最初のカードバトル、序盤戦
「お? なんだ? AIフィールドに入ったぞ? おもしれぇ、見学にはもってこいだ。」
周りから声がする。 どうやら観客としてこのフィールドに招かれた人達のようだ。 横を見た後に前を見ると灰色と白色のダイスが見えた。 色の違う10面ダイスが2つ。 恐らく片方は10の位として見るので、それで数が大きい方が先攻だろう。
「行くぜ! ダイスロール!」
2人同時に投げて出た数字は俺が「36」(白ダイスが3、灰色のダイス6だったので、白ダイスが10の位だろう。)、相手が「65」となっていた。
「俺の先攻だな。」
そう言って相手はカードを5枚引く。 俺もカードを5枚引いた。 初期手札は5枚のマリガン(最初の手札の入れ替え)は無し。 俺の引いたカードは序盤ならそこそこ動けそうな手札。 コストが引くい分展開力は期待できる。 まあ、それは相手の状況次第だが。
「俺のターン! オープニングを開始すると同時にドローをする! そしてそのままプラポレーションタイムに入り、俺はコストを10払い、『商人ドゥーレイ』を召喚する!」
『モンスター:商人ドゥーレイ レアリティ 紫 コスト10
種族:アンチマン
「破壊時」ディービースト『種族:ビースト ATK8 HP6』を2体召喚する。
ATK 5 HP 15』
早速お出まししたのは丸いグラサンをかけた小太りな男。 能力としては破壊時だが、その効果を使うなら体力が多すぎる。 なら減らすコンボが作られるか。
「更に俺はコストを4払い、魔法カード「薬物投与」を発動! 俺はこの効果でドゥーレイの体力10を攻撃力へと変換する!」
『魔法:薬物投与 レアリティ 水色 コスト4
モンスターを1体選び、攻撃力から体力、もしくは体力から攻撃力へと任意の数移動させることが出来る。(体力、攻撃力共に1以下にはならない)。』
なにかの薬物の入った注射器をドゥーレイが射して、その後に巨大化したいった。 一応その辺りもAIフィールドだから表現もされるのか。 そして表記も代わり『ATK 15 HP 5』になっていた。 そしてチラリと相手のライフを見ると「98」となっていた。 ルールでは3回までならライフからの代用が可能なはずだ。 となれば・・・
「俺はここでクールタイムに入り、エンディングとする。」
次のカードは切らないか。 様子を見ているのか、手札が悪いのか。 相手のライフが「99」となっている。 半分が帰ってくるのなら、1だけ戻るのは必然のようだ。 分かりやすいような分かりにくいような。
「俺のオープニング! そしてドロー!」
手札が6枚になり、補助コアも12になる。 手札にあるのはモンスター3枚、魔法1枚、装備1枚、領域1枚だ。 とはいえ向こうも様子見なら、こっちも下手に手の内を明かす必要もまだないか。
「プラポレーションタイム、俺はコストを4つ支払い、領域『薄暗い霊園』を発動させる!」
その言葉と共に俺の足元から墓場のホログラムが現れる。 温度はたぶん感じないだろうが、若干涼しくなったような気がする。
「更に俺はコストを5つ支払い、『ウリオーク』を召喚する!」
召喚して出てきたのは小さな猪が二足で立って狩人のような出で立ちをしたものだった。
「そしてもう一体、コストを10支払いキッキングホークを召喚する!」
『モンスター:キッキングホーク レアリティ 桃 コスト10
種族:鳥獣属
1ターンに1度、相手の攻撃を無効化することが出来る。 ただしその場合次のコンバットタイムに攻撃が出来ない。 (召喚時は適応されない)
ATK 15 HP 12』
今度召喚したキッキングホークはどちらかと言えば人に近い姿だった。 鳥獣属と呼ばれる種族だからだろうか? そしてコストをライフコアで代用したのでライフは「93」となっている。 だが3回まで使えるこの状況下において、これを無駄にしないわけには行かない。
「俺はコストを8支払い、装備「治癒の盾」をウリオークに装備する。」
ウリオークは槍を持っているだけだったが、盾が出たことにより、バランスや見映えがよくなった。 俺のライフコアも「85」に落ちている。
「そしてコンバットタイム! ウリオーク! 商人ドゥーレイに攻撃!」
そして戦闘のモーションに入り、ウリオークが突っ込んでいき、それをドゥーレイが迎え撃つ形になる。 ドゥーレイのドーピングによる強化された腕がウリオークに放たれるが、小柄なウリオークにそんな簡単には当たらない。 そしてウリオークは懐に潜り込むと、槍をドゥーレイの体を突いた。 これでドゥーレイの体力は2になる。
「ふん! 例えその鳥獣が攻撃したところで、減る体力は体力から攻撃力を引いた差の半分。 それにこいつには破壊時にモンスターを2体出す効果がある。 こっちが少し有利になるだけだぞ?」
「誰がキッキングホークで攻撃するって言った? ウリオークの効果! このカードは自分のHPを2つ減らすことで、もう一度攻撃することが出来る!」
「何!?」
おーおー、驚いてる驚いてる。 この世界のカードが何種類あるか知らないけれど、どうやら完全には把握出来てないみたいだな。 ま、全カード把握なんて、よっぽど興味がないと出来ないことだけどな。
「自らの体力を減らしてもう一度立ち向かえ! ウリオーク!」
ウリオークは小柄ながらの雄叫びをあげて、抜いていない槍を更に深く突き刺して、ドゥーレイを倒す。 これで差は1になるが、おそらく割りきれないので、向こうにダメージはない。
「ちっ! ドゥーレイの効果! ディービーストを2体召喚する!」
下から現れたのは2体の狼。 首輪を付けられて、涎はダラダラだ。
「攻撃力は8。 そっちの鳥は殺せないが次のターンで、確実にその猪は潰す!」
「ウリオークの効果をもう一度発動し、ディービーストに攻撃だ!」
「何!? そんなことが!?」
「別にこいつの効果はターンに1回しか使えない訳じゃ無いんでね。」
ウリオークは再度突撃をして、ディービーストに立ち向かう。 疲労は見えるが、ディービーストの攻撃を盾で受けつつ、腹に槍を指す。 だが俺はこれだけで終わらない。
「ウリオーク! 最後の力を、振り絞れ!」
最後のHPを使い、ウリオークは腹に突き刺した槍を抜き、今度は喉元に突き立て、ディービーストを霧散させる。
「お前! 一体何がしたいんだよ! なんでそうまでしてモンスターを倒すことに意味があるのかよ!?」
「それはこいつの攻撃が終わってから分かる。 キッキングホーク! 残った最後の1体を倒すんだ!」
キッキングホークは奇声を上げて走り跳躍する。 そしてそのままディービーストの背中に自らの鉤爪混じりの蹴りを食らわせた。
「うがっ! ぐぅ!」
相手のライフは削られ「90」となる。 そして相手のエリアは更地となった。
「モンスターが居座られるのは困るんでな。 倒せる時には倒すんだ。 俺はクールタイムに入り、エンディングを宣言。 このタイミングでウリオーク装備した「治癒の盾」の効力が発動して、ウリオークの体力は3回復する。」
ここまでで相手のライフを削りつつ、フィールドを更地に出来た。 更に俺は次のターンで「薄暗い霊園」の効果で怨霊を出せる。 場数だけ言えば、少しだけ優位に立てた。 だが少しコスト消費が大きかったかもな。 いくら使用ライフコアの半分が戻ってくるとは言え、終盤はライフコアが使え無くなる事がある以上、手元にある高コストのカードはなるべく今のうちに切るべきだな。 エンディングを迎え俺のライフは四捨五入されて「92」に戻る。
「ちっ。 1から組み直しじゃねぇか。 オープニングに入り、ドローする! そしてプラポレーションタイムに入り、俺はコストを10支払って商人ドゥーレイを再度召喚する!」
またあいつか。 だがドーピングの魔法はない筈だから次はどう出てくる。
「俺はコストを4支払い、魔法『保存の鉄檻』を発動!」
『魔法:保存の鉄檻 レアリティ 水色 コスト4
次に召喚されるモンスターはこのカードが破壊されない限り、ダメージはない。 また相手はこの鉄檻を攻撃対象にすることが出来、鉄檻の耐久力50で壊せる。』
モンスター保護魔法・・・ どうやら次にドゥーレイから出されるディービーストを簡単に破壊させないための措置だな?
「更に俺はコストを16支払い、オックスフォードを召喚! そしてこのオックスフォードは『保存の鉄檻』に入り、攻撃時以外で開くことはない!」
『モンスター:オックスフォード レアリティ 銅 コスト16
種族:獣
攻撃対象のモンスターが種族:人 兵士 衛兵だった場合、ATKを5上げる。
ATK 20 HP 18』
檻の中に荒々しく暴れる牛が現れる。 闘牛をモチーフにしているのだろう。 暴れたくてウズウズしている様子だ。 檻の中のモンスターは攻撃以外で出ることはない。 そしてこのゲームで分かったのは「相討ち」による体力減少が無いこと、つまり一方的に相手にダメージを与える事が出来るということ。 一気に状況を覆されたかな。
「コンバットタイム! 商人ドゥーレイでその子豚を潰してしまえ!」
ドゥーレイの鞭のような武器で治癒の盾ごとウリオークがやられる。 その時に出た破片で俺のライフコアにダメージが入る。 俺も1無くなってしまったか。
「更にオックスフォードでキッキングホークを攻撃!」
オックスフォードの入っていた檻が、ドゥーレイの鞭で開き、その角をキッキングホークに向け、前足で地面を引っ掻き、思いっきり突進をかましてくる。 だがそのままやられるようなキッキングホークではない。
「キッキングホークの効果発動! 次のターン攻撃出来なくなる代わりに相手モンスターの攻撃を1度だけ無効化する!」
キッキングホークは羽を広げると思いっきり突風をオックスフォードに与え、檻の中へと押し戻した。 ここでモンスターを失うわけにもいかないんでね。
「俺はクールタイムに入り、エンディングだ。」
ライフコアが戻ってきて、相手のライフコアは「82」、ライフだけで言えば俺の方が有利ではあるが、場数は向こうの方が圧倒的になってしまった。 これがライフをも使ったカードゲームか。 なんだか楽しくなってきたな。 まだまだ戦いは続きそうだぜ。
現状
相手側 ライフコア 82
フィールド状況
オックスフォード(保存の鉄檻内)
奴隷商人 ドゥーレイ
清司側 ライフコア 92
フィールド状況
キッキングホーク
薄暗い霊園 発動中