見えぬ戦局
「俺っちのオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 手札の枚数が4枚により、リボルビーの攻撃力は15になるッス。」
俺っちのフィールドにはリボルビーとアサルティがいるッス。 相手には3体のモンスター。 そしてその中でも厄介なのは戦闘破壊の出来ない「バーミリオン・ミスディグレイ」ッス。 あれに攻撃を移されると、他のモンスターを守られちゃうッス。 向こうは数が増えて、こっちが減っていく。 そんな状況下になりつつあるッス。 ここはなんとしても数を増やさないとッスね。
「俺っちはコストを8支払い、Ws マシンピストルトを召喚するッス。」
『モンスター:Wsマシンピストルト レアリティ 紫 コスト8
種族 鳥獣族
「戦闘時」このモンスターは3回コイントスを行い、表になった数だけ攻撃が行える。 ただし攻撃力は2回目は半分、3回目は1/3となる。
ATK 12 HP 8』
相手がコイントスのら、こっちもコイントスで対抗してやるッス。
「コンバットタイム! 俺っちはマシンピストルトの効果を発動するッス!」
マシンピストルトの攻撃を宣言し、コイントスが行われる。 3枚が宙で舞い、地面に落ちて、出てきたコインの面は、表3枚。 よって3回の攻撃が出来るッス!
「マシンピストルトで3回とも崇高な女を攻撃するッス!」
「蜃気楼領域の効果! 整合判定を行うわ! 表、裏、裏の順番よ!」
3回の宣言があったので、コインも3回投げられる。 出てきた面は「表、表、裏」。 真ん中の1回だけは崇高な女に当たるが、
「整合判定の2回を、全てバーミリオン・ミスディグレイに!」
そう言って相手のバーミリオンが崇高な女を守るように前に出る。 そして2回の弾を受けた。 当然戦闘では破壊されないが、ダメージは入る。 そのダメージは免れない。
「まだまだ行くッスよ! 俺っちは・・・」
「ライフコアを6つ支払って、インタラプトカード「この痛みだ終わり」発動!」
『魔法カード(インタラプト):この痛みの終わり レアリティ 紫 コスト6
戦闘ダメージを2度受けた時発動出来る。 コンバットタイムを終了し、その後1回目に受けたダメージ分、ライフコアを回復させる。』
また攻撃制限ッスか。こっちも向こうも、中々決め手がないッスね。 このままだとジリ貧になっちゃうッス。 まずはこの領域をどうにかしないといけないッスね。
「クールタイムに入って、俺っちはエンディングを迎えるッス。」
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はコストを12支払って.「リカバリーライフ」を発動するわ。」
『魔法カード:リカバリーライフ レアリティ 銅 コスト12
自分フィールドのモンスター3体を捨て場に送ることで、ライフコアを100にする。』
「私は「崇高な女」、「バーミリオン・ミスディグレイ」、「フラムロウ・コンバース」の3人を捨て場に送って、ライフを100にするわ。」
蜃気楼領域で残していたのはこのための布石? いや、それならまだ「バーミリオン・ミスディグレイ」は最低でも残しておけばいいはずだし、そもそもフィールドをがら空きにしてまでそのカードを使う必要は無かった筈ッス。 蜃気楼領域の効果も無くなってしまう。 なんでわざわざそんなことをするんスかね?
「クールタイムに入って、私はエンディングを迎えるわ。」
しかもモンスターも出さないと来てるッス。 ・・・いや、さすがに俺っちの事を舐めすぎじゃないッスかね? 俺っちだって慈悲はあるっすけど、そこまで露骨に攻めてこいと言われて、簡単に行かないのは、分かってるんじゃないッスか?
「俺っちのオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 リボルビーの効果で俺っちの手札は4枚により、リボルビーの攻撃力は15となるッス。」
どうするッスかねぇ。 攻撃を誘ってるとしか思えない布陣なんッスよねぇ? 無難に攻めに行くべきか、様子見で敢えて攻撃しないか・・・
いや、師匠ならもっと慎重に、そして大胆に行くッス。 なら取る展開は・・・今引いたこれッスね。
「俺っちはコストを10支払って、魔法カード「弾丸の嵐」を発動するッス!」
『魔法カード:弾丸の嵐 レアリティ 桃 コスト10
自分フィールドの全Wsモンスターの攻撃力を半分にすることで、領域カードを破壊する。 その後相手モンスターに減少させた数値の合計のダメージを与える。』
そう宣言するとアサルティが、リボルビーが、マシンピストルトがありったけの弾丸をフィールドに撒き散らして、蜃気楼領域を晴らしていく。 本当は敵がいるときにやりたかったッスが、領域を破壊したことには代わり無いので、問題なしッス。
チラッと目線を横に逸らすと、師匠とベルジアがなにか喋っていたッス。 概ね蜃気楼領域に入っていた時の状況を話し合ってるんじゃないッスかね? 聞こえないので分からないッスが。
「本当に卑しいわね。 こそこそと生きていればいいものを。」
「あの領域を展開したのはそっちッスよ? それに俺っちはこの姿になってることを後悔してないッス。」
「開き直りも一人前ね。 たかが蜃気楼を無くしたくらいでいい気にならないで。」
そうは言うものの、どちらかと言えば相手の方が不利な訳なのだから、空回りしているようにしか感じないッス。
でも、そういった相手でも師匠は手を抜かないッス。 師匠にその辺りについて聞かせて貰ったことがあるッス。 「どうしてそこまで相手に全力なのか」と。 そしてら師匠は
「いくら相手に戦意が失くなっていようとも、そこで気を緩めると相手の策略にはまることもある。 窮鼠猫を噛むって言ってな。 追い詰められた相手ほど、なにをしてくるか分からないものさ。 だから確実に倒せる時に倒しておくのさ。 カードゲームにおいても、狩りにおいても。 ま、その二つはそもそもが違うし、なにより弱ってるっていうフリをしている罠ってこともあるから、一概には言えないがな。」
そんな風に語っていたッス。 あれだけの虚勢、自分の状況の理解が出来ていなければそこまで意地を張れない。 俺っちは頭を使うのが苦手ッスけど、それで不快な思いを続けるくらいなら、少しくらい悩んでもいいッス。 ここは様子を見がてら攻撃をしてみるッス。
「コンバットタイム! 俺っちは・・・」
「コストを3つ支払って、インタラプトカード「閉園時間」を発動するわ。」
「強制的にエンディングに行かされたッスね・・・ エンディングを迎えるしかないッスね。」
その誘導に内心そうではないかと思っていたッス。 昔の、師匠と会う前の俺っちなら、おそらくこんな風に冷静に見えていなかったと思うッス。 まあ、基本的に相手にしていたのは子ども達だったし、大人との接触も極力避けてたッスから、そうなってしまったのかもしれないッスがね。
「私のオープニング、そしてドロー。 ・・・フフフッ・・・プラポレーションタイム。 ついに来たわ・・・ これでこんな下らないカードバトルに終止符を打てるわ・・・」
なにやらとんでもないカードを引いたような口振りをしてるッスが、そんな言葉を師匠は許さないと思うッスけどね。 現に今少し怒ってるッスもん。
「私はコストを22支払って、私の元に降りなさい!「ビューティフルマーメイル」!」
『モンスター:ビューティフルマーメイル レアリティ - コスト22
種族 魚―族
このカードは、捨て場に存在する―――の数だけ――――を―――。 またこのカードが―――――――時、手札の―――――を捨て場に送ることで、――――――――。
このカードが―――――――、自分の―――――、及び―――の――――は効果の―――――――。
ATK ―5 HP ―5』
現れたのは世にも美しいと誰もが言える位の美女の上半身を持つ人魚だった。 しかしモンスターが出てきたはいいッスが、なんすかね? なんか人魚の周りにノイズが走ってるんスよね。 それにステータスも所々見えなくなっていて、なんなんすかね? そう思いながら師匠の方を見たら・・・なんだか物凄く渋い顔、強いて言えば苦虫を噛み潰したような表情をしていたッス。




