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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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定義が変わればスキルも変わる

『モンスター:龍に慕われし覇者 クルセージュ レアリティ 金 コスト25

 種族 龍人族

「召喚成功時」自分の捨て場に存在する「竜族」カードをフィールドに可能な限り召喚する。

 このカードの攻撃力は自分フィールドの「竜族」モンスターの攻撃力の合計となる

 ATK ? HP 36』


 そのモンスターの姿はスリムな体型で、鎧のようなものはほとんどしておらず、頭も竜を催した物を被っていた。 手にはしっかりとした剣が持たれており、覇者に相応しい風貌をしている。


 それにしても攻撃力が「?」はこの世界では初めて見るな。 今までは攻撃力の上乗せが多く見られたから余計に新鮮味を感じる。 そしてこいつが今のベルジアのエースモンスターってことか。


「クルセージュの効果により! 私の捨て場に存在する「灰竜」、「ボムドラ」、「闇猫竜」はフィールドに召喚される!」


 捨て場にいた3体がベルジアのフィールドに戻ってくる。 これにより、クルセージュの攻撃力は合計「28」となる。 これだけでも十分な戦力だ。 畳み掛ければ一気に相手のライフコアを減らせれる。


 だがそれでもオークリッドの体力を合わせると、まだ足りないのではないかと思ってしまう。 そして次のターンに相手が体勢を立て直してしまえば、また厳しい戦いを強いられるかもしれない。


「時にセイジよ。」


 そんな思考を遮断するかのようにベルジアが俺に声をかけてくる。


「スキルと言うものは、誰しもに与えられる神様からの贈り物ではない。 いや、正確にはスキルの顕現には必ず条件が存在する。 そしてその条件に合わない生活をしていれば、そのスキルを使うことなくこの世を去っていく。」


 急になにを話し出すのかと思えば、スキルの定義についてだった。 確かに俺はこの世界に来て日は浅い。 だから正確な定義は知らなかった。 言われてみればゼルダはともかく、アリフレアは何回か戦ってはいるが、スキルの片鱗も無かった。 制約カードバトルではないからかと思ったが、そこは違っていたようだ。


「そしてスキルは必ず1人に1つ付いている。 それは絶対に変わらない。 だがスキルは複数個持てなくても、スキルの()()はある。」

「変更?」

「そう。 そしてその変更の条件は、自分の心の成長が見られた時、元々持っているスキルの派生系とも言えるスキルに変わる。 そしてそれこそが、今の私のスキルなのだ! 見てくれ! これが私の、弱肉強食ラウ・オブ・ザ・ジャングルに変わる、進化したスキルだ!」


 そしてベルジアは右手を天に掲げる。


「この身を糧に、力を奮え! 我が命を力に(ライフトランスパワー)!」


 天に掲げられた右手から赤いエネルギーの弾が現れ、そしてクルセージュ以外のモンスターにその赤いエネルギーが入っていき、モンスター達は咆哮を行った。


我が命を力に(ライフトランスパワー)

 ライフコアが50以下の時に発動可能。 現在のライフの半分を使用し、その数値を自分フィールドの「竜族」モンスターの攻撃力に上乗せする。』


 ベルジアが掲げたライフの数値、「44」だったライフコアの半分の「22」。 その数値が攻撃力として、竜族のモンスターに入っていったってことか。 そしてクルセージュの能力が遺憾無く発揮している。 それゆえに攻撃力が


「攻撃力116!? そんな馬鹿な攻撃力があってたまるか!」


 そう、この効果で上がっているのは「竜族」モンスターだけではない。 むしろその影響をもろに受けているのはクルセージュなのだ。 純粋な攻撃力に加え、我が命を力に(ライフトランスパワー)の効果で上がった分も効力になるので、そうなるという訳だ。


「これが・・・お前の新たな力なんだな。 ベルジア。」

「そうだ。 私は1人で闘っているのではない。 そう悟った瞬間、カードのパック達も答えてくれたんだ。 私は今までの生き方を悔やむ気はない。 だが1つの転機でこれほどまでに自分の変化が訪れるとは思っても見なかったから、自分でも驚いている。 だがこの力は糧としたい。 それを教えてくれたのは誰でもない。 貴殿だったからだ。」


 嬉しいことを言ってくれる。 ま、聞きたいことは諸々聞く予定だし、そっちがその気ならいいか。


「では終わらせるとしよう。 コンバットタイム! 行け! クルセージュ! 全てに終止符を!」


 クルセージュは懐に納めていた剣を抜いたと思った瞬間に敵に背を向ける。 そして鞘の「カチン」という音と共に、オークリッドは細切れになり、いつの間にかライフコアにも切り口が入っていた。 そしてライフコアも0となる。 敵は唖然としていた。


「クールタイムに入り、私はエンディングを迎える。 これにて終幕だ。」


『勝者はベルジア・アスラン。 これにより譲渡量が制限されます。』


 全ての終わりを告げる台詞と共にAI領域が天井から崩れていく。 かなり早い段階から出ていたので、日はまだ一番上まで昇りきっていない。


「ご主人様。」

「セージさん。」


 AI領域に入れなかったアリフレアとゼルダもこちらに近付いてくる。 こちらも何事もなかったようだ。 そして山賊達はというと・・・


「・・・くそっ!」

「おい! 次は俺の番だ! さっさと・・・」

「お前達、ここら辺りの山賊ではないだろ?」


 1人が悔しがり、もう一人が再戦を申し込もうとした時、ベルジアはそういい放つ。 その言葉に3人はピクリと動きを止める。


「そ、それがどうした? あんたらには関係の無い話だ。」

「関係はないが協力は出来る。 お前達の集落に食糧を分け与える位、造作もない。」

「この渓谷に集落があるのか?」


 流石に事情持ちなのは分かったが詳しくは分からなかったので、そこは普通に疑問を持たせる。


「あぁ、渓谷とはいえ困窮するような場所ではなかったらしいのだが、最近は集落の出入りが悪くなっていたらしくてな。 水はともかく、食糧だけは多方面からの物もあったので、今となっては後数日で集落の者全員に行き渡るか分からないくらいなのだそうだ。」


 その情報はどこからのものなのか分からないが、とにかく目の前の3人はその集落の子供だと見ていいらしい。


「そうだ! だからこうして、ここに通る人達に食糧を分けてもらおうとしたんだ! 最初こそ分かったもらえたけれど、「それが山賊のやり方か」と言われてからは、全く・・・」


 そう泣きじゃくり始めてしまった。 しかしここで食糧を渡したところで・・・そう思っていたら、アリフレアがここに来る前の森で取れた木の実の籠を出して、その子供達に渡していた。


「・・・いいのか? 俺達は戦いに負けて・・・」

「本当に、辛い時に、食べることも、出来ないのは、私も、よく知っている、から。」


 そう言って籠を持たすアリフレア。 アリフレアは俺と会うまでは明日には死んでいたかも知れない環境にいた。 その事を知っているがゆえに、困窮する気持ちは分かるのだろう。 アリフレアはその子供達に微笑みかけていた。


「全く、私がやるべき事を先にやらせてしまったではないか。」


 そう言ってベルジアは、自分の乗ってきたドーホースに付けられていたリュックごと彼らの前に差し出す。


「全員分に行き渡るか分からないが、これで次までには持ちこたえれるだろう。 細やかにしかならないことを許してくれ。」


 そうベルジアは申し訳なさそうに言う。


「ありがとうございます・・・! あのオークさえいなければ、こんなことをしなくて済んでいるのに・・・」

「オークって、もしかして森と渓谷の間を陣取っていた?」

「はい。 あのオークがいるせいで、商人たちが襲われ、まともに集落に来れなくなってしまったのです。」

「そのオークなら、ボクたちが倒したよ。 証拠・・・にはならないけど、これがそのオークで作った腸詰め。」


 話を聞いていたゼルダがドーホースに付けていた腸詰めを見せる。 確かにあんなものでは証拠にはならないが、頭だけ持っていたりしても不気味がられるだろう。


「え!? あのオークを倒したの?」

「あのオークのせいで届かなかったって言うなら、もう大丈夫だとは思うけど。 せっかくだ。 この腸詰めも持っていきなよ。 まだ後1日は熟成が必要だけど。」

「本当に・・・何から何まで・・・俺達のために・・・」

「そう思うのなら早く行くんだ。 集落の皆が待っているのだろう?」


 そうベルジアが言うと、3人は頭を下げて、すぐに走り去っていった。 結構な量あったと思ったけど、大丈夫か?


「我々も先を急ぐぞ。 ここで立ち止まっては、本当に山賊に襲われかねない。」


 そう言って自分のドーホースに乗るベルジア。 だが疑問はある。 俺が思っている疑問ではない単純な疑問。


「本当にあそこで全部上げて良かったのか? あのリュック、食料以外は何も入ってないのか?」

「あれには私の2週間分の食料が入っていたが、人の命がかかっているのなら、多少の程度で十分だ。」


 そう言ってベルジアはどこからともなくドライフルーツを取り出した。 あれでしばらくはやり過ごそうと思っていたのか。 俺達と合流出来なかったらどうするつもりだったんだ。


「それに貴殿らだって、自分達の戦利品を渡すようなことをしただろう? あのようなものでなくてもよかったのでは?」


 今度は俺に質問が返ってくる。 それだって結局は同じことだ。


「別に量はあるし、ちょっとくらい渡す位なんともないさ。」


 そういって肩を竦める俺。 その言葉に納得がいったのか、ベルジアはただ軽く笑うだけだった。


 先頭のドーホースは俺が乗っているドーホースなので、俺が動かなければいけないと感じ、急いでドーホースに乗り、走り出すのだった。

というわけで今後はベルジアも旅に同行致します

試合の方は行うかは今後未定でお送り致します。

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