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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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寄生モンスター

最初、最後は清司を見守るみんなを書いています

 まず俺っちが驚いたのは、こうして俺っちの姿を見ても恐れるどころか、むしろ俺っちを助けるために、自分の命を投げ出すような行為を行ったことだった。

 向こうが声で俺っちの事が分かったように、俺っちも声で昨日提案をしてきた人物だと分かった。 分かったのだが、そこまでして俺っちの事を庇った理由が分からなかった。


 だって昨日は顔合わせすらしてないのに、あいつの言っていたことを聞いていただけだと思っていたら、自分の処罰も省みず、俺っちを助けようとしているのだ。


「改めて貴殿がファルケンで、いいんだな?」


 声を聞いて振り替えると、これから戦いが始まるであろう少年と一緒に行動をしていたもの達が集まってきた。


「そうッスが・・・俺っちは亜人ッスよ? こっちに来ていいンスか?」

「むしろ何故駄目だと思うんだ? 私は君がどんな姿をしていても関係はない。 そしてやつの言い分が滅茶苦茶なのも分かっていた。 だからセイジが出たのだ。 この戦いは、お前の未来を決める戦いでもある。」


 そう言われ俺っちは、ただ見守ることしか、出来なくなっていた。


 ――――――――――――――――――


 ダイスを振り、警官が「32」、俺が「06」となり警官が先攻となった。


「俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム! 俺はコストを6支払い「スピリットモスキーノ」を召喚! 更にコストを4支払い「ニードルエッガー」を召喚!」


『モンスター:スピリットモスキーノ レアリティ 紫 コスト6

 種族 昆虫族

「戦闘破壊時」このカードを破壊したモンスターのコントロールを得る。

 ATK 2 HP 2』


『モンスター:ニードルエッガー レアリティ 水色 コスト4

 種族 昆虫族

「戦闘破壊時」このカードと戦闘を行ったモンスターは、コントローラーのターンで2ターン毎に、そのモンスターのステータスの半分の「ニードルキッズ」を自分のフィールドに召喚する。

 ATK 4 HP 3』


 戦闘破壊時効果が厄介だけど、順番さえ間違えなければ、問題はないだろう。 それにステータスだけ見ればまだ高くはない。 こちらもそんなに強いモンスターを序盤から出さなくても、後半に繋げられる。 先ずは備えることが大事だな。


「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」

「俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム。」


 さっきは序盤から出さなくてもいいとは考えたものの、あんまり長引かせてもいいことはない。 ステータスが低いなら、それを逆手にとらせてもらうか。


「俺はコストを8支払い、ウエスタンヒーローを召喚。 更にコストを10支払い、歴戦の狩人を召喚。」


 攻撃力はどちらも高めだが、敵の能力の事を考えると、ダメージ優先では行けない。 ここは攻撃力は低いがやるしかないだろう。


「コンバットタイム! 俺はウエスタンヒーローでスピリット・・・」

「おっと、そうはいかない。 俺はコストを2つ支払い、魔法カード「虫からの警告音(インセクトアラート)」発動!」


『魔法カード(インタラプト):虫からの警告音(インセクトアラート) レアリティ 水色 コスト2

 戦闘を仕掛ける相手モンスターの攻撃対象を変更できる。』


「俺はウエスタンヒーローの攻撃対象を「ニードルエッガー」に変更させてもらうぜ。」


 ちっ。 確かにウエスタンヒーローの攻撃はコイントスによる攻撃だから扱いにくいは扱いにくい。 コントロールを受けもらうには少し役不足か。


 攻撃の狙いをスピリットモスキーノからニードルエッガーに変更したウエスタンヒーローは、銃のハンマーを下ろす。


 そしてその後に空中にコインが投げられる。 地面で二度跳ねて回転を繰り返して、倒れたコインに書かれていた紋様は星だった。 これは表である証拠で、裏となる部分には星の中部分である五角形が描かれている。


 コイントスでの結果が決まった瞬間にウエスタンヒーローは引き金を引いた。 放たれた弾丸に赤いオーラが纏われていた。 あれが攻撃力だという証らしい。 そして弾丸はニードルエッガーの針部分にヒットし、ニードルエッガーは破壊されていった。


 その破片が相手のライフコアに当たり、残りは「91」序盤としては十分か。


「ニードルエッガーの効果により、ウエスタンヒーローに卵を植え付ける。」


 そして壊した筈の針がウエスタンヒーローの腕に刺さり、そのまま中に浸透していった。 これでウエスタンヒーローは倒されない限り、相手のモンスターを産み出す苗床にされてしまった。 本当は破壊して欲しかったが、そこまでは望めない。 歴戦の狩人は強い分相手に渡したくない。 ここは次に備えるしかない。


「俺はクール・・・」

「コンバットタイムはまだ続けさせてもらうぜ? 俺はコストを5つ支払い、魔法カード「威嚇フェロモン」発動!」


『魔法カード(インタラプト):威嚇フェロモン レアリティ 紫 コスト5

 相手のクールタイム移行前に発動可能。 相手のコンバットタイム時に攻撃しなかったモンスターを攻撃させる。』


 くっ! 敢えて攻撃しないことで「スピリットモスキーノ」の効果を受けないようにしたのに・・・! これで相手のデッキの大体の戦い方は把握できた。 あいつのデッキは、敵の攻撃を誘って、自分の手中に納める、寄生虫のような戦い方をする。


 歴戦の狩人はそのフェロモンにあてられ、「スピリットモスキーノ」に攻撃をしにいく。 モスキーノは太刀筋を華麗に避ける。 だがそこは歴戦の狩人、動きが鈍る一瞬を見逃さず、一閃を炸裂させた。 だがその代わりに、歴戦の狩人はなにかにあてられたのか、こちらに戻らず、向こうのフィールドについてしまった。


「ふふふっ。 このモンスターは強力だ。 捨てるのは勿体無いなぁ。」

「そう余裕ぶってる場合か? あんたさっきのでだいぶライフコア削れたけど?」


 そう指差す相手のライフコアの残りは「68」。 1ターン目からここまで削られているのだから、もう少し焦るものだと思ったが。 盤面有利から一気に覆されるのか。


「ちっ。 クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」

「俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム。 俺はコストを9支払い、「フェロモンフォレスト」を展開!」


『領域カード:フェロモンフォレスト レアリティ桃 コスト9

 相手はコンバットタイム時、必ず攻撃をしなければならない。

 相手モンスターの攻撃の対象をコントローラーが選ぶ。』


 このAI領域に五感が残っているのか分からないが、相手の領域が展開された瞬間になにか甘ったるい匂いが周りを覆った。 正直この匂いは気持ち悪くなりそうだ。


「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」


 しかも領域を展開しただけで出番を回してきた。 相手は歴戦の狩人1体のみ・・・ 誘ってると見て間違いないな。 誘われている上でどう戦うか・・・


「俺のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」


 ――――――――――――――――


「あいつ、やっぱり攻撃をしてこないッスね。」

「奴の戦術について知っているのか?」

「知ってるもなにも、俺っちの両親が逃がしてくれる前に見たンスけど、反勢力の奴らは、ああしたデッキが多かったッス。 今でも鮮明に思い出せるッス。 当時の領民が俺っちを庇ってくれたこと。 両親も同じ様に庇ったこと。 当時の子供達が、俺っちを必死に走らせたことを。」


 目を閉じるだけでその光景が見えてくる。 本来は思い出したくもないありし日の記憶。 だからこそ、反勢力の奴らの戦い方が嫌という程伝わってくる。


「俺っちを庇ってくれたことは嬉しいッス。 だけど、奴にはただ攻撃をし続けるだけじゃ、思うつぼッス。 せめてそれが分かってれば・・・」

「ご主人様なら、大丈夫、です。」


 そう声を掛けてきたのは少女、しかも今戦っているあの少年を「ご主人様」と言った。この世界では人間の奴隷は禁止では・・・と思ったが、彼女の首に奴隷の首輪は着いていない。 それどころかその瞳はとてもつぶらだった。 俺っちが面倒を見ている子供のように。


「あなたも見ていれば分かりますよ。 彼の凄さと、全てを返すとっておきの一打を。」


 今度は俺っちと同じくらいの女の子。 彼女は奴隷の首輪をしているが、別段酷いことをされている様子はない。 しかも肩を触れている手の感触で分かる。 彼女は俺っちと同じ亜人だと。 そんな彼女が彼のもとにある理由は分からない。


「セイジを信じるんだ。 この領地の在り方、子供達、そしてファルケン、貴殿自身の命運を彼は背負っている。 とても計り知れない重たいものを背負いながら、セイジは目の前のカードゲームに集中しているんだ。 心配は無用だ。 あの時点でセイジは敵のデッキの特性は掴んでる。 凄い観察眼だよ。あれは。」


 みんなが信頼に値する、セイジという人物。 俺っちも信じたくなってきた。 この事態を、全て喜劇で終わらせられる一幕があることを。

現状

警官 ライフコア 68

歴戦の狩人

フェロモンフォレスト


清司 ライフコア97

ウエスタンヒーロー

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