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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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突然の再開

「ボクはコストを8支払って、ランナーキャットを召喚。」


 召喚されたのは猫なのだが、足がチーターのように細くなっていた。

 現在2ターン目のゼルダのターン。 俺の先攻で始まったこのバトル、ゼルダが1ターン目から全力でかかってきたので、こちらもそれに答えるようにカードを出したのだ。


 ちなみに今のフィールドとしては

 ゼルダ ライフコア 86

 ランナーキャット

 バブルヒポポ

 複眼蛇

 ナイトメアパーク


 清司 ライフコア 90

 サーカス団のピエロ

 マジシャンドール×2

 となっている。


 ちなみにランナーキャットを出す前のターンではゼルダにもう2体モンスターがいたが、それはサーカス団のピエロとマジシャンドールの2体で処理して、今の現状になっている。 俺のライフが減っているのは「ツギハギの折り畳み盾」を使用したからだ。


「コンバットタイム! ランナーキャットで1体目のマジシャンドールに攻撃!」


 ランナーキャットはマジシャンドールに飛び付いてズタズタに引き裂いてく。 攻撃力と体力は一緒なのでダメージにはならない。


「続いて複眼蛇の攻撃! 同じくマジシャンドール! 更にここでナイトメアパークの効果が発動!」


 ここも受けておこう。 下手にツギハギは使えない。


「マジシャンドールの効果。 捨て場に2体揃ったことにより、カードを1枚ドローする。」

「じゃあそのままバブルヒポポでサーカス団のピエロに攻撃!」


 サーカス団のピエロも破壊されるが、サーカス団のピエロには、破壊されてもサーカスボールとしてフィールドに残る効果がある。 それでまだ壁は出来上がる。


「クールタイムに入って、ボクはエンディングを迎えるよ。」

「俺のオープニング、そしてドロー。 ・・・あ。」

「うん? どうかした?」


 今引いたカードを見て俺が項垂れるのをみて、ゼルダは疑問に思ったようだが、こちらとしてもちょっと悩んだ。


「あー・・・いや・・・プラポレーションタイム。 俺はコストを30支払って、ヤマタノオロチを召喚。」


 俺はその掛け声と共に、ヤマタノオロチが現れる。 そしてなぜこのモンスターを出すのを渋ったのかと言えば。


「コンバットタイム、俺はサーカスボールを使って、ランナーキャット、バブルヒポポ、複眼蛇、そしてゼルダのライフコアにそれぞれの順番で攻撃するんだ。」


 ヤマタノオロチはそのまま攻撃を繰り返して、ゼルダのフィールドは完全にがら空きになった。


「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」

「ボクのオープニング、そしてドロー・・・あー・・・これは・・・」


 ゼルダは自分の手札と俺のヤマタノオロチを確認した後、


「うーん。 これは駄目だね。 ボクは舞台を降りることにするよ。」


 そう言ってゼルダは手札をフィールドに置く。 この場合の「舞台を降りる」とは、これ以上の演劇は不可能、要するに「投了」を意味しており、負けを認めると言う事になる。


「いやぁ、あんなカードを出されたら、よっぽどの事がない限りは対処されないんじゃない?」

「どうだかね。 確かに戦闘での討伐は無理でも、効果による破壊は可能だろう。 その分の代償は払ってもらうがな。」


 アリフレアが夕食を作っている間に、ゼルダと練習試合をしていたのだが、今回はさすがに引きが良すぎたようだ。 ここで引きがいいと後が怖いんだがな。 それにゼルダ自身の練習にもなりはしないから、結果がどうであれ、今回はここまでにしておこう。 時の運というのも相まって今日は引きずるかもしれないし。


「お二人とも、終わり、ましたか?」


 丁度アリフレアの方も作り終えたようで、シチューのようなものが深皿の中に入っていた。


「そうだな。 また明日も走らせるんだ。 英気は養っておこう。 それじゃあ、いただきます。」

「「いただきます。」」


 そうしてオークのシチュー(オークの肉はクセが強かったがこれはこれで旨かった)を堪能し、テントを作り、そのまま眠るのだった。


 翌日、いつものルーティンと朝食を食べたのち、ドーホース達とヨコッコ達が先に朝日を浴びて待っていたのでそんな彼らと共に再び渓谷を走り出した。


「後どのくらいで着きそうなのかな?」

「渓谷の溝を越えた辺りが半分みたいだから、もう少しかかるな。」

「ドーホースさん、達も、そろそろ、疲れが、見えています。 大きな、豚さんと、戦ったので、余計に。」


 アリフレアが心配そうにドーホースに手を添えると、ドーホースは「ブルル」と首を振りながら鳴いた。


「心配は無用、だってさ。 彼らだって鍛えられているし、人使いが荒い人達よりは幾分ましだって。」

「ドーホースって貴族の所有物じゃないのな。」

「普通はそうみたいなんだけど、ヨセマの領主はそれを敢えて買って、みんなに乗せてるんだって。」


 そう言った会話を俺もしてみたいものだ。 馬語、というか他生物語は俺には理解できん。 悲しい話だ。


 ドーホース達は数回に渡って休憩を挟んでいるお陰か、ヨセマの街を出てから、スピードが全く落ちていない。 自分達のペース配分を分かっているようで、本当に賢い奴らである。 そう褒めようと思っている時に、ドーホース達のスピードが落ちていく。


「ん。 また障害か?」


 確かに次のイークスまでの道のりはかなりのものだが、こう1日1回必ず何かあると、予定日程よりも遅れてしまう。 いや、元々急くものでも無かったので、着にはしていないのだが。


 そして完全にドーホース達が完全に止まったところで、目の前の障害がなんなのか分かった。 目の前に2人の青年と1人の少年が道の前に立ち塞がっていたのだ。 身なりはあまり良くないが、手にはナイフが見えた。


「へ、へへ。 こ、ここは俺達の縄張りの一部だ。 た、ただでは通せないなぁ。」


 右の金髪の青年が俺達に声をかける。 その声はどこかたどたどしい様子だった。


「この辺りの山賊って所かな?」

「あそこの道の、前に、立たれてたら、先に、進むことが、出来ません。」

「それに、相手がただ通してくれそうにもない。 どうしようか?」


 ゼルダが俺にそう質問してくるが、どうするもこうするもない。 避けられる戦いならばそれに越したことはない。 相手の要求を聞いてからでも遅くはないだろうな。


「通行料としてなにが欲しいんだ? 俺達から金品を要求しても、使い道なんて無いだろ?」

「そんなものは必要ない。 というか、自分達の立場、分かってるのか? お前達は俺達に脅されているんだぜ?」


 もう1人の茶髪にそう言われるけど、脅されていると言っているけれど、全く脅威に見えないのは、雰囲気からか、威厳の無さからか分からない。


「今持ってる食べ物を全部置いていくんだ! これは命令なんだ!」


 最後に真ん中の少年が虚勢を挙げる。 脅してるのか命令なのか、全く分からない。 まあ別に備蓄はあるし、見えている部分だけならなんとか凌げるかもしれないしな。 でも一応聞いとこ。


「それを拒否したら?」

「拒否なんてさせねぇ! 制約カードバトルで勝敗を着ければ、否応無しだろ? 誰がやるんだ?」


 そう言って相手はバイザーを付け始め、デッキホルダーからデッキを出す。 とはいえ制約カードバトルならデッキホルダーからデッキを出す理由はない。 だって嫌でもデッキから出るからである。


「でも流石に全部はキツいなぁ。 せめて半分くらいにしてもらうよう、制約に乗っ取って、やってやるか。 アリフレア、ゼルダ。 2人は下がって、他のルートを探しているんだ。 ここが一番の近道だったから通っただけだし、時間も圧してない。 とりあえず制約カードバトルをするから離れて・・・」


「その制約カードバトルを行う必要は無いぞ、セイジよ!」


 後ろから大声で俺の名前を呼ぶ声がした後、空が暗くなる。 上を見上げると、俺やゼルダとは違うドーホースが俺達の上を跳んでいたのだ。 そしてそのドーホースが着地したのを確認した後、そのドーホースに騎乗している人物を見て、俺は驚いた。


「な!? ベ、ベルジア!? ベルジア・アスランなのか!?」


 そう、その人物は俺が最初に訪れた街の次期領主のベルジア・アスラン本人だったのだ。 服装は俺らと同じ様な軽装だったが、その人物は目の前の山賊に目を向けていた。


「ようやく追い付くことが出来たぞ。 あれから2週間ほど経って、どこまで進まれたかとヒヤヒヤしたものだが、そこまで遠くなくて安心した。」

「な、なんでここまで・・・というか自分の領地はどうしたんだよ!? そもそもなんで来ているんだ!?」

「まあ色々と疑問が湧くのは当然の事だが、それは後だ。 今はこの現状を打破するのが先決だ・・・と言いたいが、制約カードバトルをセイジがやる必要は無いと私は言った。」


 そうだ、その意味をまだ聞いていなかった。 そうまでして間に入った理由が分からないのだ。


「へっ、仲間が1人増えようが関係ない! 食料を置いていくんだよ! じゃなきゃ、カードバトルで決着着けさせてやる!」

「ふむ、あくまで引かないか。」

「どうするんだ? 正直俺は食料をある程度渡しても問題はないんだが?」

「敢えて言うならばそうまでしなければいけない彼らの状況が知りたい。 ならばここは私が引き受けよう。」

「え!? 別にお前がそこまでしてくれなくても・・・」

「セイジ、私の近くに来てくれるか? 制約カードバトルの領域展開時に、セイジには私の半径2m以内にいてもらいたいんだ。 私の成長を見てもらうためにな。」


 その姿は最初に見た頃とは全く違う風貌を見せていた。 そこまで言うならばと、俺は無言でベルジアの近くに寄った。


「制約のルールは食料の確保。 それを決める戦いだ。 そちらが勝てば我々のを全部やる。 こちらが勝てば・・・無償で道を通らせてもらう。」


『制約:食料の譲渡』


 AI領域が展開される。 俺はベルジアの近くにいる。 これにより、ベルジアと相手の声は、俺にも聞こえるようになる。 ただし、互いに不利になるような情報は喋れないようになっているのは変わらないようだ。


 そして2人はディスクを構える。 よくよく考えれば、誰かのカードバトルを見るなんて、何気に初めてかもしれない。


「「さぁ、劇場の幕開けだ。」」

というわけで前回敵として出てきたベルジアが参戦!


なぜ来たのかの理由はまだ先のお話です。

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