライフコアももうこれ以上は回復しない。 覚悟を見せるのはここからだ。
「これであなたの「トライアングルヒール」の回復効果は無くなりましたね。 ここで私はコストを8つ支払い、魔法カード「もう一度の魂」を発動させます! 手札を1枚捨て場に送ることで、ラピスタはもう一度攻撃が可能になります。」
破壊効果の次は複数回攻撃か。 それだけ俺を倒すのに必死だと言うことが伺えるな。
「ラピスタ! 小柄になったあの騎士を倒すのです!」
ラピスタの攻撃が再度襲う。 だが俺もここでやられる訳にはいかない!
「俺はコストを7つ支払い、インタラプトカード「ツギハギの折り畳み盾」を発動! これにより、バンブーチャイルドに攻撃は届かない!」
バンブーチャイルドにラピスタの攻撃が届く前に、盾が間に入って展開された。
「・・・クールタイムに入り、私はエンディングを迎えます。 その折り畳み盾、手札には戻さないのですか?」
「ここで戻す効果を使えば、俺のライフはセーフティラインを越えるから、ライフコアでの補填が出来なくなるんだよね。」
「・・・貴方、もしかして・・・」
「そっちが全力なんだ。 こっちも全力を出してやるぜ! 俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム! 俺はコストを30支払い、「ヤマタノオロチ」を召喚する!」
今の自分に出せる最大のモンスター、ヤマタノオロチ。 この局面に出せるのは本当に大きいと思っている。 そしてこのカードがあるからこそ、この勝利は見えてきた。
「これが、あなたの全ての答え。 そして全力の具現化なのですね。」
「そうだ! あんたのラピスタも確かに強い! 効果だって、ほとんどループが可能な仕様になっている。 それでもそれがなんだってんだ! そんなことで俺は心が折れたりなんかしない。 むしろそこから勝利を導くためのカードを引き当てれた! それがこのヤマタノオロチだ!」
そして全てを終わらせられる、全身全霊、正真正銘の最後の一手。
「コンバットタイム! ヤマタノオロチはモンスターを捨て場に送らなければ攻撃が出来ない! だがその代わりに攻撃を4回行える効果を得る! しかもトライアングルヒールの効果によって攻撃力も上がってる! あんたのラピスタと俺のヤマタノオロチの一騎討ちだ! そして糧にするのは「バンブーチャイルド」! バンブーチャイルドを糧に、行け! ヤマタノオロチ! ラピスタに攻撃だ!」
ラピスタを倒せなくてもいい、ライフコアを削りきれなくてもいい。 まだ負けた訳じゃない、まだ繋げて・・・
「・・・あなたの全力。 確かに見届けました。 これだけの力ならば、この案件を託せます。」
どうやら俺はミカラ様のお眼鏡に叶ったようだ。
「ですが試合の勝敗はまた別。 あなたの全力を、このカードで受けてあげましょう! 私は、コストを20支払い、インタラプトカード「女帝の逆襲」を発動します!」
『魔法カード(インタラプト):女帝の逆襲 レアリティ 銀 コスト20
自分フィールドの女帝霊ラピスタの効果を無効にすることで、このターンのクールタイム時、ライフを5つ回復させる。
このカードを使用したコンバットタイム時、相手モンスターは攻撃を行わなければならず、エンディング時に、相手モンスターを全て破壊する。
またこのコンバットタイムで女帝霊ラピスタが破壊された時、自分のオープニング時に自分フィールドに召喚される。』
「なっ!? ラピスタの効果を無効に!?」
1回目のヤマタノオロチの攻撃が完全にラピスタを捉えて、破壊される。 その分ミカラ様のライフコアも削られるが、俺はここで既に自分の負けが決まったことが証明されたことを、認めざるを得なかった。
「ここでライフコアを完全に0にしたところで俺のクールタイムでライフコアが残ってくる。 そしてエンディング時に俺のモンスターが破壊されて、次のターンにラピスタは戻ってくる・・・」
コンバットタイムを宣言した以上止めることは叶わない。 そして俺は次のコンバットタイムでライフコアを直接狙われる。 そうこう考えているうちに、全員の攻撃が終わってしまった。 もうここまで来てしまったら抗えない。
「・・・クールタイムに入って、ミカラ様のライフコアが回復する・・・そして俺はエンディングを宣言して・・・俺のモンスターは破壊される・・・」
ヤマタノオロチが、静電気発生装置が、ツーピースブロックが、破壊されてしまった。 ツーピースブロックは効果により「ワンピースブロック」になるが、対象がいないので、そのまま破壊されていく。
「そして私のオープニング開始時、ラピスタはフィールドに戻る。 そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はラピスタの効果でバーニィを山札に戻し、あなたのライフコアを7つ減らします。」
これが・・・全ての・・・終幕・・・
「コンバットタイム。 ラピスタでライフコアに直接攻撃。 あなたのライフコアはセーフティラインを越えています。 手札の「ツギハギの折り畳み盾」も使用は出来ません。」
俺はラピスタの攻撃を間近に受ける。 その攻撃を受けるのに悔しさなどはない。 むしろ清々しさすら感じた。 全力を出して負けたのだ。 悔いなど残るものか。
「クールタイムに入り、私はエンディングを迎えます。 これにて終幕です。」
これにて長かったミカラ様とのカードバトルが終わりました。
こう言うのを書いてて感じたのが「別に主人公は完全に負けないなんて道理はないよな」ということです。 主人公だって逆転の一手のために頑張りますが負ける時は負ける。 そう言った意味を込めた試合にしました。
勘のいい人は察してると思いますが、有名カードゲームのテーマデッキのオマージュをさせてもらいました。 召喚方法を考えるのが結構難がありました。




