ゼルダのデッキ
AI領域に入り、ダイスが投げられる。 スキンヘッドが「87」、ゼルダが「66」と出たので、先攻はスキンヘッドになる。
「俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム。 コストを10支払い、「二刀流 カルマ」を召喚!」
『モンスター:二刀流 カルマ レアリティ 桃 コスト10
種族 傭兵
このカードは装備カードを2枚装着できる。
ATK 10 HP 10』
現れたのは二刀流と言っておきながら剣を持っていない、流浪人のような格好をした男だった。
「更に俺は、コストを3ずつ支払い、「鋭き刀」と「魔力の刀」を二刀流 カルマに装備!」
『装備カード:鋭き刀 レアリティ水色 コスト3
装備モンスターの攻撃力を10上昇させる。』
『装備カード:魔力の刀 レアリティ水色 コスト3
装備モンスターの体力を5上昇させる。』
装備した赤色と緑色の刀により、まさしく二刀流になった。
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」
「ボクのオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
相手のモンスターは序盤にしてはかなり強気なカードでやってきた。 果たしてどう対応する?
「ゼルダに勝算はあるのか? セイジ。」
横を見るとベルジアとアリフレアもそこにはいた。 というかそこそこ遠かったはずだが、入れたのか。
「俺はゼルダのデッキを直接見た訳じゃないからな。 勝算がどうだと言われると、不安にはなってくるが・・・アリフレアとしてはどう見る?」
この中で唯一ゼルダと戦ったアリフレアに聞いてみる。 これはアリフレア自身にも、試合を観察する上で重要なことだ。
「それは・・・分からない、です。 相手の、出方が、どう言ったものか、はっきりと、していないので。」
「随分と冷静に見ているのだな。 彼女は。」
「伊達に俺達の試合を見ていた訳じゃないからな。 それよりも、今はゼルダの事だ。 あんな奴らに渡されてたまるか。」
ゼルダの戦いはまだ把握していないし、なによりもデッキをまだ見ていない。 それだけにゼルダの可能性は賭けたい。
「ボクはコストを5つ支払って、ウリオークを召喚。」
そうして現れた、懐かしきモンスター。
「ゼルダもウリオークを入れていたのか。 ギリギリだけど、それならカルマは倒せる。」
「どういう意味だ?」
「ウリオークは自分のHPを2つ使うことで、もう一度攻撃することが出来る。 しかもそれにターン制限はないから、HPのギリギリまで使えるのさ。」
「ご主人様が、私を、助けるために、出した、モンスターの、1体、です。」
確かにウリオークならこの状況は突破出来る。 だがそれだけでは意味がない。 なによりも次のターン、ウリオークのHPが低い状態で迎えるから、大ダメージもあり得る。
「更にボクはコストを6つ支払って、ホッパー・ザ・ヘッジホッグを召喚。」
『モンスター:ホッパー・ザ・ヘッジホッグ レアリティ 紫 コスト6
種族 獣族
「戦闘時」相手のライフコアに直接ダメージが入った時、もう一度攻撃を行う。
ATK 4 HP 5』
「そしてボクはここでコストを7つ支払って、領域カード「サンライトジャングル」を発動!」
『領域カード:サンライトジャングル レアリティ 紫 コスト7
この領域が展開されている限り、自分フィールドの「獣族」、「鳥獣族」、「獣人」の攻撃力は5上昇し、クールタイム時、モンスターのライフを3回復させる。』
辺り一面に日の光が降り注ぐ森林が生まれる。 マイナスイオン効果でこちらも癒されていく。
「種族は限られるが、攻撃と体力、共に上方させるのは、中々強いカードでは無いか?」
「しかもウリオークの効果を使った後でも、リカバリーが多少は効く。 これ程有効な領域カード、引きたくても引けないだろ。」
「凄い、です。 ゼルダさん。」
ゼルダもこちらをチラリと見て、誉められているのが分かっているのか、俺達にVサインを送ってきた。
「それじゃあコンバットタイム! ボクはウリオークで二刀流 カルマを攻撃!」
ウリオークはカルマに向かって突進をする。 弾かれこそしたが、まだウリオークには効果が残っている。
「ウリオークの効果。 自身のライフを2つ支払うことで、もう一度攻撃可能! 行け! ウリオーク!」
ウリオークの再度の突進でカルマは驚いたのかすぐに体勢が整わず、そのままウリオークの攻撃を受けてしまう。 そしてそのまま消滅した。 倒せたものの、その差分とこのゲームの特徴の「同じコンバットタイムの時に同じモンスターを複数回攻撃して倒した場合、ダメージが半減する」というルールが存在するため、「1」はダメージにはならない。
「これで相手フィールドはがら空きだ。 畳み掛けるならここだろう!」
ベルジアの言う通り、今なら仕掛けられる。 ここで大幅に減らせておけば、後々楽にはなる。
「ウリオークの効果を使って、3回目の攻撃。 今度はライフコアに直接行くよ!」
ウリオークの突進がライフコアに直撃する。 ライフコアは一気に減っていく。
「そしてもう一回使用して更に追い討ちだ!」
ウリオークが最後の力を振り絞り、ライフコアにダメージを与える。 これだけでも相手としては大分手痛い。
「更にホッパー・ザ・ヘッジホッグでライフコアに攻撃! 更にホッパーヘッジホッグの効果で、もう一度ライフコアに攻撃出来る!」
ホッパー・ザ・ヘッジホッグは名前の通りに、自身を器用に跳び跳ねさせて、ライフコアに攻撃する。 そしてライフコアを足場にして飛んだ後、「キュインキュインキュイン」という音と共にその場で回転しながら滞空し、その後またライフコアに攻撃した。 あのハリネズミは茶色だったけれど、青色だったら元の世界では言わずと知れた有名なキャラクターだっただろうなと、訳の分からない感想を抱きつつ、相手のライフコアが減ったのを確認した。 相手のライフコアは「64」。 ここまでで34のライフコアを一気に削った事になる。
「クールタイムに入り、サンライトジャングルの効果でモンスターのライフを3回復させて、ボクはエンディングを迎えるよ。」
そうしてゼルダのターンは終了した。
「セイジよ。 ゼルダのデッキコンセプトというのは・・・」
「気が付いたか? そう、俺が見た限りでは、ゼルダのデッキの根底は「闘争本能」、そしてそれらを織り成すコンセプトは」
「複数回攻撃、ですね。」
アリフレアが補足するように言葉を紡ぐ。 ゼルダのデッキの主な種族は「獣族」。 たまに「それは獣族としていいのか?」というモンスターも存在はしていたが、概ね偏りはない。
そして大体のモンスターは2回目の攻撃が可能となっている。 これを駆使し、相手が盤面を作る前に倒してしまう、という流れのデッキだと見ていた。
「うむ、これなら相手を難なく制圧出来るのではないか? このまま行けば・・・」
そうベルジアが言いかけた時、ベルジアの言葉が止まった。
「セイジよ。 何故深刻そうな顔をしている? 彼女の戦いに不満があるのか?」
「そうじゃねぇよ。 ただゼルダのデッキには、複数回攻撃が出来るという利点がある分、それに伴う代償や条件がある。 そこに漬け込まれたら、後半が厳しくなるって、思っているだけだ。」
「彼女のデッキに、弱点のようなものなど無いようにも見えるが?」
「今のところは、な。」
そう、今順調なのは、この先に落とし穴があることを示唆している事を俺は知っている。 人間心理というものは、調子がいい時やこれからという時に油断して堕ちやすい。 勝てると確信しているときほど、油断している場面は無い程に、だ。
「確かに今の現状のまま行けば、ゼルダの優勢状態は続く。 だがゲームだろうと戦争だろうと、形成が傾く場面は出てくる。 そしてその隙をいかに自分は出さず、相手が出してくるか。 その探りあいだ。 だから最初から全力を出していて、後半に失速しないかが心配なんだよ。」
「そういうものなのか?」
「心配が杞憂になれば、それでいいんだけどな。」
メリットとデメリットは表裏一体。 負けに繋がるような失態がなければいいが。
それに昨日ベルジアが言っていた「スキルの顕現の条件」について。 ゼルダはまだ持っていない可能性だってある。 一発逆転も可能な「スキル」をどこで顕現させるのか。 それもまた形成を変える手段だ。 負けてしまえば、ゼルダはあいつらの思うまま。 それだけは避けてくれよと、今はゼルダの背中を見るしか出来なかった。
現状
スキンヘッド ライフコア 64
モンスターなし
ゼルダ ライフコア 97
ウリオーク
ホッパー・ザ・ヘッジホッグ
サンライトジャングル




