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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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隠されたスキルの発現

 俺が引き直したカードはこの3枚。


 純粋に火力とコストの高い「リヴァイアサン」。 相手のモンスターのコントロールを1ターン、無条件で使える「マリオネットヤーン」。 そして神様からもらったディーネのカードだった。


 一見すればリヴァイアサンを使い、一気に止めを差す場面だろうが、相手のライフコアの数は「63」。 リヴァイアサンの攻撃力をもってしても、大幅に削るのは至難の技だ。 だがここで相手にもセーフティラインギリギリまで持ち込ませなければ、少なくとも勝ち目はない。


「俺はコストを10支払い、このカードを召喚する。」


 そういって出したディーネのカードだが、効果や名前が不鮮明なせいか、ノイズのようなものが走っている。


「あ? なんだそいつ。 バグってやがる。 イカサマカードじゃないのか?」


 そうじゃないと願わくは信じたいが、こちらとしても正確なカード情報が明記されていないので不安なのはある。 だがそこまで今は気にしてはいられない。


「俺は更にコストを6支払い、魔法「マリオネットヤーン」を発動! 効果をオックスフォードを対象に使用する!」


『魔法:マリオネットヤーン レアリティ 紫 コスト6

 相手モンスター1体を選択し、そのモンスターのコントロールをこのターン自分のものとする。』


 俺の指先から糸のようなものが現れて、そのままオックスフォードの身体をぐるぐる巻きにした後、こちら側に引き寄せられる。


「てめぇ! 俺のモンスターを!」


 相手は怒っているが、そう言う効果なので文句を言われる筋合いはない。


「コンバットタイム! 俺はスティールとディーネでディービーストをそれぞれ攻撃する!」


 相手にはスキルの「我が身を盾に」が存在する。 だがそれはあくまでもコストの高いモンスターを攻撃対象とした場合に限る。 つまりこの時点で盾となるモンスターを減らしておけば、スキルの発動は出来ないということだ。


「ちくしょう! 俺の壁が!」


 ディービーストは女帝の効果により攻撃力が上がった分、体力が落ちている。 ディーネとスティールの攻撃力をほとんどもろに食らった事となり、ライフコアも一気に「28」まで持ってくることが出来た。


「そしてオックスフォードで女帝に攻撃! 今まで閉じ込めていた屈辱を張らすんだ!」


 オックスフォードは目の前の女帝に向かって思いっきり突進していく。 勿論倒すことは出来ないが、次の俺のターンが回ってきたとき、女帝を倒せるチャンスが生まれる。 それだけでも十分な収穫だ。


「クールタイムに入り、俺のエンディングに入る。」


 今ので俺と奴との体力は「28」と並んだ。 お互いに気が抜けない状態に入った。


「俺のオープニング! そしてドロー!」


 あいつのターンになる。 俺のライフコアもかなりまずい。 前のターンでセーフティラインを越せなかったのは今のままでは痛手になるかもしれない。


「くっそ! なんでこんなカードしか来ねぇんだよ! 止めをさせねぇじゃねぇか!」


 どうやらまた引き運に恵まれなかったようだ。 こちらとしてはありがたい話ではあるが。


「コンボを完成させて、カード枚数の埋め合わせとして入れたけど、全然役に立たねぇじゃねぇか! そう言うところまであいつみたいで嫌になるぜ!」


 どういう意味だ?自分で作っておいてその言いぐさはおかしいだろ。


「しょうがねぇ! コンバットタイム! オックスフォード! あの訳の分からねぇモンスターを破壊しろ!」


 オックスフォードがディーネに向かって突進してくる。 ディーネはほとんど水のような存在なので避けることは容易く・・・出来るはずもなく、そのまま分解されてしまう。 その水滴が跳んできて、俺のライフコアに影響を与える。 オックスフォードの攻撃力からディーネの体力を差し引いて17。 俺のライフコアは「11」となり、いよいよ危うくなってくる。


「女帝様よ! 今度こそあの悪党に裁きを!」


 その掛け声と共に鞭をしならせるが、そんなものが無意味なことくらいもう分かっているはずだ。


「カーテン・ザ・マントの効果により、1度だけ攻撃を無効化する。」


 これで相手はもう攻撃するモンスターを失った。 だが不思議なのは例え低コストモンスターでも2体いればスティールを倒せたという点だ。 ライフコアはまだ使えるし、魔法カードだって使えた筈だ。 そうまでして使わなかった理由が分からない。


「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える! あいつのトレードしたカードは本当に役に立たねぇなぁ!」


 カードゲームの世界観のため、トレードをすることに関しては違和感はない。 だがその言葉と共に少女の方をおもむろに睨み付けた。 少女はその言葉と声に身体を縮ませた。


「お前・・・あの子から貰ったカードをデッキに入れて戦って、それで使えないなんて言うのか。」

「あぁ!? 役立たずから貰ったカードを役立たずって言って何が悪い!? カードならまだまともだと思ったのに、ここでも役立たずなのか! おめぇはよ!」


 少女はその声にまた身体を縮ませてしまう。 そこまで言わせてなんだったけれど、やはりと言わざるを得ない程に俺の怒りのボルテージは上がっていく。


「その子のカードとトレードをしたのならそれ相応に使えるようにするのがプレイヤーだろ。 トレードしたあの子のせいにするんじゃねぇ!」


「うるせぇ! そもそもあいつは路地裏で()()()()()()、それを俺達が()()()()()! だから俺の所有物なんだからあいつをどう使()()()()俺の勝手だろ! あいつのものは俺のものなんだよ!」



 プチッ



 今の言葉で俺の中のなにかが()()()。 今こいつは少女を()()()()()した? つまりこいつにとってあの子はただの飾りかお荷物ってことなのか?


 いや、そもそもあの子を人として見ていなかったということなのか? こいつの言うことが正しいならば。 その部分に対しての怒りが収まるわけがない。


「・・・お前は今、人として言ってはならないことを言ったな!?」


 前の世界でも他人の迷惑を顧みず自己的に動く人間が大嫌いだった。 人を「物」呼ばわりする。 人としての尊厳を無くさせた上でその言葉。 俺は目の前の青年に対して、本気で負けたくないと、強く感じた。 それに・・・


「使えないかどうかなんてお前が決めることじゃない。 何より使い手が使い方を間違えなければ、どんなものにも意味はある。 お前は使()()()を間違えているんだ! カードも! その少女に対しても!」

「はん! ほざいてろ! どのみちてめぇの手札は1枚、次に引くカードも、コストが足りなくなるなら意味なくなるんだからなぁ。 今更なにをしたって無駄なんだよ! 使えない奴は、使えないなりの役の立ち方してればいいんだよ!」

「俺はこのドローを諦めない。 このドローで、お前のライフコアを全て無くしてやる!」


 そう叫び自分のターンを始めようと思ったその時、俺のディスクの山札が光り始める。 その光は、神々しくも透き通るような光だ。


「これは・・・?」

「清司さん。」


 その声と共になにもない空間から女神が現れる。 立体映像ではないとは思うが、半透明の状態だった。


「まずあなたには、制約におけるカードバトルの際に、個人で持ち合わせのスキルがある事をお伝えし忘れた事をお詫びします。 ですがたた忘れていたのではありません。 あなたのスキルは条件が揃うのにとても時間がかかること。 そしてそのスキルを正しく使って貰うために、喋らずにいたのです。」


 そのせいで相手がスキルを発動した時に驚いてしまったが、そんなことは今はどうだっていい。


「じゃあ、今山札が光っているこれが、俺のスキルの発動ってことですか?」

「その通りです。 あなたのスキルは条件が揃うのには難しいですが、その分とても強力なスキルになっています。 今がその時なのです。 初戦からかなり過激なバトルとなっていますが、あなたならきっと、このスキルを遺憾無く、そして正しい方法で使っていけると、私達は確信しています。 さあ、救いを求める者のために、その力を振るうのです! あなたには、その力を授けたのですから。」


 そう言って半透明の神様は去っていった。 俺を勝利へと導くスキル。 必ずあの子を救うために、使わせていただきます、神様。


「俺はオープニングに入り、そして」


 ここから先はスキルの名前も教えて貰ってないし、効果も全く分からない。 分からないけれど何故かハッキリと、何を言うべきなのかが分かる。 だからこそ、自然に口にすることが出来る。



「勝利を造り出せ。 作られた引き(クリエイト・ドロー)!」

いよいよ主人公にもスキルが発現致しました。

この逆境から逆転する手立てとは!?

スキル説明は次回から!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 対戦相手があまりに理不尽で読んでいて私まで腹がたちました!(# ゜Д゜) 清司くんの怒りが固有スキルを呼び覚ましたんですね!いったいどんなスキルなのか、気になります(*'ω'*)
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