鳥人との対戦
賽は投げられ、俺の目は「4」、ファルケンは「2」となり、俺の先攻となった。
「俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム。 俺はコストを8支払い「ウエスタンヒーロー」を召喚。」
出てきたのは映画で良く見る若きガンマンの姿だった。 うん。 様になってる。
「更に俺はコストを3支払い、「リトルデビル」を召喚。 リトルデビルの効果により、俺は山札からもう一体のリトルデビルを手札に加える。 クールタイムに入り、おれはエンディングを迎える。」
前回のバクディッシュ戦でのやり方を参考に、まずは序盤に手札を極力減らさないように立ち回る。 これからどうなるかは相手の出方を伺ってからだ。
「俺っちのオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム!」
そう言って早速手札から1枚のカードを取り出した。 先程引いたカードではない。
「自分フィールドにモンスターがおらず、相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、手札のこのモンスターはコストを半分にして召喚が出来るっす。 行け! 「Ws ソニックバレット」!」
『モンスター:Ws ソニックバレット レアリティ 水色 コスト6
種族 鳥獣族
自分フィールドにモンスターがおらず、相手フィールドにのみモンスターが存在する時、このカードのコストを半分にして召喚が出来る。
ATK 2 HP 4』
そうして現れたのは、かなり小型の二丁拳銃を持った雀のような見た目をしたモンスターだった。 Ws・・・ 俺は今まで「種族」でデッキを作っている相手をしてきたが、これはもしかしたら「テーマデッキ」として出てくる。 テーマデッキの強みは同じカード名が入っていれば、コンボを組みやすいということだ。 ここからの展開力は凄まじくなりそうだ。
「更に、自分フィールドに「Wsモンスター」が存在する時、コストを半分、更に相手フィールドにモンスターが2体以上存在する時、このモンスターのコストは更に半分になるっす! コストを2支払って、行け!Ws ガトリーマ!」
『モンスター:Ws ガトリーマ レアリティ 紫 コスト8
種族 鳥獣族
自分フィールドにWsモンスターがいる時、手札のこのモンスターのコストを半分にする。
相手フィールドにモンスターが2体以上存在する時、手札のこのモンスターのコストを半分にする。
ATK 7 HP 12』
自分のWsと俺の場を使って召喚コストを最小限に抑えるか。 俺が場にモンスターを出したのが仇となったか。
「そしてコストを3支払って、「Ws スリングス」を召喚するっす!」
『モンスター:Ws スリングス レアリティ 水色 コスト 3
種族 鳥獣族
このカードはライフコアに直接攻撃出来る。
ATK 2 HP 5』
俺の場は2体に対して相手は3体。 しかもライフコアによる補填もしていない。 これが「テーマデッキ」の力なのか。 こいつは面白くなってきやがった。 俺は乾いた唇を舌で濡らした。
「コンバットタイム! スリングスでライフコアに攻撃っす!」
モンスターがいるのに、ライフコアに直接攻撃出来るのは本当に強いよな。 そう思いながら、モンスターの手に持っているパチンコから、パチンコ球を発射する。
「そしてここで俺っちはコストを3支払って「Ws クイックリローダー」を捨て場に送ることで、Wsモンスター1体はもう一度攻撃が出来るっす!」
『モンスター:Ws クイックリローダー レアリティ 水色 コスト3
種族 鳥獣族
このカードを手札からコストを支払い、捨て場に送ることで、Wsモンスター1体を選択し、そのモンスターは攻撃をもう一度行える。』
更に手札から効果を発揮するモンスター。 この試合、学べるものが多そうだ。 そしてパチンコ球がライフコアに当たり、もう一発のパチンコ球もライフコアに当たる。 これで俺のライフコアは「96」。 まだまだ余裕ではあるが、回数を重ねればきつくはなってくるだろう。
「ガトリーマでウエスタンヒーローを攻撃! 蜂の巣にするっす!」
そう言ってガトリーマはウエスタンヒーローに向けて銃口が向けられる。 当然ウエスタンヒーローも自前の銃で対抗するが、検討むなしくガトリングの餌食になってしまった。 しかし体力と攻撃力は一緒なので、ダメージにはならない。
「ソニックバレットでリトルデビルに攻撃っす!」
ダメージにはならないし、なんだったらリトルデビルは残ってしまう。 意味は無さそうだが攻撃は通る。
「クールタイムに入り、俺っちはエンディングを迎えるっす!」
流石はテーマデッキ。 一筋縄では崩すことは出来ないか。 ならこっちも四の五のは言ってられないか!
「俺のオープニング、そしてドロー!」
今の手札と今引いたカードでは打開は出来ないな。 だけどリトルデビルがいるならこのカードが使えるんだよな。
「プラポレーションタイム! 俺はコストを7つ支払い、「表裏一体が織り成す奇跡」発動! フィールドと手札にある、リトルデビルを捨て場に送り、カードを2枚ドローする!」
そうしてカードを2枚引く。 そして引いたカードは・・・2枚ともこのときのために待っていたかのようなカード達だった。
「・・・来てくれたんだな。 俺はコストを8支払い、「雨降りにさ迷う少女」を召喚! モンスター効果により領域カード「雨降りの路地裏」が発動される。 さらにコストを7つ支払い、領域カード「染み渡った晴天」発動!」
あれだけどんよりとしていた雨模様が一気に消えて、変わりにさんさんと太陽がフィールドを包んだ。
「そして領域が染み渡った晴天になったことにより、「雨降りにさ迷う少女」は「救われし少女」に変化する!」
雨に打たれ、服も髪もずぶ濡れの少女が、太陽に当てられた事で、希望を見いだした、晴々しい姿に変貌した。 隠されていた目元も今や綺麗な瞳が写っていた。
「・・・領域カードを自らの効果で出すだけじゃなくて、領域カードの変化によって、自分も変化するモンスターっすか。 初めて見たっすよ。 そんなモンスター。」
やはりというか、俺のデッキは相当異色なデッキになっているのかもしれない。 そもそもまだコンセプトが不鮮明だからな。 だがこれで「表裏一体が織り成す奇跡」のデメリットである「ステータスの半減」も無くなった。 これでパワー負けすることは無くなった。 更に染み渡った晴天の効果で救われし少女の攻撃力も上がってる。 戦力としても十分だ。
「コンバットタイム! ガトリーマに攻撃をするんだ! 「エコーストライク」!」
そう技名を叫ぶと、少女は大きく息を吸って、そしてシャウト声を出した。 その音と声にガトリーマは自分の持っている武器を落とし、頭を抱えながら、消えていった。 それに伴い、ファルケンのライフコアにも響いた。 ファルケンのライフコアは「98」、まだまだ勝ち筋は遠い。
「どうしてっすか?」
「なにがだ?」
「ステータスはそっちの方が圧倒的に上っすよ? なんでわざわざ体力の高いガトリーマを狙ったんすか? それこそ直接攻撃の出来るスリングスの方が脅威じゃないっすか?」
「確かにお前がインタラプトカードを持っている可能性もあったことは否定しない。 だが攻撃で畳み掛けるのには、パワーがいるだろ? それを潰しただけの事さ。 お前さんのそのテーマデッキ、展開力やコストの削減に力を投じるあまり、そう言った効果を持つモンスターのステータスは著しく低い。 そこを突かれるのは、わけないことだと思うが?」
色々な懸念があってこその攻撃だったのだが、杞憂にすんで、こっちも内心はホッとしている。 相手に悟られないようにするのも大変だな。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
こっちのライフコアがそこそこ減ってしまった。 今が「92」だが、あいつのモンスター同士のコンボを考えれば、一気に決着をつけられる可能性もある、それだけは避けておきたい。 話したいこともあるんだ。 負けるわけにはいかないんだよな。
「・・・確かに今までの輩とは全然違うっすね。 もしかしたら・・・」
なにかをぶつくさ言っているようだが、生憎とこちらからは聞こえないほどの声量なので、耳を傾ける事も出来ない。 しかし試合中とは言え、俺の事を揺さぶってくる様子はない。 俺に対する妨害の言葉では無さそうだ。 まだ試合は始まったばかり。 さぁ、どうくるか。
「俺っちのオープニング、そしてドロー!」
現状
ファルケン ライフコア 98
Ws ソニックバレット
Ws スリングス
清司 ライフコア 92
救われし少女
染み渡った晴天




