才能強化
前回の続きです
ベルジアの巧みな話術により、2人は制約ではないカードバトルを始めた。 その様子をボクとアリフレアは別の場所、厨房から見ていた。
「ご主人様。 大丈夫で、しょうか?」
心配すらアリフレア。 それもそのはず。 ここにはセージ、それにファルケンがいないのだ。 それにはれっきとした理由がある。
今回の行う作戦としては、まず前提としてセレタとサンキをまずは採取する事。 これに関しては時期が時期以外ならばほぼ毎日のように採れるという事なので、そちらを補助としてセレタの方をセージさん。 サンキの方をファルケンが行っている。
それならば残りのボク達のなんなのかという話になる。 ベルジアは彼らに「話し合い以外での解決策」を提案し、朝から大声をあげさせずに彼らを戦わせる。
そして今回の要はアリフレアだとセージは言っていた。 それもそのはず。 アリフレアには2つの食材を料理をしてもらう事になっている。
「私に、出来るで、しょうか?」
「大丈夫だよ。 セージさんもアリフレアちゃんの事を信用してるから。 それにあの二人なら丁寧に教えてくれるでしょうし。」
この作戦、成功率の方が高い。 それは当然の事なのだけれど、万が一の事を考えれば失敗は許される事ではないのもまた事実。
「まずは帰ってくる事だけを願おう。 アリフレアちゃん。」
「・・・そうですね。 私も、ご主人様を、信じます。 いえ、必ず、戻ってきます。」
「そうだよ。 アリフレアちゃん。 想いは通じるから。」
ボクたちの役割はまだない。 だから今は待つしかない。
―――――――――
「まさか海に出ても魔物がいるのは分かっていたけれど、あんたを守りながらってのは、意外と難しいの、な!」
俺は1隻の船に揺られながらサバイバルナイフを振り回していた。 何故ならタリスさんが釣っている最中襲ってくる、ピラニアのように凶暴な牙を持った魚が、いくつも翔んできているからである。 今回の船旅で俺も釣りをするのかと思っていたのに、船が止まって早々にその魚の猛攻が始まり、普通なら釣りどころの騒ぎではないのだが、ロットさんが釣竿を平然と取り出して、釣りをし始めたので、俺が対処をしている羽目になっているのだ。
「いつも、こんな感じ、なんですか?」
「そうだよ。 何時もは僕が対処側なんだけど、君の方が機敏そうだったから、任せてもらってるよ。 それと、その魚も船に乗った奴は持って帰るからね。 それも立派な食材だよ。」
料理人というのはここまで逞しくなれるものなのだろうか? 数や戦闘力はあまり多くはないけれど、一体一体が不規則に翔んでくること、船の上なのでバランスを取るのが難しい、それにロットさんを守らないといけないのの3拍子が揃っているので、かなり厄介な状況なのである。
「それで、そっちの方は、順調ですか?」
「うん。 なに不自由なく、釣り上げられているよ。 もう少し頑張ってくれると嬉しいかな。」
「それはどうも。 このまま釣り終われ・・・ばぁ!?」
「どうしたんだい!? セージ君!?」
「ナイフが・・・壊れた・・・柄の部分が、折れた!」
柄の部分を持ちながら、刃の無いナイフを持って唖然としてしまう俺。 この間にも凶暴な魚は迫ってくる。 どうする!? なにか無いか!? 船の周りを見ていると、目に映ったのはひとつのモリだった。 テレビとかで良く見ていたものだけれど、背に腹はかえられん! モリを取り俺は迫りくる魚を突いて突いて突きまくる。 モリなので普通の槍とは勝手が違うし、魚を逃がさないための反し爪もあるので、中々魚が離れない。 それでもとにかく突きまくった。 釣りが終わるまでは気が抜けないかである。 しかし牽制にはなっているようで、先程よりは翔んでくることが無くなったのだ。
「よし! これでノルマは達成した! セージ君! このまま船を出すよ! 揺れは激しくなるけれど、振り回されないように!」
「分かりましたので、早く出して下さい!」
そういって船は面舵いっぱいして、俺達の乗った船は港に戻るのだった。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
「ようやく戻ってきたっす!」
俺とロットさんはそれなりの量の入った網を持ちながら走ってきたので、もう息切れ寸前なのだが、作戦遂行のため、まだ仕事をしなければならない。 それに
「ファルケンがいるってことは、サンキの方も大丈夫っぽいな。」
「うっす! アリフレアちゃんの方も準備出来てるっす!」
「よし! 早速持っていってあげよう。 まだ時間に余裕があるとはいえ、早めにやることに越したことはないからな。」
そう言って俺は厨房の奥に進む。 そしてサンキの下処理をしているアリフレアの元にいった。
「アリフレア。」
「ご主人様。」
「調理は順調か?」
「はい。 後は、そのお魚さんを、調理するだけ、です。」
「分かった。 料理の種類は任せるから、後は頼んだぞ。」
「はい!」
そう言ってアリフレアに魚を渡して、ロットさんもタリスさんと一緒に調理を手伝って貰うために厨房に入ってもらう。 そして俺は外に出てベルジアと合流する。
「それで? 戦いはどうなってる?」
「それは・・・」
「はっはっはっ! 俺の勝ちだな!」
「なにをぉ!? もう一戦じゃ! 次はワシが勝つ!」
「次も同じ結果じゃろうて。」
「「さぁ、劇場の始まりだ!」」
両者ともに一歩も引かずにただただ遊んでいた。 どちらも昨日のような剣幕は一切見られない。
「ま、互いに認めあっているとは思ってたんだよな。 じゃなかったら言い争いをする理由なんて無いんだから。」
「さて、それはそうと、アリフレアに任せて大丈夫なのか? それにゼルダはどうしたんだ?」
「ゼルダはこの後に仕事をしてもらうさ。 それにアリフレアは俺達が見ていない方がずっと成長出来る。 俺はアリフレアには、最終的には俺の元から離れても生きていけるようになって欲しいだけなんだ。」
「そんなことを言ったら、アリフレアちゃん、泣くっすよ? 師匠。」
「冗談じゃないけれど、もしもの時の話をしているだけだ。 俺があの子を1人にすると思うか?」
その問いかけにファルケンは首を振るだけだった。
それから周りの人達が集まり始めた時間になって、
「ご主人様。 出来ましたよ!」
アリフレアがロットさんとタリスさんと共に厨房から現れる。 手には皿に盛られた魚料理があった。
「良かった。 ちゃんと毒抜きの方法は習ったか?」
「はい! ご主人様。 まずは一口、どうぞ。」
そう言って皿を差し出してくるアリフレア。 毒抜きがされているなら問題はない筈だ。 そう思いながら箸を持ち、そして調理されたセレタを食べる。 セレタのたんぱく質な味に、少々の苦味と甘味の混じったスープと合わさり、この朝に心地いい気持ちを与えてくれる。
「うん。 バッチリだと思うよ。」
「この子はすごいセンスを持っているよ。 料理の事を習う機会があったら、是非習わせてあげて欲しい。」
料理屋の人に太鼓判を推して貰えるとは、本当にスゴいんだろうな。 アリフレアの料理スキルは。
「さてと、じゃあそろそろ仕上げと行こうか。 ベルジア。 あの二人を止めてきてくれるか?」
「分かった。」
「ゼルダ。 こっちも準備に取り掛かるぜ。」
「もう、待ちくたびれましたよ。 セージさん。 ボクだけ仕事が与えられなかったんだもん。 その分頑張るからね。」
そう言いながらゼルダは料理を皿に取り分けて、集まった人達に配り始めた。
「なんだよあんちゃん。 折角良いところだったのに。」
「ぬわははは! 負け続きだったのによう言うわ!」
「まあまあお二方。 沢山遊んだのでお腹も空いていることでしょう。 どうぞ、これは我々が用意した魚料理です。」
そう言ってベルジアは2人の前に料理を出す。
「ほう、中々によい香り・・・む? この匂いは・・・」
「ワシは頂くぞ。 お前との戦いで腹ペコなんだ。」
そう言ってロットさんの方の親父さんが一口食べる。 すると目を見開いた。
「おい、お前も早く食ってみ。」
「なんじゃ? なにかあったのか? ・・・これは!?」
「お気付きになられましたか? これはセレタとサンキを有効的に使った料理となります。」
「そ、それは分かる・・・分かるが・・・セレタの毒抜きはかなりの技術がいる筈だ!」
「そ、それにサンキの苦味がほとんど無い! それでいて砂糖の甘さの餡が上手い!」
「そうです。 お互いにいがみ合っていた品物は、こうして正しい処方をすれば美味しく頂けるのです。 そしてこれを名産品にすれば2つの利点を活かしつつ、良さが引き出せます。」
隣で聞いていて、さすがベルジアだと思った。 俺じゃそこまでの話術は持ち合わせていない。 これがベルジアの強みだろうな。 そしてもう一人
「上手いね嬢ちゃん! これなら店で売れるよ!」
「本当ですか? それなら作り方を教えますので、こちらに。」
ゼルダも宣伝に貢献している。 そう言った名産品があろうが、料理として提供しようが、知られなければ無いのと同じ。 宣伝力は大事だ。
「・・・大人げないとは思ってはいたんだがなぁ。 どうしてもな。」
「あぁ、片方の方がいいってずっと思ってたよ。」
これで万事解決・・・と思ったら厨房の奥からロットさんとタリスさんが出てきた。
「サンキの苦味の抜き方は、僕が教えました。」
「なに? お前が?」
「セレタの毒抜きは私が習ったのよ。」
「あんたの専門は山菜だろ?」
「お前達、まさか・・・」
「お義父さん。 僕はタリスさんと一緒に、この料理を世に広めたいです。 なので、付き合うことをお許しください。」
そう言って頭を下げるロットさん。 薄々感じてはいたが、やっぱり互いに想いあっていたのか。
「・・・お前達の間になにかあるとは思っていたんだ・・・」
「お義父さん・・・」
「だが娘を簡単にはやれん。」
「お父さん!」
「この料理を世に知らしめれたらだ。 結婚をするのは。 交際することは認めてやるが。」
「お義父さん!」
こっちもこっちで解決したようだ。 そんなやり取りを見ていたら、手招きをする人物を見かけたので、俺はその人物に近寄る。
「受付の人じゃないですか。 どうしたんです?」
「昨日言われていました準備が整いましたので、そちらのご報告をと思いまして。」
あぁ、そういえば山に登るからって事で準備を任せてたんだった。
「すみません。 では確認をさせていただきますね。」
まあ実際はそんなのを確認しても意味はないんだけど、とりあえず見ておこうと思った。
「本当にありがとうございました。 何から何まで。」
「いえいえ、仲直りしたようでなによりです。」
「それよりもあの山に登られるのですよね?」
俺達は今、まさしくこの町を出ようとしているところにロットさんとタリスさんにお別れの挨拶をしているところだった。
「気を付けてお登り下さい。 山の天気は変わりやすいですから。」
「分かりました。 それでは、またどこかで。」
そう言って俺達一行は町を出て、次なる領地を行くための山に足を踏み入れるためにドーホース達を走らせた。
「そういえばファルケンはなにか役に立てることはしたのか?」
「俺っちは目の良さを買われたっす。」
「目。」
「サンキは結構小さい山菜だったんすが、俺っちの目ですぐに探すことが出来たっすから、師匠よりも早く着くことが出来たんす。 そういえば、その槍はどうしたんすか?師匠。」
「ああ、これか? どうやら俺には剣よりも槍っぽい感じの方がしっくり来てな。 初心者用のを見繕ってくれたんだよ。 これで俺も戦闘がまともに出来るようになったぜ。 まああんまりそういったのはないほうがいいんだけどな。」
今回の件でカードバトル以外で上げたスキル
清司→槍技能
アリフレア→料理技能
ベルジア→交渉技能
ゼルダ→宣伝技能
ファルケン→視覚技能




