国王に会うには
泊まっていた町とも名残惜しくとも去り、マカライヤの中心街に走らせる俺達。 森やら川やらと、かなりいろんな地帯があった中でも、盗賊に出くわして、血生臭い争いを避けるため、制約カードバトルをしたり、食糧調達のために川釣りをしていたら何故か川の主を釣り上げて、その勢いで戦う羽目になったりと・・・ 道中でも結構な要素があったけれど、なんとか中心街に着くことが出来たのだ。
「ふぃー・・・ようやく着いたッスねぇ。」
「ここに来るまでで丸1週間。 近道は遠回り、なんて話がようやく繋がった気がしますよ。」
「皆さんが、食べる、ものも、底を、付きかけて、いたので、間に合って、よかった、です。」
「しかし本番はここからだ。 国全体の同盟許可を貰うまではこの地を離れるのは難しい。 なんとかして、話を結びつけるんだ。」
みんなそれぞれの想いを口々にして、マカライヤの中心街の入退場門を見ていた。 当の俺はと言えば・・・
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
入る前からもうグロッキーになっていた。別にドーホース達に乗っていて酔ったわけではない。 というかそれで酔っているなら最初の時点でなっている。
「ここに来るまでに色々とあったッスからねぇ。 今回の旅で一番の苦労人は師匠ッスよ。」
「ご主人様。 大丈夫、ですか? まだ気分は、のりません、か?」
アリフレアの心配も、今の俺には聞こえてこない程に、肉体的にも精神的にも、疲労が溜まっていた。
というのも、先程までの道中での話を、ほとんどが俺が関与しているからである。 盗賊に出くわしたのも注意はしていたし、夜はほとんど行動をしていない。 その筈なのだが、何故か白昼堂々、真正面からやってきたのだ。 そこまでの行動に、むしろなんでとは思った。
それだけでも正直頭を抱える程なのだが、制約カードバトルだと言っているのに、次から次へと戦う羽目になった。 理由としてはボスだと思った奴が実は下っ端で、次に相手したのもまた違っていて、といった感じを計7回ほど繰り返し、途中から制約内容を軽くしてわざと負けてやろうかとも考えたが、そんなことをしても見返りが弱いだろうという思いと、こんなアホみたいな集団に不戦敗みたいな行動を取るのはこの先の旅において、もっとも屈辱的だと感じ、止めたのだ。 もっとも同じ様なことをしていていい加減にしろという思いで怒りを露にし、危うくスキルを発動しかけたこともあって、暫くは心が休まらなかった。
そう言う経緯もあり、門に入る前から満身創痍状態に陥ってしまっていたのだ。
「何時も通り先に宿を探した方がいいッスね。 精神疲労は流石に隠せないッスよ。」
「そうだね。 でもボクらじゃ探すのは苦労しそうだよ?」
「ならば私とアリフレアで行ってこよう。 安全策を取っておくに越したことはない。」
そう言ってベルジアとアリフレアが先にゲートに行って、手続きをしてくるようだ。 申し訳無いことをしているなぁと思いつつ、俺は休めれるだけ休めることにした。 こう自分で言うのもなんなのだが、余程ワーカホリックなのかもしれないなと、自棄になってしまう。
「まあ変なことにはならないと思うッスよ? そもそもが頑張りすぎなんスよ。」
「それと過保護もね。 アリフレアちゃんはともかく、ボク達は大丈夫だっていっても聞かないんだもん。」
そうは言うがなぁ・・・まだまだ亜人の認知がされているか否か分からない以上は、下手に表沙汰にするわけにもいかないだろう。 そういうのも含めて・・・ってそれが過保護なんだろうな。
「それよりも、ここの国王に会う算段はあるんですか? やるとは言うものの、具体的な話を聞いていないので。」
「その辺りはベルジアとも話したんだが・・・今までと違って領地だけを担う人物じゃないから、簡単にベルジアの事を次期領主だと信じては貰えないだろうなって結論が着いてるんだ。」
「あれ? じゃあ話すことはおろか、会うことも出来ないってことッスか?」
「今までのを見てくれば分かるだろうが、事前連絡なんかしてないんだから、いきなり訪問しても追い返されるんだよ。」
だからどう国王と結びつけるかをベルジアと何日も話し合っていたのだ。 だが結局結論は出なかった。 出たとしても強行突破の策だったので、意見を出してみては却下してをずっとしていたのだ。 これも気疲れの1つでもある。
「はぁ・・・」
「セイジ、入門許可と、宿を見つけてきた。 行くぞ。」
そうして俺達はゲームをくぐり抜けるのだった。
「はぁ。 ようやくまともな寝床につけた。 いや、外泊も悪くはないんだけども、やっぱり落ち着くのはこういったベッドだよなぁ。」
「師匠どんだけ疲れてたんすか。」
ベッドに寝転がる俺に対して、ファルケンがそう言ってくる。 ほっとけ、これでも本当に疲れてとるんじゃい。
「さて、色々と議論した結果、「手紙を届け、その代理人として来た」と言うのが一番筋書きとしては有力だろう。 息子がその代理人として来るのは、珍しくない話ではあるからな。」
「内容とかって考えるんスか?」
「国の反映、その前提として国全体での認知をしてもらうのが主の目的としよう。 具体的には管理する人間の監視、及び報告を他の者が請け負うという形でだ。」
「貿易とかの話とかも出すのか?」
「いや、今回はわが領土からの、1つの提案として提示する。 まだ他の領土については話していない呈を作っておくのだ。」
つまり他の領地からも同じ意見があるということにせずに、まずは自分のところがそう言っていますよという感じの礼状にするようだ。
「国1つ管理するだけでも本来は大変なのだ。 見えない範囲がどうなっているのかなど、知る術は限られている。」
「そのための監視と報告なんだろ?」
「そういうことだ。」
「はへぇ。 俺っちには分からないッスよ。」
「交渉するのは私だ。 貴殿達は私のお付きということにしておいてくれ。 というよりも、そうとしか思われないだろうしな。」
なんとも悲しい事実かもしれないが、そればっかりはしょうがない。
「お客様、お食事が出来ました。」
ノックした後に女性の声がしたので!フロントの人が持ってきてくれたのだろうと思い、返事をしてから部屋のドアを開ける。 すると案の定、この店の給仕が料理を持ってきてくれていた。 いや、それだけなら普通なのだが、何故かその後ろからアリフレアとゼルダも同じ様に配膳していたのだ。
「どうしたんスか? 2人も配膳なんて。」
「それが同じ様に配膳していた人がね、倒れちゃったんだよ。 一気に2人も。」
「なので、たまたま、その場にいた、私達が、そのまま、手伝うことに、したのです。」
「なるほどッス。 ん? てことは2人は今日このまま動けないってことッスか?」
「別にそんなに細かなことはしないんだから問題はないだろ。」
「なんの話?」
「こっちの話だ。 まあ暫くはお世話になるから別に良いだろうしな。 それじゃ、食事をするか。」
「そうだな。 後で買い物もしなければならないしな。」
そう言ってアリフレアが配膳して、部屋を出た後に俺達は食事を取ることにした。
「それにしても紙もペンもインクも買い直すことになるとは思わなかったッスよ。」
「道中ではよっぽど使わないしな。 荷物は軽い方がいいしな。」
ファルケンの意見に俺は返事を返す。 まだ日はかなり高いところにあるおかげが商店街にあたる場所は賑わいを見せていた。
「さて、この中で雑貨店を探さなければならないのか。 かなりの店の量のせいでどこに何があるか分かったものではないな。」
「でも探さないとな。 ・・・ん?」
辺りを見回していたら、なにやら重たそうに荷物を運んでいるおじいさんを見つけた。
「すいません、もしよかったら手伝いましょうか?」
「ん? おお、いいのかい? 腰の調子が悪くなってしまってなぁ。」
「よっと・・・どこまで運べばいいです? ああ、俺の事は気にするな。 買い物を・・・」
「ううん。 困ったわぁ・・・」
ベルジア達とは別のところから声がした。 その方にベルジアが向かった。
「ご婦人。 いかがなされました?」
「実はこの辺りに、ペンダントを落としてしまって・・・割れてしまうと大変だと・・・」
「ふむ、通行人の皆さん、少しこの辺りは通らないでいただきたい。 私も一緒に探しますよ。」
「あら、いいのかしら。 ごめんなさいねぇ。」
「お母さん・・・?」
今度は子供の声がした。
「どうしたッスか? お母さんとはぐれちゃったッスか? ちょっと待ってるッス。 すぐに探してきてあげるッスからね。 すみませーん! この子の親御さん知らないッスかぁ?」
俺達はこの場で人助けをすることになった。 まあ成り行きだけどな。
「すまないねぇ。 手伝って貰って。」
「わざわざ見つけてくださりありがとうございました。」
「私の不注意で見失っていたのですが、本当にありがとうございます!」
「お兄ちゃん、バイバイ!」
そしてお礼を言われて俺達は再度集まった。
「はぁ、時間が少しかかっちまったな。 さ、買い物を再開・・・」
「そこの人達、ちょっといいかしら?」
そう言って今後は俺達が声をかけられる番となった。 なんだろう?
さぁ、この声を掛けてきた人物は果たして誰なのか




