攻防一体
「俺のオープニング、そしてドロー!」
そしてドローし終えると、「薄暗い霊園」の効果で怨霊が下から現れる、どのような念が籠められているのか分からないが、現世に怨みを持つように、フィールドに現れた。
「プラポレーションタイム。」
俺は手札を改めて見てみる。 最初の2枚を含めて、先ほど引いたのは「マジシャンドール」。 フィールドには攻撃の出来ないキッキングホークと怨霊2体、先ほどは様子見で使わなかった手元のモンスターを召喚しよう。 コストは高いがな。
「俺はコストを18払い、「怪盗ハンドスティール」を召喚!」
『モンスター:怪盗ハンドスティール レアリティ 銀 コスト18
種族:アンチマン
「召喚時」相手のカードをランダムに1枚使用する。 その時に発生するコストは2倍となり、使用したカードは相手の手札に戻る。
1ターンに1度、ライフコアを10支払うことで、召喚時効果を利用できる。
ATK 16 HP 30』
高レアリティとしては初のお披露目は、黒のシルクハット、目元にマスク、黒のタキシードに革靴と、どこぞのアニメの格好をしている完全なる人型のモンスターだった。 向こうのモンスターの時にも気になったが、アンチマンという種族は一体なんの扱いなんだろう?
「怪盗ハンドスティールの効果発動! 相手の手札のカードをランダムに使用する!」
ハンドスティールは目の前から消えたかと思うと、相手の目の前に現れ、その中で手札の一枚を抜き取る仕草をしたと思えば、もう一度目の前に戻ってきて、半透明なカードを俺に見せてくる。
『魔法:暗闇からの物音 レアリティ 水色 コスト3
相手モンスター1体を、次のターン、コンバットタイムでバトルを出来なくする。』
行動制限カードか。 確かに今はキッキングホークは攻撃が出来ないから相手の攻撃を凌ぐには適切なカードだな。
「俺はコストを6支払い、魔法カードを使用する! 対象はオックスフォードにだ!」
そう言うと先ほどまで暴れていたオックスフォードは怯えた様子を見せる。 効果は抜群・・・ん? そこまで怯えるほどか?
「はっ! モンスターじゃなくて残念だったな。」
別にそこは気にしていない。 むしろ攻撃を1体止めれたのでむしろこちらの方が楽だ。 だがあいつがオックスフォードを見る目がなにやら様子がおかしかった。 詳しくは分からないが、恨んでいる?
「・・・まあいいや。 俺は怪盗カードスティールで商人ドゥーレイを攻撃!」
スティール(カード名が長い場合は略称することにする。)はドゥーレイの前に現れ、マントをドゥーレイと共に被り、次に広げたときにはドゥーレイの姿は無くなっていた。
「ちっ! カスダメージが!」
確かに体力と攻撃力の差は1なのでダメージは通りにくい。 なによりドゥーレイにはディービーストを2体呼び出す効果を持っている。 怨霊を攻撃させても1体は残ってしまう。
「だが大量にモンスターを残すよりは遥かにましだ! 怨霊達よ! その獣を呪い殺せ!」
怨霊2体は1体のディービーストに近付いて、なにかを囁きかけると、ディービーストは動かなくなった。 しかしオックスフォードが攻撃出来なくなった所で、ディービーストは残る上に、怨霊の体力は1、大ダメージは避けられない。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
こちらは幕を引いた。 ライフコアも戻ってきたのを含めてもまだ「87」残ってる。 向こうはどう動く?
「俺のオープニング! そしてドロー! プラポレーションタイム! 俺はコストを3支払って、魔法:暗闇からの物音を発動! この効果を怪盗ハンドスティールに使用する!」
先程のカードにより、スティールが行動不能になってしまった。 しかし体力は30あるので一発では倒れない。 狙うとするならば怨霊だろう。
「ちっ、他に使えるカードがねえや。 コンバットタイム! 怨霊を取っ払え!!」
ディービーストが怨霊とバトルを繰り広げ、怨霊があえなく倒される。 差が7なので俺のライフコアが7つ減り「80」となる。 まだまだライフは温存しておきたいものだ。
「クールタイムに入り、エンディングだ。 その領域が仇となったな!」
向こうはなんか得意気に言っていて、なんのことかと思いながら手番が回ってくる。
「俺のオープニング。 そしてドロー。」
すると下から怨霊が2体現れ・・・あぁ、そう言うことね。
このカードゲームはフィールドには5体までしかモンスターを出せないので、この時点でスティールにキッキングホーク、怨霊が3体となり、全て埋まってしまったのだ。 確かにこれでは新しいモンスターを出すにはどのモンスターかが倒されない限りは新しくモンスターの召喚が行えない。 だが、手札にあまりいいカードがないので、今はそれでも問題はない。 ここでスティールの効果を使ってもあまり役には立たなそうだ。
「プラポレーションタイムを終えて、コンバットタイム! キッキングホークと怨霊3体でその檻を攻撃するんだ!」
怨霊達とキッキングホークは三位一体の攻撃を檻に思いっきり攻撃を加えるがあまりに頑丈なのか檻を凹ますことも叶わなかった。 檻の耐久力を考えるともう一度、二度同じ攻撃をしなければならないのだが、そう簡単にはやらせては貰える筈もない。 向こうも必死になることだろう。
スティールが攻撃出来なかったので、予想以上に相手の優位を作ってしまうことになってしまった。 手札にも今はあまり期待が出来ない。 次のターンはかなり痛手を食らうことになりそうだ。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
「俺のオープニング! そしてドロー!」
カードを引き終えた奴の顔がニヤケ顔に変わる。 ここでその表情、最悪の展開が待っていそうだ。
「俺はコストを20支払って、「従わせし女帝 クーリァンセ」を召喚する!」
『モンスター:従わせし女帝 クーリァンセ レアリティ金 コスト20
種族:傭兵
「召喚時」ディービーストを1体召喚する。
場に「ディービースト」、または「保存の鉄檻」がある場合、そのモンスターの体力5を攻撃力に加える。
ATK 20 HP 45』
現れたな、金レアモンスター。 現れたのはバニーガールスタイルの服装に鞭を構えた妙齢の女性だった。 名前は違えど、ああしてみると大人な映像に出てくる女王様とか言う奴に見えなくもない。 あ、別に見たことがあるとかそう言うのじゃなくって、なんとなくあんなのがいたなぁと思うだけ。
そしてあの女帝の効果、なにより厄介なのは純粋な火力に加え、自分の味方の強化を促す効果を持っていることだ。 倒すだけでも一苦労なディービーストや、暴れることの無くなったオックスフォードが来ると考えると、かなり危うくなる場面ではある。 俺の場にはキッキングホークがいるので次のターンの攻撃を破棄すれば攻撃を1度だけ凌ぐことは出来る。 だがタイミングを謝れば、下手をすれば負けかねない。
「コンバットタイムだ! クーリァンセの効果で俺はディービーストとオックスフォードの攻撃力をあげる! そしてオックスフォードで忌々しい鳥を攻撃しろ!」
オックスフォードが檻から放たれ、更にクーリァンセの鞭により士気を高めたのか更に勢い良く突っ込んでくる。 もう少し様子を見たかったが仕方がない!
「キッキングホークの効果! オックスフォードの攻撃を無効にする!」
キッキングホークは風を起こし、もう一度オックスフォードを檻に戻す。
「くっくっくっ! お前がそいつを守ろうとしているのは分かっていたからなぁ。 これで心置きなく怨霊どもに攻撃できるぜ! 行け!ディービーストども! 怨霊に引導を渡してやれ!」
そうして俺の霊園に、もはや本当に獣と変わらない姿の物が怨霊と戦っていた。 本来なら攻撃は当たらないのだが、ゲームにおける世界なので、良しとしよう。
「うぬぐっ! かぁ・・・!」
しかし攻撃力13というのはあまりにも大きく、12×3が俺のライフコアを襲う。
「まだまだ行くぜぇ! クーリァンセでキッキングホークを攻撃! その厄介な鳥を排除しろ!」
クーリァンセは鞭を巧みに使い、キッキングホークに当てていく。 そしてキッキングホークは倒れ、俺に更に8のライフコアを失った。
「はっはっはっ! どうだ! これが俺のコンボだ!」
食らって初めて分かる。 このコンボはこれ以上長引かせると危険だ。 とにかくあの女帝を崩さなければ、俺は・・・負ける・・・!
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える!」
敵のライフコアは「78」、俺のライフコアは「36」。 半分近くの差が生まれてしまった。 しかもここから厄介なのが、俺はライフを半分も削れないということだ。 ここから巻き返すには奴のライフコアをそれ以下にしなければいけないこと。 なんとか手立てを見つけなければ。
「俺のオープニング、そしてドロー。」
現状
相手 ライフコア 78
従わせし女帝 クーリャンセ
オックスフォード
清司 ライフコア 36
怪盗ハンドスティール