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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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下りのルート

妖艶的な夜の翌日

 雨は降られたものの一日中降っていた訳じゃなかったのが幸いで、一日で出発を再開できた。 ドーホースやヨコッコ達も体力は十分に回復できたようだし。


「さてさて、このまま頂上まであとどのくらいなんだ?」

「そろそろ下りに入ってもおかしくはないと思うのだが・・・ む? どうした? ベルロッテ。」


 ベルジアの愛馬ベルロッテがなにかを察したようだ。 いやベルロッテだけじゃない。 俺達の乗っているドーホース達も、なにかを感じたようだ。


「商人か?」

「ううん。 違うって感じ。」


 目の前から何がやってくるのかと思ったが、ドーホース達は歩みを早めたのだ。


「お、おい! 走ると危ないだろ?」

「上になにかあるんすかね? アリフレアちゃん、ちょっと上を見てくるっすから、これ羽織ってるっす。」

「はい。 お願いします、ファルケンさん。」


 そう言ってファルケンはドーホースの上に立ち、そのまま上に飛んでいく。 風の調子は相変わらず強いが、上へ飛んで降りる位なら訳もないだろう。 そう思っていたら、ファルケンが戻ってきた。


「どうやらここを登りきれば山頂のようっす。 野生動物や盗賊も見当たらなかったので、今なら大丈夫っす。」

「そうか。 ベルロッテ達も、それに気が付いていたのか。」

「急ぐのはいいけど、慎重にな。 俺達も乗ってるし、ファルケンが見てきたタイミングだけいなかったのかもしれないから。」


 ドーホース達は賢い動物だと聞いてはいるが、人間の言葉が分かるのかどうかまでは定かではない。 だがドーホース達は自分達の力量を分かっているはずなので、無理はしないはずだ。


 そして数分後、そこは今までの山肌に覆われていた場所とは違い、かなり開放的になっていた。 本当に頂上らしい。


「ふぅ。 ようやく着いたんだな。」

「うむ。 後は下っていくだけだな。 下っている途中で領地には入るようだし、このまま進めれるところまで進んでいってしまおう。」

「それもそうだな。 ゼルダ、これから山を下るから、もう少しの辛抱だぜ。」

「・・・そう? 下に行けば、多少は、寒さも、和らぐ、だろうね。」


 ここまで来たなら休みはいらない。 ある程度の下りのショートカットは出来るだろうから、ドーホース達に、無理の無い程度に道を進んでいって貰おう。

 そう思った矢先、ドーホース達が岩影の方に移動し始めた。


「どうした、んですか?」

「なにか来るみたいっすね。」

「岩影に隠れたって事は、やり過ごした方がいい相手って事か。 様子を見よう。」


 そう言って俺達も岩影に隠れる。 個数があったので、ドーホースから降りてそれぞれの岩影に入った。 俺とベルジアが前の岩影、ファルケンがアリフレアとゼルダを羽織る形で隠れる。 戦闘になれば俺とベルジアで先制出来るようにしてある。


 逆サイドから登ってきたのは盗賊のような格好をした一団、一団と言っても多くて10人ほどだ。 対した数ではない。


 馬などを使っていないので、恐らく素手やらピッケルやらで登ってきたのだろう。 背中にはリュックがあるので、普通の登山のようにも見える。 あまりにも軽装であることを除けば。


 そして一団はなにかを喋りながら俺達が登ってきた方へ向かっていき、そして下っていった。 俺は地面に耳を当てて、足音が無くなるのを確認した。


「うーん、なんだったんすかね? あいつら。」

「盗賊に対していちいち探りを入れることはないだろう。 仮に普通の登山家ならば、この先の町に向かっているかもしれない。」

「どっちみち関係はないな。 面倒な事になる前に対処出来て正解だったな。」


 そう後ろのドーホース達を見る。 今回の旅でドーホース達の有用性がかなり分かってきた。 彼らの危機感知能力は俺達よりも優れている。 今後も頼りにさせてもらうぜ。


 さて下りになる方の道なのだが、これまた険しい・・・かと思いきや、段差状に道が出来ていて、ドーホース達は俺達が落ちないように注意を払いながらまっすぐに降りていく。


「これならば夕暮れ時には降りれる可能性があるな。」

「ああ、横穴も結構あるし、疲れたらそこに入ればいいしな。」


 登りよりも下りの方がイージーなのは結構なことだ。 変に戦うこともないし、ドーホース達がペースを考えてくれることもあって中々に順調だ。


「それにしても、さっきの盗賊とか商人とかは、このジグザグした道をわざわざ通ってるってことなのか?」

「いや、それはないだろう。 恐らくは別の道があると推測する。 人だけで行くには登りは急すぎるし、商人たちの馬車では荷物の関係で通れないこともある。 また来る事があるかは分からないが。」


 後ろを振り返りながら言うベルジア。 確かにベルジアの領地であるアルフィストまでの事を考えると通らざるを得ないが、別にこの道を通らなくても帰れるだろう。


「どうだ?ゼルダ。 大分暖かくなったんじゃないか?」

「そうだね。 下り始めたら身体の体温が戻ってきたよ。」


 下っている途中で道の邪魔にならないように端に寄って食事を取っている。 そろそろ食料も危なくなってきていたりする。 商人から買った果実類は基本的に先に食べてしまっているので、後は保存しやすいように加工した肉類となる。


「こういった食事をするのも後どのくらいっすかね。」

「なんだ? 口惜しいのか?」

「いやぁ、やっぱり野性味のある食事を覚えると、ちょっと料理されたものじゃ物足りなくなりそうっすから。」


 それだけアリフレアが頑張ってるって事だろうな。 こういってはなんだが俺達の最大限動ける位の量を、毎回食料の最小限で行っているのだ。 それは俺達だけでは出来ないことであった。 そんなことを思っていたから、無意識にアリフレアの頭に手が伸びて、優しく撫でていた。


「ひゃっ! ご、ご主人様?」

「あっ、と。 すまんすまん。 悪かったな、食事中なのに。」

「い、いえ。 大丈夫、です。」


 自分でも分からなかったが、頑張っているアリフレアの頭を撫でたくなったのだ。 衝動的、とでも言うのだろうか? 良く分からないまま食事を続けた。

 山頂よりはかなり温度は高くなった。 だけど俺はドーホースの搭乗順番を変えていない。


「なあゼルダ。 なんで俺はまだ君の後ろで支えているのだろうか? 暖かくなってきたなら、別に配置を変更してもいいんじゃないか?」

「そうするとセージさんはアリフレアちゃんと一緒に乗るでしょ? それはなんだか面白くないからさ。」

「面白くないって・・・アリフレアは俺の4つ下だぞ? 流石に手は出さないって。」

「君はそうかもしれないけれどね。 女を知った自分は怖いよ?」


 言っている意味が良く分からないが、おそらくホセラーニの中心街までこの調子だろうから、もうなにも突っ込まないことにした。 多分言うだけ無駄だと感じたからだろうな。


「それで、領地に入って、中心街に行くはいいが、前回みたいに手紙なんか無いし、今回からは領主に会うことは、本気で厳しくないか?」


 俺達はあれから完全に山を下りきり、夜になった森で野宿の準備をしているところで、俺がふと気になったことをベルジアに言った。


「その辺りは私が次期領主だと言うことを説明すれば、問題はなかろう。」

「そんな簡単に納得するか? というか証明できるものは持ってるのか?」

「心配ない。 前回は見せなくても納得して貰えたが、今回はこれがある。」


 そう言って首もとから出してきたのはペンダントだった。 表には紋章もある。


「これは領主一族にしか渡されないペンダントとなっていて、この紋章はその領地を示している。」

「これだけじゃ証明にならなくないか? そんなかになにか仕掛けがあれば話は別だが。」

「この中には私達家族の写真がある。 それにこの紋章についてはこの国の領主なら知っているし、互いの顔はそれなりに見ている。 実際に会ったわけではないので、どこまで信用して貰えるか分からないが、最近の写真が1枚でも送付されていれば、それと見合わせて貰えれば、分かって貰えるだろう。」


 曖昧なことを言うなぁ。 それで失敗しても、俺達に降り注がせるなよ?


「一応ホセラーニの領地の現状は把握している。 交渉は任せておいてくれ。」

「お国の話はそっちに任せるよ。 とりあえずはこの国を回ることが俺の当面の目標だからな。」


 そうしてベルジアと会話した後に、食事を吟味して、寝る前にカードの使い方などをみんなと見比べて、そして眠った。 明日はホセラーニの中心街。 こちらからのトラブルだけは起こさないようにしないとな。

次回久しぶりの領地での話

書いておいてなんなのですが、ここまで来るのにかなり長く感じました

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