私のご主人様
「自分のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はコストを12支払い、「隠れ蓑スナイパー」を召喚。」
『モンスター:隠れ蓑スナイパー レアリティ 銅 コスト12
種族 人族
このカードは攻撃できない。 このカードは手札を1枚捨て場に送り、フィールドのモンスターを1体選択する。 そのカードの現攻撃力を相手のライフコアに当てる。 このカードを使用している時、他のカードの効果を使用することが出来ない。
ATK 1 HP 18』
「自分は手札を1枚捨て場に送り、頂点のゴブリンを指定し、お兄さんのライフコアを選ぶよ。」
「くそ、効果を使えないなら受けるしかない!」
スナイパーライフルと呼ばれる銃からご主人様のライフコアを撃ち抜かれた。 これでご主人様のライフコアが半分を切った。 次でアクアフェアリーさんの効果を使って回復は出来るけれど、失った方が大きすぎる。
「クールタイムに入り、自分はエンディングを迎えます。」
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
私がとにかく進めなくてはいけない。 幸いにも今の私のフィールドを見て、私には攻撃してこないのは分かったけれど、このままではご主人様の方が負けてしまう。 ここは攻撃あるのみ。
「コンバットタイム! 私はブリーズフェアリーさんで・・・」
「自分はコストを7つ支払って、インタラプトカード 誤作動を発動。」
『魔法カード(インタラプト):誤作動 レアリティ 紫 コスト7
「相手の攻撃時」このコンバットタイム時、攻撃を行うモンスターの、攻撃対象を自分のモンスター、もしくはライフコアに攻撃する。 攻撃対象はこのカードを発動したプレイヤーが決める。』
「対象をお兄さんのライフコアに変更です。」
「そんな!」
ああ、私が攻撃をしたことでご主人様がピンチになってしまう。 でも宣言をしてしまった以上止められ・・・
「俺はコストを7つ支払い、インタラプトカード「ツギハギの折り畳み盾」を発動させ、その後コストを3支払い、手札に戻す。」
ブリーズフェアリーさんの攻撃は大きな盾によって守られ、そして小さく折り畳まれて、ご主人様の手元に戻っていきました。 ですがまたご主人様に攻撃がいくと考えてしまうと、もう守る術がご主人様にはありません。
「クールタイムに入って、アクアフェアリーさんの、効果を、ご主人様に、使って、私は、エンディングに、入ります。」
これ以上は攻撃が出来ないと思ってそのまま終えました。 ご主人様はどう思っているのか怖くて、ご主人様の方を見ることが出来ませんでした。
「前のターンでインタラプトカードを引いておったか。 やがもうお前の命も残り僅かやな。 ワイのオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 ・・・こいつはええわ。 ワイはコストを14支払い「市民達の反逆」を発動!」
『魔法カード:市民達の反逆 レアリティ 銀 コスト12
フィールドのモンスターの数のダメージを相手プレイヤーに与える。』
「ワイに逆らおうとした罰は、お前にぶつけさせてもらうで。 そのガキも含めて、烏合の衆を用意したあんさんらの落ち度や。 しっかりと受け取り。」
そう言うと、モンスターさん達の中から、なにやら魂のようなものが現れてご主人様のライフコアに当たっていきます。 そして、ご主人様のライフコアが20以下になってしまい、絶対絶命になってしまいました。
「どうや? この状況下でも、まだ勝てる言うんか?」
「それを決めるのはあんたじゃない。」
「強がりを。 もう一度今の状況を確かめてから言いや。 ま、その確認する術もなくお前は終わるんやがな。 ワイは手札を2枚捨て場に送り、頂点ゴブリンの効果を使うで。 完全にライフコア以上の攻撃になるが、文句は無いよな? これは制約に基づいたカードバトルや。 これで終いや。」
そしてゴブリンさんは攻撃体勢に入った。 ご主人様も、覚悟が出来ているような表情をしていた。 だけど、ご主人様。 そんな顔は、私は、アリフレアは見たくありません。
「・・・ごめんな、アリフレア。 今回ばかりは、守れなかったよ。 なに、死ぬことはないんだ。 多分。 強く、生きてくれ。」
そのご主人様の、悲しそうな表情を、私は、受け止めたくなかった。
私は、気が付けば両親がいなかった。 最初は泣きじゃくったし、ひもじい想いもした。 そんな中で会ったのが前のご主人様達。 確かに助けてもらったことは感謝しているけれど、その先は・・・私にとって、ひもじい想いをすることと、あの人達と暮らす日々は、なにも変わらなかった。
だからあの時も本当は見せしめのために私を連れ出したのだと思った。 実際に本当に見せしめだったようで、拾われた日からずっと着ていた、洗濯もさせてもらえず、汚れてしまっていた服を着たまま大通りへと駆り出され、椅子がないので椅子になれと言われ、言われるがままに行った。 言うことを聞かなければ明日はないと、思っていたから。 そんな椅子になっていた私は、服を捲られた。
下着は取られていたので、なにも穿いていない状態のお尻を晒されて、もう生きていけないとも思った。
そして服を脱げと言われて、最初は抵抗したけれど、すぐにそんなことをしても意味がないと悟り、すぐに服を脱ごうとした時に、
今のご主人様が現れて、本当なら見ず知らずである私に手を差し伸べてくれた。
でも最初は当然訳が分からなかった。 なんで助けてくれたの?とか、目的はとか色々と頭がぐるぐるしているうちに出てきた言葉が、「新しいご主人様」と言うことだった。
また私はこき使われるのかと、諦めと悟りをしたけれど、ご主人様は私に「これから行うことに口出ししない」と言ったのを条件に、髪の毛を綺麗にしてもらい、お洋服も着させてくれて、ご飯もお腹がいっぱいになるまで食べさせてくれて、ちゃんとした寝床まで用意してくれた。
私はこの時に初めて感じた。 ああ、これが人の暖かさなのだと。 この人に付いていきたいと。
そして私達のいた領地の次期領主、ベルジアさんと会話して、カードバトルをして、私達は旅をすることを選択した。
私もご主人様も、手探りながらも何とか旅をして次の街に着くことも出来たし、トラブルに巻き込まれながらもゼルダさんに会えた。
そこから私の人生は大きく変わっていった。 人の優しさに触れて、困難に立ち向かう方法を身に付け、料理を教えてもらって。
なによりも、ファルケンさん、ベルジアさん、ゼルダさん。 そしてご主人様と一緒に食卓を囲めることの嬉しさは、他のどこにも負けない喜びがある。 私にとっての唯一無二の幸せな場所。 それを今のご主人様は、惜しみ無く私にくれた。 私は今のご主人様に拾われなかったから、あのままの私だったら、生きることにすら希望を見いだせなかったかもしれない。 私はご主人様の側いられるのならば、それだけでも幸せなのだから。
まだまだご主人様の横に行くことは出来ないかもしれないけれど、それでもご主人様に褒められたい。 「よく頑張ったな」って言って、頭を撫でて貰いたい。 それをして貰っている時が、私の中で一番幸せに感じる時間だから。 ちょっとわがままを言って、一緒の布団で暖まって眠りたい。 最期の時まで、私は、ご主人様の忠実なる従者ありたい。
だからこんな形で別れたくない。 ここで負けてしまえば、ご主人様に二度と会えなくなってしまう。 それは私として生きる上で、心を保てなくなってしまうから。
負けたくない! 負けたくない! ご主人様と一緒にいたい! 嫌! 嫌!
「私を、置いて、行かないで、下さい! 私を、もう、ひとりぼっちに、しないで、下さい! 負けないで、下さい! ご主人様!!」
そう言って差し伸べた私の手が光始めて、淡いピンク色の光が発せられる。
「アリフレア! その光は・・・スキルを・・・発現条件が整ったのか!?」
「なにをしたところで今さら遅いんじゃボケ! さっさと止めを刺されんかい!」
ゴブリンさんの攻撃が振り下ろされるその瞬間、私が最後に見た光景は、私の手からピンク色の光がご主人様の元に届くところで、そこからは私の意識は・・・無くなってしまった。
次回、アリフレアが発現させたスキルとは?
現状を書かないのは、ぶっちゃけ警官の「隠れ蓑スナイパー」が増えたのと、セイジのライフコアが減っただけなので、敢えて書かないことにしました。




