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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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全ての終局

「なんすか!? あの光は!?」

「あの光はセイジのスキルだ。 そして全てを返す、セイジの一撃必殺のスキルになる。」

「全てを?」

「ご主人様は、スキルを、自分のため、じゃなく、誰かの、為に、使っています。」

「それになんの意味が?」

「セージさんは自分に対しては寛容なんだけれど、自分の認めた人物や、助けたいと思う人が馬鹿にされたりすると、その状況に合わせて、カードが答えてくれるんだって。」

「つまりこの場合は・・・」

「貴殿や亜人の境遇に対しての怒りが主動源のようだ。 さてさて、どのようなカードが飛び出すことやら。」


 ベルジアの言葉を発した後に笑っていた。 その言葉は信じられると俺っちも思った。 その結末に、俺っちも見たくなってきた。


 ――――――――――――


「プラポレーションタイム! 俺はコストを30支払い、来い!「極楽鳥 アストレリチア」!」


 召喚して現れたのは空の太陽すら隠すほど大きなコンドルだった。 まさしく見えない、大きな影だった。


「ふん。 新たなモンスターを出したら、ビックビークイーンの餌食だぜ?」


 そう言ってビックビークイーンの針はアストレリチアに放った。 しかしその距離はあまりにも遠かった。


「何故だ! 何故届かない!?」


『モンスター:極楽鳥 アストレリチア レアリティ ミラージュ コスト30

 種族 鳥獣族

 このカードは自分以外の効果を受け付けない。

「召喚時」フィールドの体力10以下のモンスターは破壊される。

 ATK 35 HP 50』


 召喚を行ったのは良いものの、召喚時効果でウエスタンヒーローはここでやられてしまう。 いや、向こうのニードルキッズも消えるし、なによりこれ以上のニードルキッズの生産も起きなくなる。 ウエスタンヒーロー。 お前は良く頑張った。 そう敬礼をして、ウエスタンヒーローが消えるのを見送った。 ウエスタンヒーローもそれに乗っかるように、清々しい顔をして消えていった。


「ビックビークイーンの効果が使えない。 そして攻撃力が高い。 だがそんなことで勝った気でいるなよ!? 俺にだってスキルはあるんだ! スキル発動! 「輸血行為」!」


『輸血行為

 自分フィールドのモンスターにライフコアを使い、体力を回復させる。 ただし上限は15とする。 また使用できるのは1ターンに1度のみとする。』


「これによって俺のライフコアを最大限使ってビックビークイーンの体力を回復! これでそのでかぶつで攻撃しても、まだやられはしない! はっはっはっ! 無駄骨になっちまったなぁ! はっはっはっ!」

「ふぅ・・・勝ち誇ったように笑ってるけど、今のであんたの負けが確定しちまったな。 このカードの召喚でな。」

「はっ! 強がるなよ! この状況下でなにが・・・」

「俺はコストを4支払い、ドリルクロウを召喚する。 そしてコンバットタイム。 俺はドリルクロウでビックビークイーンに攻撃。」

「ははははは! そんな小鳥がビックビークイーンを倒せるものか!」


 やっぱり油断してやがるな。 じゃ、その油断を一気に崩してやるとするかな。


「ドリルクロウの効果、コストを2つ支払う事で戦闘ダメージを無くす代わりに、戦闘を行うモンスターを破壊する。」

「ははははは・・・なんだと!? そんな馬鹿な事が!?」


 おーおー、笑った後にくるその感じ、やっぱり笑ってる奴ほど逆転されると驚愕するもんだな。


 そんな中でドリルクロウはガリガリとビックビークイーンの腹部を削っていき、そして身体の中に入っていって、ビックビークイーンの体を貫通していって、ビックビークイーンは消滅していった。


「そんな・・・女王が・・・俺の拠り所が・・・」


 まあ警官のデッキに関しては結局、相手と自分のフィールドに依存していた。 つまりその繋がりを無くせば、奴の戦略は崩れる。


「ま、そういうのは俺には関係無いな。 意見の対立をしているんだ。 これで終わらせよう。 キッキングホークス! 奴のライフコアに攻撃をしろ!」


 キッキングホークスは飛び蹴りの構えを行い、そのままライフコアめがけて飛び蹴りをする。 そしてライフコアが飛び散る。 警官のライフコアは「34」、これで終わりだ。


「アストレリチア! その大きな翼を使い、この悪しき空気を振り払え!」


 アストレリチアは上空から大きな翼を上にあげ、そして振り下ろされた。 その風は俺にとっては気持ちよさが体を透き抜ける。 その風はどんどん鋭くなり、見えはしないが、ライフコアに向かっているように感じた。 見えない間に、どんどんと相手のライフコアを周りから削っていき、そしてライフコアを「0」にしていった。


「クールタイムに入り、ドリルクロウは捨て場に送られる。 そしてエンディングを迎える。 これにて、終幕だ。」


 ドリルクロウが自分の体を発光させて、その光を大きくしていき・・・AI領域が崩れていく。


『制約カードバトルはセイジ ノムラとなりファルケンの処遇は、執行猶予付きの罪滅ぼしとなります。』

「ご主人様。」


 領域が崩れた後すぐにアリフレアが近くまでよってくる。 その後に周りを見てみると、色んな人が俺たちを取り囲んでいた。 そういえば真っ只中で領域展開していたんだな。 バトル中は基本的に声が干渉しないから、分からなかった。

 そう思っていると、なにかが風を切る音が聞こえてきたので、アリフレアを離す。 そして「カシャン」と右腕に手錠がかけられる。


「なっ!?」

「お前を公務執行妨害で連行する!」

「ちょっと! 今回の戦いで勝ったのはセージさんのほうですよ!? なんでセージさんが連行されなきゃいけないんですか!?」

「制約はそこの鳥の亜人の話だ。 そしてこれは警官に対する妨害だ。 捕まえようとしていた奴の、逃亡の手助けをした罪として、お前を逮捕する!」


 こいつ! ここに来て警官という立場を利用して来やがった! 確かに反勢力の力の合わせ技としては効果はある。 だがこの場合はただの悪あがき、もっと言えば立場の正当化としてしか見えていない。


「この街では警官は領主のお膝元の仕事なんだよ! 貴様が領主から直接命令されようが、結局は余所者だ! この領地のルールには逆らえないんだよ!」

「私はそのようなことを言った覚えは一度たりともありませんよ。」


 群衆の中から現れたのは、ここの領主、イクシリアさんだった。 騒ぎの様子を見に来たのだろうか?


「領主様! この領地のルールを脅かす輩を捕まえました! どうか裁きを・・・」

「あなたにそのような命令を受けるような覚えはありませんね。」

「し、しかし・・・」

「それに今この場でそのような事を言っても、誰も取り入ってはくれませんよ? それどころか、あなたは逆に嫌われているようだ。」


 警官の驚きぶりに追い討ちをかけるようになにかが投げつけられる。 小石だ。 警官にこそ当たらなかったものの、明らかに警官に向かって投げられた小石があった。


「お前が大将を苦しめてたんだ! だったらお前が出ていけよ!」


 投げたのは子供のようで、それを皮切りに老若男女問わずに小石を投げつけ始める。


「聞いていたぞ! お前があの時の反勢力の人間だって!」

「ファルケンは子供達に色んな事を教えてくれた! あんたはなにも教えなかったじゃないの!」

「亜人の1人や2人受け入れられないでなにが警官だ!」


 その小石はどんどん警官に集められていく。 この警官、力はあってもカリスマが無かったようだ。


「ぐぅ! 何故だ! 何故そうまでして国家権力に反発できる!?」

「その国家を、あなたが守っていないからですよ。 あなたはこの国には必要ないようです。 安心なさい、国外追放で、亜人のいない場所にしてあげましょう。 そこでのうのうと暮らせばいい。」


 そう言い残すと、今度は俺の方に向かってきた。 そして頭を下げてくるイクシリアさん。


「ごめんなさい、あなたをこんなことに巻き込んでしまって。 反勢力の人間がまだこの街にいるのを分かっていながら・・・」

「やめてくださいそんな。 それよりも・・・」


 そう言いながら、俺はファルケンに寄ろうとした時、まだ手錠をされていることを忘れて、ジャランという音がする。 あ、これじゃあ動けねぇや。 そう思ったら、ファルケンの方から俺に寄ってきた。


「俺っちは、あんたに着いていきたいと思ってるっす。 だけど、それはあいつらを置いていく事になって、俺っちは今回みたいなことがもうないにしても、あいつらの事が心配で・・・前に進めないんすよ。」


 強く主張をしてこないファルケン。 子供達の事を気にかけているようで、旅に出るか、残るかの狭間で押し潰されているようだ。 その気持ちはアリフレアを担っている俺もよく分かることだ。 俺の側から離れた時、果たしてアリフレアは俺と一緒にいたときのように生活が出来るだろうか。 そう考えている。 ファルケンもそれは同じ、いや、見ている人数が多いから、余計にそう感じてしまうのだろう。


「行ってきてよ、大将。」


 その悩みをぶっちぎったのは、先程警官に捕まっていた少年だった。 手錠の鍵も持っており、俺の手錠を外してくれた。


「俺達、大将には随分と世話になったんだ。 学ぶ場所の無いここで、学びを教えてくれた。 勉強だって、優しく教えてくれた。 だけど、いつもどこか心苦しそうな大将を見て、やっぱりここでは暮らしにくいんだなって思ってさ。」


 そう言い始めると、どこからともなく子供達が群がってくる。 全員、ファルケンが面倒を見てきた子供達だろう。


「だから、大将はもっと色んな世界の事を見てきてよ。 それで俺たちに、その世界の事、聞かせに戻ってきて。」

「お前達・・・俺っちが居なくても、大丈夫っすか?」

「大将は心配しすぎな所があるからさ。 俺達だけでもやれてるって、帰ってきた時にびっくりさせてやるんだ。 そうしたら大将も・・・この場所に・・・留まらなくて・・・」


 そう子供達は今まで我慢していたであろう涙を流し始めた。 恐らくは、ファルケンが心配にならないようにしていたのだろうけれど、やっぱりそこは子供なので、一時的でも別れるのは寂しくなるものだろう。


「駄目だって・・・今涙を流したら・・・大将が・・・」

「お前達の気持ちはよく伝わったっす。 絶対に戻ってくるから、それまではちゃんといい子にしているんすよ。 俺っちも、頑張ってくるっすから。」

『大将~~~!』


 子供達、そしてファルケンは涙を流し合いながら、別れを惜しんでいた。 その光景は、亜人でも人間でも同じだという証明になっていた。

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