表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
83/262

境の町

 マカライヤ。


 ベルジアに聞いた話では同じ国のなかでも領地としての規模が大きく、領地内で構成されている町や村などもほとんど独立した存在なんだとか。

 商業においても、国一番とも言えるがその全貌はベルジアでも把握しきれていない。


 そんな領地の中の一つの町に俺達はドーホース達を含めてたどり着いた。 たどり着いたと言ってもまだ門前なんだけどな。


「どうしたセイジ。 進まないのか?」

「いや、なんつうか・・・今の俺達を見てどう思われるかなと、今更ながら感じてな。 どういう扱いを受けるんだろ? とちょっとな。」

「扱い、とは?」

「旅人としてか、貴族としてか、はたまた賊としてか。 捉えられ方は色々とあるだろ? 俺達って、他者からみるとどうなんだろうなって改めて思ってさ。」

「確かに商人にしては荷物が少ないし、貴族としては少々格好がつかない。 そして盗賊かと言われると綺麗すぎる。」

「俺っち達、そんな曖昧な格好してたんスね。」


 改めてみんなを見返して思った。 と言ってもメンバーそれぞれがそもそも異質なのだ。 幼女、次期領主、奴隷の亜人に、普通の亜人。 俺が異世界人という意味でもかなり説明の難しい事だろう。


「とにかく行ってみるしかないだろう。 私達はこの先の中心街に行かなければならないのだからな。」


 ベルジアの言うことももっともだったので、頭を掻きつつ、ドーホース達をゆっくりと進ませるのだった。


「旅人の方ですか? どうぞお入りください。」


 そしていざ門の前に来たらあっさりと入れられ過ぎて、さっきまで考えていたことが杞憂どころか馬鹿馬鹿しくなるくらいに対応が早かった。


「あの、こう言ってはなんなのですが、本当にいいんですか?」


 逆にこっちが不安になったので、門番らしき人に聞いてみると、その人は俺の腰、もっと言えばデッキホルスターを指差した。


「カードバトラーで冒険者と言うのも結構多いので。 それにドーホースを連れていると言うことは長距離の移動が可能な方々と言うこと。 色々な場所を旅してきたのでしょう?」

「それはそうですけど・・・盗賊かなにかだとは思わないのですか?」

「盗賊にしては身なりが綺麗ですので。」


 その辺りはベルジアと同じ意見なんだな。 まあ下手に追求されるよりはいいか。


「あ、それなら魔獣の肉を買い取ってくれそうな場所って無いですかね? 手持ち無沙汰ではないんですが、町に滞在するならいらないので。」

「魔獣の肉ですか・・・一応精肉店はあるのですが、扱ってくれるかどうかは別問題ですので。」

「分かりました。 じゃあ失礼致しますね。」

「どうぞ、ごゆっくりと。」


 そう言って俺達は町の中に入っていった。


「俺っち達の事、なにも突っ込んで来なかったッスね。」

「ボク達としてはありがたい事じゃないか。 後ろめたいことはしてないし、亜人で嫌われるわけでも無いから。」


 ファルケンとゼルダは特に気にしないようで、俺達は中に入ることになった。



「ほぉ、魔獣の肉かぁ。 興味深いな。」


 言われた精肉店に行き、昨日狩った豚の肉を出してみたところ、そのように返ってきた。


「どうです? 値段はそちらで付けてもらって構いませんが?」

「ふむ、そうだなぁ・・・」


 品物を吟味して、紙に値段を書いていく。 そして値段を見せる。


「・・・うーん。 まだ勘定計算がなぁ・・・」

「どれ、見せてくれ。 ・・・ふむ。 店主、少々出しすぎな部分もあるが、よろしいのか?」

「いいよいいよ。 みんな魔獣の肉なんて聞いても最初は買わないかもしれないが、俺が調理すれば理解はしてもらえるだろうと思ってるんだよな。」

「そう言うことならそれでいかせてもらおう。 セイジ。」


 そう言ってベルジアは俺と代わり、お金を貰う。 まあそんなに使わないとは思うので後で銀行があれば、預けておこう。


 それにしても栄えているだけあって、本当に賑やかだ。 今までが今までだっただけに普通の町並みが逆に新鮮に感じる。


「おお、随分と賑わってるなぁ。 流石国一の領土なだけはある。」

「それでもここはまだ境の町だから、中央街はもっとだろうな。」


 境の町でこれだけ栄えてるんだ。 中央街は本当に凄いんだろうな。 喧騒に負けないようにしないとな。


「ご主人様。 向こうで、カードバトルを、やってる、みたいです、よ?」


 アリフレアが指差す方を見てみると、子供から大人まで、幅広い層の人達がカードゲームを楽しんでいる。 しかも大人と子供が一緒にゲームをしていると考えると、それだけで、ここでの現状が見えてくる気がする。


「へぇ、女性のバトラーもいるみたいだね。 ボクでも参加できるみたいだし。」


 ゼルダの言うように、男性の中に、女性も混じってやっているので、このゲームの多様性も見て取れた。


「お? 旅のお方。 あんた達もカードバトラーかい?」

「本職ではないですが、まあ嗜む程度には。」

「ハッハッハッ! なんだったら一戦やっていってはどうですかな? 勝ち負けに拘らない、ただただ遊ぶだけのカードゲーム。 疲れた身体にはちょうど良いのでは無いですかな?」


 確かに今までは気の張った戦いしかしていないので、こういった、ただただ純粋に遊ぶのはやっていなかったかもしれない。


「やってくればいいじゃないか。 私達で買い物を済ませてくるから、少しは楽しんでカードバトルをしてくれば。」

「・・・俺、そんなに気を張ってたかな?」

「気負いすぎなんス。 たまには自分の中にある枷を外しても、誰も怒らないっスよ。」

「・・・」


 俺はみんなに心配をかけまいと、1人でやっていたけれど、俺の思惑なんてバレバレだったようだ。 そう分かった内に俺は「フッ」と軽く笑ってから


「じゃあ、そっちは任せようかな?」


 そう言ってカードバトルの輪に入っていった。



「俺はスティールでライフコアを攻撃する! これでクールタイムに入り、エンディングを迎えて、終幕だ!」

「ぐあぁ! ちくしょう! なにも出来なかったぜ!」

「お兄さん! 次は私とやって!」


 俺が入って戦ってから数分後、他にもやっている場所があるにも関わらず、俺の周りはいろんな人が俺にバトルを申し込んだ来ていた。 ほとんど負け無しというのと、俺のデッキのカードが珍しいと言うことで、みんな集まってきているようだ。 やっぱり俺のデッキは一般的な人達のデッキとは訳が違うようで、みんな本当によく観察をしていた。 まあ、観察されたところで対策は出来ていないようだ。


「ふふっ、随分と楽しそうにやっているではないか、セイジ。」


 女の子と戦う前に、買い物を済ませたようで、俺に声を掛けてきた。


「お? そっちは終ったのか? ちょっと待ってくれ、この子と戦ってからすぐに」

「いや、良いッスよ。 俺っち達もやる予定だったッスから。 誰か俺っちとやってくれないっスか!?」

「自信満々じゃないか。 面白そうだ。 俺が相手してやる。」


 そう言ってファルケンは別の男性と別の場所でカードゲームを始めた。


「あ、待たせてごめんね。 俺達もやろうか。」

「は、はい!」


 そう言ってゴーグルを着けるのだった。



「ふぅ。 すっかり遅くなっちゃったな。」


 俺達があの集団から抜け出すのにかなりの時間を有したが、何とか宿には戻ることが出来た。


「ご主人様。 とても、楽しそう、でした。」

「そ、そうか? 自分では全く気が付かなかったな。」

「セージさんはカードゲームをする時、どうしても険しい顔をしてるからさ。 少し位は息抜き程度にカードゲームをするのも悪くないでしょ?」


 アリフレアとゼルダにそう言われて、確かに俺がカードバトルをする時って大体なんか普通じゃない時位なものだと改めて思ったな。


「少し位は肩の力は抜けたか?」

「あぁ、しかしなんでまたあそこでカードバトルをやらせたんだ?」

「次に会う領主、もとい国王の前に行く事になるのだ。 そんなガチガチの状態ならば、本来の力が発揮できんだろうと思ってな。 少し、肩の力を抜かさせたのだ。 いい気分転換になっただろう?」


 なるほどね。 確かにここ最近の俺は詰まってたのかも知れないからな。 そう言う意味ではある意味助かったか。


「本当に済まねぇな。 お前達にまで気を遣わせて。」

「互いに支えあう精神論は大事だと私も学んだからな。 さぁ、明日も早いのだろう? 素早く寝るぞ。」


 そう言ってベルジアはベッドに潜り込んだ。 これ以上特にやることもないので、このまま俺も寝てしまうことにした。

ここはまだ目的の町ではありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ