ファルケンの身体能力
町でのカードバトルを行って、その後に宿に休み、次の日の朝になり、いつものルーティングを行って、次の町に行くためにドーホース達を走らせる。 ちなみに昨日戦ったヒーローガール(名前をカロライラ・ピーストと言うらしい)は何人かと戦った後に別の場所に行ったらしい。 ここからだと逆サイドのイークスに行ったのではないかと思う。 またどこかで会えるだろう。 今度は勝てるか分からないくらいに強くなってると信じて。
さて、次の町に行くに辺り川を渡るのだが、なんと橋が途中で壊れてしまっているという報告を宿の店主から受けた。 だが俺達はドーホースがいるので、ドーホース達が跳べる距離ならばなんとかなると思い、町から出ることにした。
「ところでファルケン。 その羽、原理としては羽ばたきなのか? 滑空なのか?」
俺はドーホース達と並走、もとい並飛行しているファルケンに聞いてみた。彼の羽は腕から生えている形なので、今は体を倒して翔んでいるのだが、それがどう翔んでいるのか気になったのだ。
何より普通の鳥ではなく、鳥の亜人なので、体幹が違うような気もしてなら無かったからである。
「俺っちは鷹の亜人なんすが、別に羽ばたかなくても空は翔べるっす。 師匠は帆翔という言葉があるのを知ってるっすか?」
「帆翔?」
「羽をヨットの帆のように使って、風にのって翔んでるんす。 もちろん羽ばたく事も出来るっすから、翔べれはなんでもいいって考えてもらっていいっすか?」
原理について分かったので納得をする。 鳥にも鳥なりに、色んな翔び方があるんだという事だけでも十分な収穫だ。
「さて、橋近くまで来たのだが・・・」
「ドーホースさん達、でも、飛び越えらない、です。」
言われていた川の橋近く前まで来て、現状を確認すると、真ん中あたりがぱっくりと割れていて、明らかにドーホース達の跳躍では無理な位だという事を目の当たりにしたのだった。
「川を渡らせるか? この浅瀬と距離ならば行けないこともないだろう。」
「うーん、川にはあまり入れない方がいいかも。 ドーホース達にとって危険な害虫もいるし。」
「では、迂回路を、取りますか?」
「同じような橋がどこにあるか分からないからなぁ。 最悪、橋が直るまで前の町にいるか位なんだが・・・」
「それなら俺っちに任せるっす。」
悩んでいる所に声をあげたのはファルケンだった。
「任せるってどうするんだ? 俺達を1人ずつ向こう岸に渡すのか?」
それをすれば確かに渡ることは出来るが、それだとファルケンの負担が凄まじい事になるだろう。 ドーホース達の方が明らかにファルケンより大きいし。
「それをしてもいいんすけど、橋が直っていないのは、今後困ると思うんす。 だからちょっと修繕しようかと。」
「え?」
そう言ってファルケンは近くにあるそこそこ大きめの木を触り始める。 なにを確認しているのだろう?
「太さ・・・固さ・・・今後の雨風を凌げる位の強度・・・こいつっすね。」
そう呟くと、右手を引き下げ、構えを取った。 なにが起こるのかと、みんな真剣に見ている。
「フッ!」
そして右手を凪ぐように動かすと、木が根本から斬られて、そのまま奥に倒れてしまった。
「・・・一体なにをしたんだ?」
「俺っちの腕の羽は、硬いんすよ。 だから木なんかはこうすれば斬れるんすよね。」
そう言いながら木をまるで料理の下拵えをするかのようにスパスパと縦切りにしていく。 もちろん欲しいところだけだが。 そして俺達だけでも持てる程度の重さと厚みにしたところで、橋まで持っていき、これを架ける。 簡易的だが、橋が出来上がった。 だけどこれだけではバランスが悪くなるので、すぐに落ちてしまうだろう。
「ちょっと待ってて下さいっす。」
そう言ってファルケンは向こう岸に渡り、木材の縁に、なにかを打ち付けた。 そして戻ってきて、先ほどと同じ様に、なにかを打ち付ける。 よく見てみると、それは羽根だった。
「ファルケン、もしかして貴殿の羽根か?」
「さっきも言ったっすけど、俺っちの羽は硬いんす。 それは取れた羽根も同じで、これで杭代わりに出来るっすよ。 ただあまりにも危険なんで、折り畳んでるんす。」
そう言ってファルケンは羽を、腕と同じ細さになるようにしまいこんだ。
「普段ローブをしているのは、亜人としての隠れ蓑だけではなかったのだな。」
「まあ、自分のせいで怪我させてしまったら、元も子もないっすから。」
「あそこにいた子供達も、それは理解してくれていたのか?」
「理解してくれていても、飛び込んでくる時は冷や汗ものっしたけどね。」
そう3人で話していると、アリフレア達が、ドーホースを連れて、俺達のところに駆け寄ってくる。
「ご主人様。 先程ファルケンさんが、倒した木に、このようなものが、なっていて、多分、これじゃないかと、思います。」
アリフレアが持っていたのはピンク色の、アリフレアの片手でですっぽりと入ってしまう程の大きさの果実だった。 そしてアリフレアはもう片方の手に動植物図鑑を手にして、開かれているページを確認する。
「パーツェの実
桃色の大きめの果実で、薄皮の下には濃厚な甘味を持つ実がある。 甘さだけでなく、とろみも持ち合わせている。 また外見からは分からないが、中身の色が、黄色と白の2種類存在する。 それぞれ違う特色はあるが、どちらも甘く美味。」
図鑑を見る感じだとそれにそっくりである。 アリフレアにその中身を切って欲しいというと、ナイフを取り出し、その場で切った。 中は黄色で、真ん中は空洞のようになっている。 というかこの形見たことがあるぞ?
「アリフレア、食べやすいように切ってもらえるか?」
「分かりました。」
そうして一口サイズにしてもらい、俺が口にいれる。 口の中に広がるとろみと甘味。 間違いない。 これは桃だ。 前のゴチアの実の時と同じ事が起きているな。
「アリフレア、後で休憩する時にそれを振る舞おう。 今は先を・・・」
「セージさん。 敵が出てきたみたいだよ?」
そうゼルダが指差す先。 俺達が進もうとしている先に現れたのは、ダンゴムシのような敵だった。 なんでような、なのか。 大きさだ。 大きさが普通のダンゴムシの大きさではないのだ。 ほぼ俺達の身長と同じくらいと来た。 それが一匹二匹でないのは明らかだった。
「私もあの生物は知っている。 あの鱗は装甲になり、なにより体を丸めることで、防御と攻撃を兼ね備えるものだ。 厄介な相手には間違いない。」
「それでも対処法はあるんだろ? 聞かないよりはましだ。」
「上側が装甲ならば下側はどうなると思う?」
なるほど、そのあたりは普通なのね。 ならひっくり返せばいい・・・なんて甘ったるすぎる考えは良くない。 何故なら俺達が持ってる武器全部を使おうとも、それが叶わないからだからだ。 しかも俺達くらいの大きさということは、その分の体重も上がるというものだ。 そんなものをひっくり返そうとすれば、いや仮にひっくり返せても他のダンゴムシが寄ってくるので、全く意味がない。
俺達の戦力は人間3人、亜人2人にドーホース3体。 とてもじゃないが1体の相手がやっとといった具合だろう。 しかも俺達は橋に立っている。 戦闘は避けられない上に、あいつら自体を避けられないように見える。
「繁殖期なのか? どっちみち今のままじゃ進めない。 一旦体勢を」
「あれを倒せばいいっすか?」
「立て直し・・・は?」
俺が提案を言う前に、ファルケンが先に行ってしまい、そしてそのダンゴムシ1体に対して、先程と同じ様に凪ぎ払いを食らわせる。 すると先程ベルジアが話していた装甲があっさりと破られて、3枚に下ろされていた。 そしてそれを見た他のダンゴムシはあっさりと森の中に帰っていった。
「・・・もしかしてお前、わざとその攻撃をしたのか?」
「師匠の事っすから、多くは殺すなって言いたかっただろうなって思ったんすけど・・・違ったっす?」
「・・・いや、極度な戦闘が回避できるならそれに越したことはない。 助かった。」
「うす。 しかし、なんでまた集まってきたんすかね?」
「それは多分これのせいだよ。」
その答え、パーツェの実を持ったゼルダが寄ってきた。
「もしかしてあいつらの好物か?」
「というよりもボクたちが食糧を横取りしちゃったのかもね。 多分ここの辺りは彼らの縄張りみたいだし。」
それなら完全に俺達が悪いな。 そんな中で1匹のダンゴムシを見せしめとはいえ討伐してしまった。
「・・・アリフレア、ドーホース達に1枚ずつ持たせて、休憩しよう。 次の町までそんな対した距離じゃないけれど、こいつを持って入るわけにはいかないからな。」
「はい。 ドーホースさん、頑張れますか?」
そう言うとドーホースは「問題ない」と言わんばかりに動き始めた。
「どうするんすか? そいつ。」
「もちろん討伐したからには命を貰うさ。 ファルケン、食えないとか言うなよ? 今後の旅で、俺達は殺生やら屠殺を繰り返す。 命あったものを、無下にするのは畜生のすることだ。 だから採ったり狩ったりしたら、どんな理由であれ食べるんだ。 俺はこの世界での旅でそう決めたんだ。」
「・・・分かったっす。 いきなりとはいえ、狩ってしまったのは俺っちっす。 俺っちが多めに採るっすよ。」
「気を負うなファルケン。 私達は旅の仲間。 辛さも訳あってこそだと、私は思う。」
その言葉に口角をあげながら、俺達は沈みかけている陽を背に走らせた。 ドーホース達が休ませれる場所を求めるために。
一応今回出てきたヒーローガールはどこかのタイミングでまた出そうかなとは思っています。




