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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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ゼルダに対策

ゼルダに起きた異変とは。

「どうぞ、ゼルダさん。 温まりますよ。」

「・・・ありがとう。 アリフレアちゃん。 ・・・ふぅ。」


 たまたま近くにあった横穴に入り、まだ日が高い段階だが、俺達は暖を取っていた。 というのも


「・・・完全に迂闊だった。 ゼルダがリザードの亜人だって事を忘却してた・・・」


 そう、ゼルダが倒れた理由が「身体が急に冷えてきたから」というものだった。 確かにここは標高的には高いが、まだ風が涼しく感じる程度。

 だがそれはあくまでも俺達の感覚で、ゼルダにはかなり身体的に危うい状態らしい。


 そしてその原因が、ゼルダの亜人体質にあった。 ゼルダはリザード系の血を引いている。 つまり身体の構想が人間とは異なるのだ。 そしてリザード系の特徴として体温が低くなりやすいというものがあるのだ。

 とはいえこれに関してはそういう亜人だと分かった時点で予測が付いたことでもあった。


 リザード系=トカゲ系


 トカゲ系=爬虫類


 爬虫類=変温動物


 といった具合になっていくのを考えきれていなかった。


「ははは。 ボク自身も、こうして外に出ることが、無かったからね。 こればっかりは、誰も悪くないよ。」


 そのゼルダの言葉もそうだが、身体の震えを止めようとしているゼルダの反応も、逆に痛々しくなってくる。


「しかしこのままでは先に進むのは難しいだろう。 ここからは更に標高が高くなる。 下にいる時よりも、かなり厳しい寒さになってくるぞ。」

「そうっすね。 それにこの風だと俺っちも飛ぶ方が身体に負担が来てしまうっす。」


 みんながそれぞれの意見を言う。 一応こうなることも想定されている上での登山道具なのだろうが、なにをどう使えば有効的かが分かりにくくなってくる。 カードゲームに関しては色々と知識があるが、こういった場面では俺はからっきしだ。


「・・・少し時間をくれないか? どうすれば登山を攻略できるか、考える。」


 俺は横穴から風を当たりに外に出る。 そして考える。 環境の変化に順応しなければ、みんな行き倒れになってしまう。


 まず考えなければいけないのはゼルダの低体温になりやすい体質だ。 これはゼルダの身体を暖めるだけでは意味がない。 風からも身体を守らなければいけない。 しかしこれ以上ドーホースの歩行速度を下げたところで風の抵抗は受ける。


 それにさっきもファルケンが言っていたように、ここで飛ぶのが難しいとのことだ。 つまりドーホース達に乗る人数も考えなければいけないし、ドーホース達にも負担になる。 急く必要が無いとは言え、早いところ山は抜けないといけない。 さて、どうするか・・・


「随分と悩んでいるな、セイジ。」


 ずっと考えていたら、ベルジアが声をかけてきた。


「ここで魔法の存在があれば、少しでも和らげられる気がするんだけどなぁ。」

「無い物ねだりはするものではないだろ? 私達は出来ないんだ。 出来る範囲でやるしかない。 それは貴殿のカードバトル講座で教わったことだ。」

「とは言えなぁ。 方法が無いわけじゃないだけに、考えることが多いんだよ。」


 考えている方法ならば、恐らくは大丈夫だろうが、不安は拭いきれないのだ。


「やってみるだけやればいいさ。 我々だって完全否定はしないのだから。」

「そういうものか? それなら・・・」


 そういって今後の事を話した。



「どうだゼルダ。 まだ寒さは感じるか?」

「ううん。 さっきよりは寒くないよ。」


 そうして考えた結果としては、まずドーホースに乗るメンバーのチェンジを行った。 ゼルダを俺が後ろから抱えるように乗り、アリフレアもファルケンの羽に守られるように抱えられている。


「なんか悪いなベルジア。 お前だけそれだけ厚着させてしまって。」

「なにを謝る必要があるのだ。 私だってこうなる上で準備をしてもらっているんだ。 気にしてはいけない。」


 そう、1人でドーホースに乗っているベルジアだけは、稼働区域が制限されない程度に厚着をさせた。 ここから先はかなり温度が低くなるのでそうせざるを得なかった。


「それにこのタイミングでヨコッコ達が卵を産む以外で役に立つ日が来るとはなぁ。」


 そう、俺達の服の一部に使っている羽根なのだが、これは大きくなったヨコッコ達が、身体をブルブルと震わすと多めの羽根を落としてくれた。 その羽根は1枚でもフワフワしていて、これで防寒が出来ると言うことで、使わせてもらったのだ。 ちなみにそのヨコッコ達は大きいのは俺達とアリフレア達に、残りの小さいのはベルジアが全員持っている。


「これならなんとかこの山を越えられるか?」

「過信はよくないだろう。 ここで悪天候が続けば足止めも考えなければいけない。 まだまだ先は長くなりそうだな。」


 それもそうか。 ならやれることをやっていこう。


 さて、大分登った感覚はあるのだが、まだ頂上には着かないのか。 下を見れば崖のような空だし、上を見れば山肌がある空。 ドーホース達も下手に進むのは良くないと、走るのを止めている。 山肌のせいでまともに上に行くことも出来ない。 焦るなぁ。


「段々風が強くなってきたっすよ。 このまま行くのは、少々無理無くないっすか?」

「しかし横穴もあれから見つかっていない。 なんとか陽が暮れる前には見つけたいところだが。」


 あんまりドーホース達も体力を消耗させたくない。 それに空に雲が見え始めている。 これは先進もうにも、雨風にやられそうな勢いだ。 明日は様子を見るしかないな。 ゼルダの事もあるし。 そう思っていると、ゼルダの息が荒いことに気が付いた。


「ゼルダ? 大丈夫か?」

「・・・あ、うん。 一応は、大丈夫、なんだけど、早く、泊まれる場所を、探さないと・・・」


 自分の体力の限界が来ているのだろうか? とにかく今回野宿する場所を見つけなければ。 狭ければ最悪掘削しなければならないし、早く見つけないと。



「さて、どうやって今後を進めんで行くかな。」


 俺はなんとか横穴を見つけて、今後の方針をみんなで考えることにした。


「まずは天気っすね。 このままだと雨か雪になる事は確かっすね。」

「それは匂いで分かる。 強かろうが弱かろうが、あまり前には進めないな。 崖崩れや土砂があるとどのみち進めないし、なにより巻き込まれる可能性がある。 死んだら元も子もない。」


 しばらくはこの洞窟に滞在する羽目になるな。 道のぬかるみなんかを考えれば2日は足止めか。


「で、別ルートってあるんすか?」

「ここの道以外では聞いたことはない。 山で暮らすものがいたら、情報を貰っておこう。 私達以外にも利用している人間はいるはずだ。 それに、商人達だって、本来は山頂まで登る必要は無いのだからな。 脇道かなにかはあるはずだ。」


 ベルジアの話も最もだ。 これ以上山を登るのはいかんせん厳しすぎる。 俺達は登山家じゃない。 下れるなら領地内じゃなくても下っておきたい。


「後は・・・」


 俺はアリフレアと共に暖を取りつつ料理をしているゼルダを見る。 もし彼女の体力が、低温により落ちているのならば、一刻も早く下らなければならない。 ここまで登っておいてなんだが、引き返すことも視野に入れておこう。


「食事による体温上昇促進と身体強化はなんとかなるけれど、あまり時間は持たない。 それっぽい物をゼルダに定期的に摂取させることも可能だけれど、数の事を考える必要が出てくるしなぁ。」

「今のところ猛獣も盗賊もいない。 下手に歩を進めることはない。 何度も反芻するようだが、焦る必要はない。 慎重に、確実に行くんだ。」


 頭の中では分かっているけれど、何度でも言われないとすぐに忘れそうだからな。


 アリフレアがこちらに目を向けてくれたので、恐らく料理が出来たのだろう。 食事をし、夜に少しだけカードバトルを行い、そして眠りに付くことにした。


 静寂の夜。 特に眠れなかった訳じゃない。 なのだが何故か目が覚めた。 またもう一度眠れるようにとテントの外に出て見ると、ゼルダがなにかを飲んでいた、 湯気が出ているから恐らく夜に食べたスープの残りを暖め直したのだろう。


「やあセージさん。 起きるにはまだ早いよ?」

「ゼルダの方こそ大丈夫なのか? トカゲの血を引いているから夜行性なのも分かるけれど、寒さはいいのか?」

「うん。 むしろ眠れなくて困ってるくらい。」


 そう言っているが、まだ身体の震えはあるようだ。 とは言え昼間よりはましにはなってるか。


「それで、こんな時間までなにを?」

「今のままだと、アリフレアちゃんに次いで、ボクが一番弱いからね。 少しでもカードを知っておかないとね。 君たちみたいに強くはなれないけれど、それでも足手まといにはならないよ。」


 そう言うゼルダ。 こういってはなんだけれど、基本的にはカードバトルは俺達の専門分野だからあんまり任せたくはないんだけど、まあ1人で戦う羽目になったときの事は考えておいた方がいいよな。 うん。


「アリフレアちゃんが心配?」


 どうやら無意識にアリフレアが眠っているテントを見ていたらしい。 その言葉にどう説明するやら。


「アリフレアは親に捨てられたのか、しばらくは1人で、拾われた場所も悪かった。 アリフレアの場合はほほ一から教えなきゃいけないんだ。 流石に心配とか言うものじゃないから。」

「そういうものなの?」


 うーん。 そこはよく分からないんだよな。 そのあたりはまあ、母性本能? とでも言っておくべきか?


「まあいいや。 まだスープはあったよな。 一杯くれるかな?」

「うん。 まだ暖かいから、そのまま注げれるよ。」


 そう言ってカップに入れる。 そして俺もスープに口をつける。 うん。 これならまた眠れるな。


「本当にごめんね。 ボクがこんな体質だから。」

「もしかしなくても、亜人が迫害される理由のひとつだったりする?」

「そうとは言えないんだけど、そう言う人もいなくはないんじゃない? ボクみたいな亜人だと特に。」


 そう言うのも含めての亜人の特徴なはずなんだけどなぁ。 そこまで忌み嫌うとなると、よっぽどなにかあったのか、そもそも先祖からなのか。 どっちみちそう言った輩と会う時は注意しないとな。


「・・・ふあぁぁ。」

「セージさん、眠たくなった?」

「ゼルダはまだ眠くないのか?」

「んー。 少しだけ、かな。」

「そう。 それなら俺は寝るから、ゼルダも適当に寝るんだぞ。 と言っても天候的に、しばらくは進めないんだよね。」


 そう頭をかきながら自分の布団に入る。 そして違和感を覚える。


「うん。 ゼルダ。 眠たくなったのかなとは思うよ? 思うんだけどさ。」

「うん。」

「・・・なんで俺の布団に入ってくるのかな? 君の布団は向こうだろ?」


 完全に俺の布団に入り込んできたゼルダに、疑問を聞いた。


「ふふっ。 こうでもしないとセージさんに近付けないからね。」

「だからって布団に入ることは無いだろ? あともうひとついい?」

「なにかな?」

「なーんで、服を脱ぎ始めているのかな? それにそんな格好で抱きついてこられると困るんだけどなぁ。」


 いつぞやの時みたいになっているようだ。 本当になんでだ?


「こういった時は人肌で暖めるって話を聞いたことがあるんだけど。 どうかな?」

「うん。 決してこういった場面でないことも知ってるんだけどなぁ?」

「・・・それにね。 ドーホースと一緒に乗った時に抱き付かれて・・・ちょっと、感じちゃったんだよね。」

「それなら尚更駄目だね? 俺の貞操の方が危険なんだけ・・・ど!?」


 逃げようとしたらがっしりと捕まれた。 こういう時には亜人が強いな!


「別にいいじゃないですか。 前回みたいに邪な気持ちは無いんです。」

「前回のあれはあったのかよ!」

「それともボクの事は嫌い?」

「嫌いじゃないから余計に困るんだっての! ・・・はぁ。 本当に人肌で抱くだけだからな? それ以上の事は絶対にしてくるなよ?」

「はーい。」


 そう言って俺達は眠りについた。 と言っても俺はゼルダの甘いかおりにやられてしばらくは眠れなかったが。

ゼルダが抱きついている形になったけど、本当になにもやってないぞ☆ 朝起きたときはベルジア達が驚くだろうけど。


ちなみにゼルダには「夜行性」という設定を備えるか、検討中です

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