次なる町に着く前に
幕間の話 その二です
陽が完全に沈み、場所としてはかなり次の町に近付いた辺りのところで、俺達は薪をくべていた。 今夜はここで一夜を過ごす。 なぜ町に入らないのかといえば、ドーホース達の限界を越えているのがまずはひとつにある。
今回の旅でかなりドーホースを走らせたのと、橋での足踏みを取り戻すために無理をさせていたので、ドーホース達の体力を考えると、ここらで休ませるのがベストだと感じたからだ。
そして陽が沈んだのと、今回討伐した(させた)ダンゴムシもあるので入れるわけも無かったのである。
「イークスから出た後の時も思ったっすけど、家じゃない所で寝泊まりするって、違和感感じるっすね。」
「それは宿でも同じだって。 要は慣れだよ、慣れ。 つっても、俺の場合は帰る家すらないんだがな。」
「それどういう意味っすか師匠?」
「深くは聞くなよ? 事情がそもそも複雑なんだよ。」
「まあ、今は重要なことではないだろう。 それよりも、だ。」
そう言いながら俺達は薪を囲みながら、地図を広げていた。 もちろん燃え移らないように細心の注意を払って、だ。
「次の町で隣の領地に行くための門があるらしいのだが」
「普通には通してくれないのか?」
「逆だ。 通りやすいがゆえに門番が配置されている。 怪しまれるような行為を行う方が今回はやらないようにと注意しておきたかったのだ。」
「町で問題を起こすなって事っすね。」
「その通りだ。 ここで捕まれば、何日拘束されるか、想像もしたくない。」
確かに面倒に巻き込まれて、行く手が無くなってしまうのはいただけない。 次の町でもなんとかトラブルに巻き込まれないようにしないとな。 そう考えれば、ここで一度野宿を挟んだのは正しい判断だった。 夜に入ろうとするなんて怪しさ抜群だし。
「それと、ここから先は山になっているので、食糧は多い方がいい。 何日かかるか分からないからな。」
「ドーホース達の体力も注意しておかないとな。 下手に進めない時は休むのも選択か。」
「そういうことだ。 それにこの旅は急くものでもない。 慎重すぎるくらいで丁度いいのだよ。」
「俺っちも余計なことをしないよう、頑張るっす。」
そう俺達が決意をつけていると、
「みなさん、食事の準備が、出来ました。」
「今後の予定会議中だったです?」
闇夜からアリフレアとゼルダが現れる。 テントから少し離れたところで調理をしていたので、このような形になっている。 とは言えドーホース達もいるのと、火を焚いているので、夜の動物でも簡単には寄ってこないのだ。
「そんなところだ。 町で問題を起こさないための対策も少しな。」
「ボクたちがそんなことをすると思う?」
「しないと思っているからこそ、どのような形でトラブルに巻き込まれるか分からないと言う話だ。」
誰がどんなことになろうとも、少なからず出るのに支障をきたすようなことだけはしないようにと言う互いの暗示目的だったりもする。
「それで、なんとかあのダンゴムシは調理できたのか?」
「はい。 出来たは、出来たの、ですが・・・」
「食用に出来る部位があんまり多くなかったのですよ。 なんとかかき集めた感じで、人数分を仕上げた感じです。」
そう言ってゼルダが出してきたのは団子汁だった。 ふーむ、それでもかき集めれる程だったのは幸いか。
「それじゃあ残りの装甲とかはどうするんだ?」
「大きすぎるからある程度運べる大きさに切って欲しいんです。 ファルケン。 申し訳無いんだけど、頼めます?」
「そう言うことならお安いご用っす。 とりあえずは飯にしましょうっす。」
「そうだな。 夜は長いし、町も目と鼻の先だ。 急いては事を仕損じる。 焦らないでやっていけばいい。」
そうして俺達は町を背景にキャンプをして、そのまま眠ることにした。 あんまりやることもなくてね。
『領域カード:マジカルドーム レアリティ 桃 コスト12
1ターンに1度、魔法カードを使用するコストを半分にする。 相手も使用可能。』
『装備カード:フラッグランス レアリティ 水色 コスト3
装備モンスターの攻撃力を4上昇させる。 このカードを捨て場に送ることで、相手モンスター1体を選択し、次のコンバットタイムの攻撃が出来なくなる。』
『モンスター:異空間探索者 レアリティ 紫 コスト7
種族 アンチマン
このカードが効果で破壊された時、捨て場に送られず、山札に戻り、デッキをシャッフルする。 このカードを引いた場合、捨て場に送られる。
ATK 9 HP 12』
『モンスター:ファンロボット レアリティ 紫 コスト8
種族 機械族
相手のコンバットタイム時、このカードと戦闘を行ったモンスターは、コンバットタイム終了時、手札に戻る。
ATK 10 HP 7』
『モンスター:大地竜 レアリティ 銅 コスト14
種族 竜族
このカードが破壊された時、自分フィールドに「竜の岩鱗 このカードを捨て場に送ることで、相手モンスターに7ダメージを与える ATK4 HP 9」を2体召喚する。
ATK 15 HP 12』
朝のルーティンのパック開封を行って、確認を取る。 全部開けたところだが、今回はデッキ編成は無しかな。
「ご主人様。 朝ごはんの、準備が、出来ました。」
「分かった。 まだ皆寝てるかもしれないから、起こしてくるよ。 その間にすぐに食べられる準備をしておいてくれ。」
「分かりました!」
そうウキウキで準備に取りかかるアリフレア。 最近ようやくというか、感情が戻ってきたような気がする。 ただまだ俺の頼みごとをした後に喜ぶのは変わってないようだ。 とと。 そんなことをしてないで皆起こすか。
「いらっしゃいませ旅のお方。 今回はどのようなご用件で?」
「この先の山に登るために立ち寄ったんですけど、もし山に登るのに準備がいるなら、この町で調達したいです。」
「左様でございますか。 今からとなりますと、最短でも明日のお昼頃になってしまいますが、それでもよろしいでしょうか?」
「その間は観光をしますので、お気になさらないで下さい。」
「ありがとうございます。 それでは宿までご案内致します。」
そう言われてその人の後に続く俺達。 それなりに異質な格好や物質を持っている筈なのだが、旅の持ち物と言うことでそのまま通されているのだろうか? 検疫が甘い町・・・いや、余程トラブルに余裕があるのだろう。 そう思いながら歩いていると、なにやら喧騒が聞こえてくる。 その喧騒の先を見てみると、頑固親父のような格好をした2人が言い合いを繰り返し、その互いの後ろを、息子だか孫だかが止めに入っている様子だった。
「町の人、誰も、気にしていません、ね。」
「見慣れた光景なんじゃない? 頑固もの同士の争いなんて。」
「お見苦しい限りでございます。」
「いやいや、俺っちはあれくらいの方が、活気があっていいと思うっすよ?」
そんなのを横目に見ながら、俺達はまだ歩くのだった。
「超絶久しぶりのフッカフカのシーツっす!」
「おいおい、お前にはカメレオンシーツ渡してただろ? 俺とベルジアが床で寝てるのに、お前だけはそれで寝てるんだから、寝心地は断然上だろう?」
「それはそうなんすけど、やっぱり柔らかさが違うんすよ師匠。」
宿に案内された俺達は、荷物をおいて、まずはゆったりすることにした。 といっても朝早くにこの町には入っているので、まだ疲れてもいない。 ちなみにドーホース達とヨコッコ達は別の場所に預けられている。 馬小屋借りれてるといいけど。
「さてと、とりあえず準備が整うまで1日分滞在するわけだが、昼とかにするには早いだろ。 どうする?」
「それならこの町の有名なお菓子でも食べに行きません? さっきの人に教えてもらったので。」
ゼルダとアリフレアが俺達の部屋に入ってくる。 確かに特にすることも無いので、一服するのもいいか。 町には泊まってはいるが、休んでいるわけでもないからな。
そしてゼルダに道を教えてもらうこと10分。 その甘味処、完全に作りがカフェテリアな雰囲気の場所に到着した。
「むぅ、私はこういった場所に入るのは相応しくないと思っているのだが・・・」
「入るだけなら問題ないって。 ささっ、行こう行こう。」
ベルジアが困惑しつつもカフェテリアに入る。 中に入り、席に案内されて、待っていると不意に話し声が聞こえてきた。 そんなに人がいないので丸聞こえだ。
「だから認めてもらうには・・・」
「分かってる・・・でも・・・」
なにやら真剣な話をしているが、よく分からない。 どうしたものかと考えていると、皆の視線が俺に向けられているのが分かった。 そしてその目からは「話だけでも」と言わんばかりの感じだった。 みんな俺のやりたい事が分かってるのね。 その意志疎通さにため息をつきながら、俺は後ろの席の2人に声をかけた。
「あのーすみません。 ちょっとお話を聞き耳してしまったのですが、なにかあったのですか?」
主人公は面倒事に巻き込まれにいくタイプです。




