劇場の開幕
今回はゼルダ視点でお送りします
彼女の言うことなので、あまり関わりたくはなかった。 だけど、セージさんは、そんなことを気にすること無く、彼女の前に姿を表して、さながら「自分は悪役ですよ」と言わんばかりに、颯爽とステージの上に立って、カードバトルを始めた。
「始まっちゃったっすね。」
「ああ、しかも互いに自分の役割を全うするかのように、役になりきっている。」
そう、今回のカードバトルは、正義と悪が、ハッキリとしているところにある。 少女が正義だとするならば、セージさんは悪。 ただ、セージさんもただの悪役を演じる訳ではない様子。 ゴーグルをしているから、目元が全く見えないんですが、何を見据えているのやら。
サイコロが振られて、少女が「1」、セージさんが「2」とかなり危ういダイスロールだったけれど、セージさんが先攻を取った。
「俺のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 俺はコストを6支払い、「マジシャンドール」を召喚。 マジシャンドールの効果。 山札の中にいる、もう1体の「マジシャンドール」をフィールドに召喚させる。」
最初から2体召喚させるセージさん。 しかもマジシャンドールは、破壊されて、捨て場に行く時に2体マジシャンドールがいる場合、1枚ドローすることが出来る。 セージさん、最初から全力だ。
「更にコストを5つ支払い、「ハッキングバグ」を召喚。 クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。 さあ見せてくれ! あんたの強さを!」
「言わずもがな、見せてあげるわ! 私のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム!」
セージさんのあの布陣、容易には破れない筈だけれど、どんなデッキで来るのかしら?
「私はコストを4つ支払い、「ヒーローガール キッカ」を召喚!」
『モンスター:ヒーローガール キッカ レアリティ 水色 コスト4
種族 戦隊
ATK 12 HP 7』
相手の方が出してきたのは、今自分が着ているような服と、ヘルメットのようなものを着けた、少女だった。 異質な格好だけれど、やる気は満々の様子。 効果無しのモンスターは、その分ステータスは高い。 彼女の一撃ならば、どんなモンスターも倒してしまうだろう。
「更に私はコストを10支払って、領域カード『ヒーロースポットライト』を展開!」
『領域カード:ヒーロースポットライト レアリティ 銅 コスト10
このカードが存在する限り、自分フィールドの種族「戦隊」モンスターは効果で破壊されない。
相手モンスターの戦闘で破壊された時、山札から「ヒーロー」と名のついたカードを1枚手札に加える。』
上から突如現れた証明が、彼女のモンスターに光を注ぐ。 でもこれで少女が出すモンスターとは、必ず戦闘で倒さなければいけなくなった。 彼女もまた独特なコンボデッキになっているみたい。
「効果で破壊されないというのは厄介だな。 体力の高いモンスターを出されたなら、苦戦は必須だ。」
「しかも破壊したらしたらで、手札も補充出来るっすから、手札からなにも出せなくなるみたいなことも起こらないっす。 俺っちと同じ、テーマデッキならではの戦法っすね。」
隣をチラリと見ると男子2人は戦略的な見方をしている。 そこは男子特有なのかなと思う。 だけどアリフレアちゃんだけは
「頑張って、ヒーローの、お姉さん。 あ、でも、ご主人様も、応援したい・・・」
完全に観客目線になってしまっている。 しかも相手が相手なだけに、おろおろする姿が中々可愛い。 これはアリフレアちゃんを見習うのが得策かな?
「コンバットタイム! キッカ! その人形を壊して!」
そう宣言してキッカはマジシャンドールに近付いて、回し蹴りを放つ。 マジシャンドールはそれに耐えきれずに粉砕していった。 セージさんのライフコアは「97」、まだまだこれからと言ったところかな?
「ふふん。 中々に良いじゃないか。 だがマジシャンドールの1体を破壊したくらいでは、俺は揺らがないぜ?」
「まだまだこんなもんじゃないってこと、証明してあげるわ! クールタイムに入り、私はエンディングを迎えるわ!」
「俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム!」
普通に行けば、戦闘でしか破壊できないヒーローも、マジシャンドールの攻撃で崩れて、ハッキングバグによるライフコアの直接攻撃が出来る。 だけど、相手がそれだけのために、キッカを残してあるとも思えない。 それに領域カードである「ヒーロースポットライト」のせいで戦闘破壊以外出来ない状態。 どうするのかな? セージさん。
「俺はコストを14支払い、領域カード「整合判定空間」を発動させる。 そして俺はライフコアを5つ支払う。 これであんたはコストが10以上のモンスターを召喚させるためには、この領域を壊さなければならなくなった。 悪役は悪役らしく、根城を持つものさ。」
そう言ってセージさんの領域が展開されていく。 下から現れたのは2本の柱のオブジェクト。 しかしその間にはバチバチと電流のようなものが流れていた。
「このままコンバットタイム!俺はマジシャンドールでヒーローガール キッカを攻撃!」
マジシャンドールはキッカに対し、組み付き攻撃を行う。 そして耐えられなくなったところで、キッカは消滅していった。 ライフコアが減って「96」。 だけれども。
「ヒーローガールはここからが本番よ! 自分フィールドの種族「戦隊」が戦闘破壊されたことにより、私は山札から「ヒーロー」カードを1枚手札に加える。 更に「ヒーロー」と名のついたモンスターが戦闘破壊されたことにより、このカードは手札からコストを半減して召喚できる! ライフコアを5つ支払って、来て! 「ヒーローガール パンチア」!」
『モンスター:ヒーローガール パンチア レアリティ 桃 コスト10
種族「戦隊」
自分フィールドに存在する「ヒーローガール」が戦闘で破壊された時、手札のこのカードはコストを半減して召喚できる。
このカードが戦闘で破壊された時、山札から「ヒーローガール ピンチア」を召喚する。
ATK 15 HP 6』
先程とは違うモンスターが少女のフィールドに現れる。 どうやら召喚をしてこないなではなく、どんどんモンスターを入れ換えるスタイルのデッキみたいだね。 これはフィールドががら空きになることはないということになるけれど、これはセージさんはキツいかもね。
「むう、倒すことは出来ないがいいだろう。 ハッキングバグでパンチアを攻撃!」
ハッキングバグを攻撃をさせるも、体力は残ってしまう。 次のターンで、更なるモンスターを出されてしまったら、セージさんは不利になってくる。 どうなってしまうやら。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
「私のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム。 私はコストを8支払って、「ヒーローガール ピーム」を召喚!」
『モンスター:ヒーローガール ピーム レアリティ 紫 コスト8
種族「戦隊」
「戦闘時」このカードは相手フィールドにモンスター全体に攻撃を行う。
ATK 4 HP 7』
「ふむ、全体攻撃か。 これは厄介ではないか?」
「そうっすねぇ。 均等にダメージを入れられると、時間をかけられるっすからねぇ。 師匠にとっても、結構チマチマしそうっす。」
2人も全体攻撃は厄介だと思っているようだ。 確かにこのカードゲームの都合上、同じコンバットタイムで、1体目で与えたダメージでモンスターを倒せずに、2体目以降で倒すと、その差分の半分のダメージになってしまうため、基本は一撃で仕留める、もしくは次のコンバットタイムまで耐えるというのが主流だけれど、それを均等にやられてしまっては、対策しにくくなってしまうのだ。
「コンバットタイム! ピームの攻撃を浴びなさい!」
ピームは持っている杖から、虹のようなものを、セージさんのモンスターに浴びせている。 倒れはしないものの、モンスター達はかなりの痛手になっているのか、少し苦しそうだ。
「これで終わりじゃないわ! パンチア! キッカの仇を取ってあげて!」
そう言ってパンチア、軽快なフットワークの元、マジシャンドールの懐に飛び込んで、マジシャンドールの腹部めがけて、アッパーを繰り出し、マジシャンドールは砕けていった。
「先にピームからの攻撃を受けているから、ダメージは半減。 更にマジシャンドールの効果で、俺はカードを1枚ドロー出来る。 敵に対して、随分と優しいじゃないか。」
「悪いわね。 一方的にやっつけちゃうような人とは相手したくないの。 一切の手を抜かず、お互いの出せる策を全力で出しあってこそ、私の美学なの。 だからこれは情けでもない。 真剣勝負の布石なのよ! クールタイムに入り、私はエンディングを迎えるわ!」
「その魂胆、打ち砕かれないようにな! 俺のオープニング、そしてドロー!」
彼女の言葉を決して笑わず、本当にカードバトルをすることだけに集中しているセージさんは、勝つ負けるの話を全くしない。 全力でぶつかってこそのカードバトルなのだと、ボク達に教えてくれるように、セージさんは彼女と戦っているのだ。 今回は悪役だから大っぴらには応援できないけれど、ボクはセージさんなら勝てるって、信じてるからね。
一応カードバトルをしているのですが、あくまで幕間の話ですので、今回は現状把握はしません。
それでも現状が知りたいと言う人は脳内補完でお願いいたします。




