人間と亜人の違い
またファルケン視点から入ります
戦況は圧倒的に反勢力の警官の方が有利。 現状が最悪なのだ。 今彼は奴の手のひらで踊らされているに過ぎない。
でも何故だろう。 こんな不利な状況下でも、彼は勝とうとしている。 俺っちの為に、一生懸命になっている。
「なんで、そこまで自分よりも相手の事を思いやれるんすか。 他人よりも、自分の方がよっぽど大事だと思うんすけど。」
俺っちは逃がしてくれたあの日から、自分のため、生き残るために、様々な事をしたっす。 外に出て採取や狩りをしてその日をやり過ごした。 子供達に技術を教えたのも、自分の行いが間違いで無いって証明させたかったから。
なのに目の前の彼は、亜人である俺っちの為に全力を注いでいる。 相談事を持ってきたあの時も、俺っちの事を考えて行動していた。
ただ他人のために動いているような人間じゃない。 俺っちには、彼が一縷の光に見えていた。
だから俺っちも、全力で応援したい。 あんな奴に負けて欲しくない。 知らず知らずのうちに、隣で見守っている3人と同じ気持ちになっていたっす。
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先程引いたカードは今この場面では使えないが、戦況的には大いに役に立つ。 フェロモンフォレストのせいで、狙いたい的は狙えないが、攻撃が出来ない訳じゃない。 こうなったら人海戦術でとことんやってやる。
「コンバットタイム! キッキングホークスで歴戦の狩人を攻撃!」
「何度やっても無駄なこと! フェロモンフォレストの効果! 攻撃対象をビックビークイーンに変更!」
当然それは分かっている。 先程の光景が同じ様に繰り返される。 だが、次は嫌でもダメージは入るぜ。
「ウエスタンヒーローで、卵の壁を攻撃!」
ウエスタンヒーローはハンマーを下ろし、コイントスの結果を待つ。 コインは裏を選んだ。 体力になってしまったが、破壊できない訳ではないし、なんならダメージだって入る。 チマチマした作戦だが、対処法を見つけるまではこれしかない。 銃から緑色のオーラが纏われた弾丸が飛ぶ。 そして卵の壁の1つに当たると、その卵から液体が流れ落ち、その液体は他の卵にどんどん落ちていき、そして破壊される。 ダメージは1、なんとか攻撃は通った。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
「ふん。 チマチマと。 俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム! 俺はコストを8支払い、「治療蜜」をビックビークイーンに使用する。」
『魔法カード:治療蜜 レアリティ 銅 コスト8
自分フィールドのモンスターの体力を、元々のステータスの1/4回復する。』
ビックビークイーンは働き蜂であろうモンスターからキッキングホークスの攻撃で受けた傷に蜜を塗っていく。 元々のステータスの1/4だから、ビックビークイーンの元体力は60、その1/4だから15。 キッキングホークスの攻撃一回分は回復された計算か。 複数枚持たれていると厄介だな。 おそらくビックビークイーンでの攻撃を主体とするから、1回でもこちらに攻撃が加わってしまえば、そこから一気に崩される。 なにがなんでもビックビークイーンの攻撃は凌がないと、勝機はない。
「コンバットタイム! ビックビークイーン! ニードルキッズを捨て場に送り、その効果を使用し、その鳥人間を封じ込めろ!」
当然キッキングホークスを封じにくるよな。 だがそんなのはもう意味はない。 何故ならば
「俺はコストを7つ支払い、魔法カード「ツギハギの折り畳み盾」。発動! これによりビックビークイーンの攻撃は無効だ! さらにコストを3つ支払うことで、このカードは手札に戻る!」
「何!? インタラプトカードは対象に出来ない・・・! クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
これでビックビークイーンの攻撃は嫌でも凌げれる。 だが、劣勢なのには変わらない。 攻撃が通らなければ、ビックビークイーンは倒せない。 だけど下手にモンスターも出しにくい。 次の引きは大きく響きそうだ。
「俺のオープニング、そしてドロー。」
今引いたカードを確認する。 そのカードを見て、少し笑みがこぼれる。 これならやれるかもしれない。
「プラポレーションタイム。 俺はコストを14支払い、「トレント」を召喚する。」
『モンスター:トレント レアリティ 銀 コスト14
種族 樹木種
「召喚時」召喚されたこのターン、領域カードの効果を無力化する。
このカードは効果で破壊されない。
ATK 16 HP 22』
トレントとは大きな樹木が人のような動きの出来るモンスターで、地面から樹木とは思えないくらいのスピードで成長をして、最後に根元が剥き出しになって、そこに立っていた。 その効果でフェロモンフォレストもボコボコになった。
「ちくしょう! また人間もどきが余計なことを! 女王の攻撃力が上がっても意味ねぇじゃねえか!」
あいつはトレントの事を人間もどきと言った。 やはりあいつは亜人を人として見ていないようだ。 そこまで露骨ならばもう何も思わない。
「コンバットタイム! ウエスタンヒーロー! あの女王蜂に縛られている狩人を解放せよ! トレント! キッキングホークス! 女王蜂を攻撃するんだ!」
ウエスタンヒーローはハンマーを下ろし、コイントスを行い、表が出たので、そのまま歴戦の狩人を攻撃する。 歴戦の狩人は最後にやりきった顔になり、そのまま消えていく。 そして残りの2体も女王蜂に攻撃を繰り返す。 治療蜜が無ければ、あのまま落とせていたが。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
「俺のオープニング、そしてドロー!」
しかしこうなってくると、最後の最後までなにをしてくるか分からない。 奴の体力がほとんど減らせていない。 その体力差は後半には響く。
「プラポレーションタイム! 俺はコストを6支払い、「マリオネットヤーン」を発動! その木偶の坊を貰っていくぜ!」
どこからともなく糸、しかも蜘蛛の糸がトレントをぐるぐる巻きにして、相手のフィールドに置かれる。 俺が使ったときは普通の糸だったのだが、使う人間によってその映像も変わってくるのか。 なんて感心してる場合じゃないな。 ビックビークイーンの効果が使えなくなったと思ったら、ああしてトレントを奪われてしまったら、ビックビークイーンの効果を使用出来てしまう。
「コンバットタイム! ビックビークイーンで鳥人間を攻撃! さらにトレントを捨て場に送り、効果を使用! さあ、使ってこいよ! インタラプトカードを!」
挑発的ではあるがやらざるを得ない状況なのは奴も知っているだろう。 挑発に乗る形ではないが、使うのは仕方ない事だろう。
「俺はコストを7つ支払い、「ツギハギの折り畳み盾」を使用。 そしてコストを3つ支払う事で、このカードを手札に戻す。」
ほぼルーティングのようにこなしているが、攻撃力を考えれば、トレントが消えてしまったのはやはり痛い。 これで相手を倒せるのだろうか? 俺のライフコアは「33」、これ以上折り畳み盾を使えば、セーフティラインを越えてしまい、ライフコアでのコア補填が出来なくなる。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。 そしてエンディング時、ウエスタンヒーローを媒体に、ニードルキッズがこっちにくる。 わざわざそんな鳥人間の為に自分の体を張る必要は無いんだぜ? そいつに縛られる位なら、手放した方が楽だろう?」
「・・・それはファルケンの事を言っているつもりなのか?」
「別にそんなつもりはないぜ? そう聞こえたんならしょうがねぇけどよぉ。 あんな亜人に気を許してる方がおかしいがな。」
そう鼻で嗤う警官。 その言葉と行為に、俺の逆鱗に触れた。
「なんでそうまであんたらは亜人を嫌う?」
「あんなの人として共存なんか許される存在じゃねぇからだ。 突然変異? はっ! 純粋な人の血なんか流れて無いなら、化け物と一緒だ。 化け物なんだから、なにをしたって良いだろう?」
目の前の人間は本当に、本気で、本心でその言葉を言っているのだろうか? いや、言っているだろうな。 余程亜人という種族が嫌いらしい。
「亜人に両親や愛する人でも殺されたのか?」
「はっ! あんな化け物に殺されてたまるもんかよ! それにな、亜人は迫害されるのがこの世の理なんだ。 庇いだてするお前の方が世の中としては狂ってるんだよ。 分かったらとっとと・・・」
「・・・どこの世界に行っても同じなんだな。」
ポツリと俺は呟いた。 だがそう言いたくなったのだ。
「自分を優位に立たせる為に他人を蹴落とすような真似をする。 自分と少し違うからってそうやって距離を取らせようとする。 同じ人間だろうが。 他人の個性を自分と違うからって認めない人間が多すぎるんだよ・・・」
「あんな奴らは人間じゃねぇよ。 言っただろ? 化け物だって。」
その警官の追い討ちとも言える言葉に、俺は完全にキレた。
「そう言う言葉を言われる立場を・・・亜人達がそう言われる事を考えてから・・・やられる立場を分かっていないから・・・そんな言葉が出てくるんだよな・・・! 逆の立場に・・・亜人達から同じ様に言われた時にどう思うのか・・・立場を弁えてから言葉を選びやがれ!」
その言葉を発した瞬間にデッキトップが光る。 これは俺のスキルが発動した証拠だ。 俺の怒りは、どうやら頂点に達していたようだ。 だがスキルが発動したなら、もう容赦はしない。 ここで終わりにしてやる。 亜人も人間も関係ない。 そんな世界のために、俺は動いてやる!
「俺のオープニング、そして、作られた、引き!」
今回のビックリドッキリ作られた引きのカードは・・・次回になります。




