嘘と本当
「・・・そんなこと無いわよ? 私が言ってることが本当なんだから! 出任せを言わないでくれないかな?」
「まあ、そうッスよね。 そんなわけ無いッスよね。 でもスキルは出てるッスね。 これって俺っちがスキルを見抜いたってことッスよね?」
『スキル 嘘から出た真実
デッキ内にあるカードと現在出ているカードのテキストの一部を変更する。 ただし口頭でのみ有効。 攻撃を受ける、もしくは相手の効果の対象になった時、この効果は消滅する。』
つまりこの人は、ある程度自分の言葉を信じ込ませるように喋っていたようッス。 でも・・・
「・・・私のスキルが分かったところで、なにも変わってないのも事実よね? さあ、どうするのかしら? これはスキルを使っての発言じゃないわよ?」
そんなものは分かってるッス。 スキルを見破れたところで、現状全く勝てる要素がないッスから。
「ふふん。 分かったら舞台を降りてもいいのよ。 ま、次はあんたの番だからゆっくり考えてよね。 クールタイムに入って、私はエンディングを迎えるわ。」
「・・・俺っちのオープニング、そしてドロー、プラポレーションタイム。」
俺っちは考える。 柄にもなく考える。 手札は4枚のまま、リボルビーの攻撃力は上がる。 おそらくライフコアはあまり残っていない。 そんな中でも勝つ方法・・・
こう言うとき師匠ならどうするッスかね。 俺っちは頭を使うの苦手ッスから、なんでもかんでも自分の思った通りに動きたいんスよね。 でも師匠はとにかく次の一手を考える。 次に繋げるために場を凌ぐ事をするッス。 俺っちの手札にそんな効果を使えるものは・・・可能性に賭けるならあるッスが・・・いや、そんなの俺っちらしくないッス。 ここはやってみるのも手ッスよ。
「俺っちはコストを8つ支払って、魔法カード「修羅場の一発」を発動するッス!」
『魔法カード:修羅場の一発 レアリティ 桃 コスト8
相手の手札を1枚選択する。 そのカードが魔法カードだった場合、そのカード効果を、コスト無しで使用できる。 それ以外のカードだった場合は自分は攻撃が出来ない。』
確実性の欠けるこのカード。 相手の手札はほとんど使ってないッスから5枚。 その中から魔法カードのみを選べる確率は、そう高くないッス。 ましてや相手にはスキルの効果もあるッスから、魔法カードでないと公言されるのが目に見えるッス。 そんなのじゃ、こんなカードには意味がないッス。
「さあ、選びなさい。 ちゃんと当てれるように祈るのね。」
あの絶対的な自信。 俺っちがなにを指しても言い負かす自信があるって感じが伝わってくるッス。 師匠の見よう見まねのやり方でも分かる。 でも選ばなければならない。 そう言う効果なのだから。
俺っちは師匠達と旅をする中で、本当に色んな物を見たッス。 アリフレアちゃんの探求心、ゼルダの行動力、ベルジアの交渉術。 そして師匠の相手の目を見る技術。 俺っちが今まで閉じ籠っていたせいで見えなかったものを見せてくれていたッス。 俺っちは改めて出てきたこの世界で色んな物を見てみたい。 俺っちの目に移るものの真実を見たい。 俺っちに、見る力が欲しいッス!
そうして願ったからなのか。 俺っちの左目が、俺っちにも分かるくらいに光っているのが分かったッス。
「この輝き・・・まさか、俺っちにも「スキル」が!?」
そう言った瞬間に強い光が左から放たれて、俺っちも右目を瞑ってしまう程の光だったッスが・・・
「こ・・・これは・・・」
俺っちが左目で見ているものが、先ほどまで見ていた光景と全く違うものになっていたし、相手の方を見ると、手札がまるで裏返しにしたかのように、カードの詳細が丸分かりになってるッス。 どう言うことなんッスか?
「俺っちが選ぶのは・・・左から2番目の「デットバイリサイクル」を選ぶッス。」
「・・・えっ!? な、なんで・・・カード名まで・・・」
「すみません、なんかそう言うスキルみたいなんスよ。 俺っちが発動したのは・・・」
『スキル:千里眼
相手の手札を確認出来る。 ただし使用宣言をしたプラポレーションタイムのみとなる。』
まさしく今の状況にぴったりなスキルになったようッスね。 それに当てたカードもとても使えるカードのようッス。
『魔法カード:デットバイリサイクル レアリティ 桃 コスト11
現在の自分の捨て場にあるカードの枚数、自分のフィールドのモンスターの攻撃力が上がる。 この効果は使用した後に出したモンスターにも効果対象になる。』
俺っちが捨て場に送ったカードの合計は6枚。 なので攻撃力が純粋に6上がるッス。 でも相手のモンスターを含めても倒しきれないのは見えているので、次のモンスターを召喚するッス。 「千里眼」のスキルの効果で、相手の手札がどんなカードが入っているのかは知っているッスから、こっちも遠慮なくいけるッス。
「俺っちはコストを14支払ってWsロケッティを召喚するッス!」
『モンスター:Wsロケッティ レアリティ 銅 コスト14
種族 鳥獣族
次のコンバットタイムに攻撃が出来ない代わりに、現在の攻撃力を2倍にして攻撃することが出来る。
ATK 24 HP 6』
このモンスターで、全てを終わらせることが出来るッス。
「コンバットタイム! ロケッティでビューティフルマーメイルの本体を攻撃するッス! 当然効果を使うッスから、攻撃力は60になるッス!」
ロケッティは自分の持っているランチャーを構えて、今にも発射体勢に入るッス。
「コストを4使って、インタラプトカード・・・」
「おっと、それは出来ないッスよ? 手札にインタラプトカードが無いのも、ハッキリ見えてるッスからね。」
「・・・ぐっ!」
そして引き金を引いて、ロケットランチャーが着弾して、爆風を起こす。 その風に煽られ、相手のライフコアに、大ダメージが入るッス。
「まだまだッス! リボルビー! ライフコアに直接攻撃をするッス!」
リボルビーは銃口を定め、一発、また一発と放っていき、合計4発の弾丸を撃ち込んだッス。
「これで終わるッス! アサルティ! お前も攻撃を加えるッス! さらに俺っちはコストを2つ支払って、アサルティはもう一度攻撃できるようになるッス!」
これで完全に相手のライフコアを削りきって、それで終わりッス。 ライフコアが「0」になったのを確認して、俺っちは宣言するッス。
「クールタイムに入って、俺っちはエンディングを迎えるッス。 これにて終幕になるッス。」
『勝者 ファルケン・ライナーとなりましたので、ファルケンの無罪が証明されます。』
そう言い終わるとAI領域が開けていくッス。 そして師匠達の元に歩み寄っていくッス。
「ファルケンさん、良かったですね。」
「うむ、起死回生の一連の流れ、しかとこの目に焼き付かせて貰ったぞ。」
「これで全員一勝はしたことになるね。」
アリフレアちゃん、ベルジア、ゼルダが俺っちに労いの言葉を送ってくるッス。 そして師匠も
「スキル開花おめでとう。 ファルケン。」
そう言われて、俺っちは左目を触るッスが、なんの感触もないッス。
「あれはAI領域の制約カードバトル内の話だから、それが終わった今は、特に関係は無いぞ?」
俺っちがなにをしようとしているのかすぐに分かったようで、そう釘を指してきたッス。
「師匠、俺っちはちゃんと出来ていたッスか?」
「出来ていた出来ていないを決めるのは俺じゃない。 お前自身が出来ていると思えれば、そうなんだろうよ。 だけどあえて言うなら・・・違和感にはもう少し早く気づくべきだったな。」
師匠の言葉は辛口ッス。 まあ、俺っちも簡単に師匠が誉めてくれるとは思ってなかったッスから、師匠なりの励ましだと思って心に入れておくッス。
「この人だかりは何事ですかな?」
その第三者の声に、俺っち達はその声の方を向くことになったッス。
試合終了後に少女が一言も喋っていないのは、見破られたことによる戦意喪失が原因です




