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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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裏オークションの結末

『制約カードバトルの勝者は セイジ ノムラに決まりました。 これにより当オークションの参加券を得られました。』


 AI領域が消え、景色が劇場の観覧席の中央部分に戻る。 するとずっと試合を見ていた周りのお偉いさんが、ワッと俺に話よってくる。


 しかしこう言ってはなんだがこう言う人達に言い寄られてもいい気は全くもってしない。 だってこの人達だって、ある意味同じ穴の狢。 どんなお偉いさんだろうが、亜人を奴隷として使おうとしていたのなら、それは結局同じことだ。 そしてとりあえずやりたいことをやらせて貰おうか。 お偉いさんを振り切り、バクディッシュの前に立つ。


「さぁ彼女を、ゼルダを解放して貰おうか? それに俺は言い値で買えれば他の亜人達も解放するつもりだが?」


 そう言い放したとき、劇場の後ろの扉が勢い良く開けられた。


「ここにいるものは全員地面に手を置くのだ! 反抗は許さん!」


 そのデカデカと現れたじいさんの後ろから数十人の男達が、お偉いさん達を取り押さえていく。 そして数人が劇場の裏側に行くと、いくつかの檻が現れる。 

 その中には先程オークションで出されていた亜人達が現れる。 解放するために来たのだろうか? こっちとしてはかなりの急展開に思考が追い付いて行けてない。 そんな時、


「ご主人様!」


 そう言って飛び込んでくる1つの影、アリフレアの姿があった。


「ご主人様。 私、頑張りました。 ご主人様の、命令を、守ることが、出来ました。」


 そう言いながら俺に笑顔を見せてくれる。 そうだ。 アリフレアも頑張ってくれていたのだ。 1人で人探しなんて心細い事をさせて、それでも自分の役目として果たせてきてくれたアリフレアの頭を撫でてやる。


「あぁ。 良くやったぞアリフレア。」

「・・・えへへ。」


 頭を撫でられているアリフレアは、そのまま俺のお腹に頭をスリスリとしてくる。 その行動に愛らしさすら感じた。


「・・・り、領主様! そちらの男も捕またらどうなのですか!?」


 先程まで意気消沈と言わんばかりに倒れ込んでいたバクディッシュが急に声をあげて、俺の方を指差す。 というか領主って・・・このじいさんの事か?


「バクディッシュ公爵殿下。 お主には密国と亜人の捕獲、違法転売の罪がある。 そしてそれをこの目で見させて貰ったぞ。」

「ならばなおさら、その目の前の男も捕まえるべきです! その者はその少女を「奴隷」として扱っているではありませんか! 人族奴隷は法によれば無期懲役の禁固刑になります! その男も拘束されるには十分にあるでしょう!」


 自分が圧倒的不利になったからこっちにまで容疑をかける気で来ていやがる。 しかもアリフレアの事をなんの説明も無しに連れてきてしまっているので、そう言われてもおかしくはない。 アリフレア自身も俺の事を「ご主人様」呼ばわりしているから尚更だ。 しかも身なり的にも貴族のような格好ではないので、確かにこちらとしても言い逃れが出来ない立場になっているのは事実だ。 どう弁解するか・・・


「バクディッシュ公爵殿下。 貴方は今人族奴隷と言いましたね。 では亜人は奴隷として扱って良い。 そんな法は存在しない筈ですがね。」

「しかし領主様。 彼はあの幼子を奴隷として扱っているんです! それを・・・」

「私は今、亜人の奴隷はどうだと言う話をしているのだが? 亜人達だって、人となりに生きている。 その生き方を決めるのは貴方ではない筈だろう?」

「ぐっ・・・」

「それに亜人達を密国させている時点で貴方にはそれ相応の処罰は受けることになっているのですよ。 他人のどうこうを言っている場合なのですかな?」


 おお、この人かなりの権力者なだけに言葉の重みが違うや。 とはいえ亜人達はどうなるのだろうかという疑問が残るが、そんなのはこの人の処遇でいくらでも出来そうな気がする。


「そ、そうだ! その男は私に制約カードバトルを行い、このオークションの参加券を手に入れ、ここに売られている商品を買おうとしていたのです! これでも我々と同罪となります! それでもその男を拘束しないと言うのですか!?」


 な、なんつう惨めな姿だ。 自分の不利がひっくり返らないと分かった瞬間の道連れにしようとしている感じが必死すぎる。


「・・・これは分かってもらうつもりであえて言わなかったんだがな・・・」


 すると領主のじいさんは心底困ったように頬をかいた。 そしてその後に俺の両肩を大きくも、どこか安心できる手が乗っかった。


「なぜ彼を捕まえないのか。 それは君と彼では考え方が根底的に違うところにある。」

「何が違うと言うのです! そのまま彼を拘束してその幼子の奴隷を解放して・・・」

「彼は一言もこの少女の事を奴隷と言っていないし、奴隷のような扱いをしていない。」

「それは領主様が前にいるからであります! この場で貴方が居なくなれば、また扱いを戻すのは明白であります!」


 なんかそこまで言われるとさすがに腹立ってくるぞ? なにも知らないくせにそんな事をベラベラと。


「それに彼女には奴隷の首輪はついていない。 どこかから買ったようにも見えないがね。」

「首輪を付けずとも奴隷のような扱いは可能であります!」

「随分と奴隷の在り方について知っているのだな。 そのような言葉をお主から聞きたくは無かったぞ。」


 自分の罪を見繕おうとして、変なことを口走ってボロが出るタイプだな、ありゃ。


「そしてこれはお嬢さんから聞いたが、彼はここに居る亜人達を助けようとしていると聞いている。 そのようなことをするものを、逮捕すると言うのか?」

「その幼子も調教されているに過ぎません! ましてや主の計画を人にバラすなど・・・」

「奴隷としては失格、か? だが彼女は奴隷ではない。 それにご主人の行おうとしている計画を知っているということはそれだけ信頼されているという現れだ。 君は一度でも、ここに売られるのだと亜人である彼らに説明したかね?」

「どこに売られるかなど僕には関係の無いことです!」

「そうだな。 商品としてしか見ていない君には関係の無いことか。 ならば同じ気持ちになって貰わなければな。」


 その言葉で俺は察した。 つまりバクディッシュは公爵殿下という地位を剥奪される上に、犯罪者奴隷として売られるのだ。 その言葉にバクディッシュは膝を付いた。 俺を糾弾する気力も無くなったようだ。



「君達も来て貰うよ。 話をしたいからね。」


 あ、これは流石に逃げられないか。 こう言う時は従うのが一番なんだよね。 そんな昔の処世術を思い出しながら、未だ混沌の中にある劇場を後にするのだった。



「さて、まずは紹介をしておこう。 わしはこのヨセマの領主をやっておる、ハウリッド・ヨセマージュだ。 今回の貴殿の単独行動故の逮捕までのこぎつけ、見事なものであった。」

「そんなこと無いですよ。 自分はあそこに囚われた亜人を救いたい、そう思ったらかなり大規模な話になった。 それだけでございます。」


 領主の前ということで、俺もアリフレアも跪いている。 流石に立ちっぱなしは失礼だからね。


「我々も裏オークションについては噂程度に聞いており、領地内をくまなく探し、密国用の船までこぎつけることは出来たのだが、その先が難航していたのだ。 それを打開してくれたのだ。 なんと礼を言えば良いやら。」

「礼ならアリフレアにしてやってください。 偶然とはいえ、領主様を連れてきたのですから。」

「ふむ。 常日頃から、書類整理の後に活気溢れる領地の様子を見に行って正解であった。 もっとも、今回の事で書類は増えてしまったがの。」


 仕事の中の自由を有効活用出来たようでなにより。 話によれば裏オークションが行われるまでには様々なものか含有されており、奴隷にするための亜人捕獲、密国用の船、そして劇場貸出。 これらを行っていた団体は空中解散したらしいが、バクディッシュの自白により、その者達も逮捕出来たのだそうだ。


「我々はこのようなことが二度と無いよう、亜人の国と同盟を組むつもりだ。 無論こちらが賠償や不利益な条件も交えてだ。」

「囚われていた亜人達も帰すのですか?」

「そうなるな。 ただ、奴隷の首輪は外す手筈になっている。 例外はあるみたいだがの。」

「例外?」

「裏とはいえオークション。 参加者の中には、純粋に亜人を求めたりしていたものもいたようだ。 そのようなもの達まで逮捕してしまうのは流石に面子が立たないから、目的が完全に奴隷として扱う貴族のところでは、そのまま奴隷の首輪は着ける事にしてある。 奴隷の首輪は契約者、この場合はバクディッシュになるが、その者が契約解除すれば、次のものに奴隷の首輪を所持させて、契約をし直せるのだ。」


 ふーん。 ただ奴隷に出来るって訳じゃないのね。 それならまた大丈夫だろう。


「ほとんどのものは亜人の国に帰りたいと言っているので、そのまま帰還させる。 そのついでに同盟を取り付けるといった流れだ。 下手をすれば糾弾されかねないかもしれないが、仕方の無いことよ。」


 なるようになるとしか言えないので、そこは黙っておくことにした。


「ところでお主達はまだこの領地にはいるつもりかの?」

「ええ、後2、3日程は。」

「うむ、存分に楽しんでいくく共に、頼まれ事をしても良いだろうか?」


 領主のお願いだ。 かなり重要な話だが、信頼を得ていると考えればそれはそれでいい。


「お主達が次に行く領地のイークスへ手紙を送って貰いたい。 まだ書類は出来ていないから、お主達が旅立つタイミングにでもよって貰えると助かる。」

「そう言うことならお承り致します。」

「うむ、心より感謝する。 是非ヨセマの領地を楽しんでくれ。」


 そう言って領主の城を去り、領地を旅立つまでの2日間をヨセマで見て回った。 領主が根回しをしたのか、俺が買い物をすると、大体は1割引されていた。 なんでも領主の手助けをしたという事になってるそうで。 大したことをした記憶は・・・おっと、これ以上謙遜するとトラブルメーカー体質になってしまう。 まぁ好意は素直に受け取ることも大事だな。


 そして2日目の朝。 ルーティングを済ませて城に行くと、領主とお付きの厳つそうな人、そして馬と犬を足して2で割ったような動物が2頭、城門で立っていた。


「おはよう貴殿。 気分はどうかな?」

「おかげさまで。 その動物は?」

「こいつらは「ドーホース」と呼ばれる種類の(ホース)で、目的地をしっかりと言い聞かせれば、ひとりでにペースを合わせて往復する賢い(ホース)だ。 これなら騎馬経験の無い者でも安心して目的地まで案内してくれる。 食事はこちらからある程度の物を渡せば食べるので食糧問題もないぞ。」


 へぇ、そんなのを貸してくれるのか。 ここからイークスって、確か道中は険しい渓谷だった筈だったから、足があるのは便利だ。


「気を付けていってきてくれ。」

「はい。 今回の旅はよろしくな。」


 そうドーホースに言って、ドーホースと共に領地の入り口へと向かう。


 そして領地の外に出ようとした時、1人の人物が門に寄り掛かっていた。 その人物は誰を隠そう、ゼルダだった。


「どうも、待っていましたよ。」

「帰らなかったのか? 亜人の国に?」

「帰っても帰る場所が無くてね。 それにボクは君達に助けられた身だから、その恩返しをしたいんだ。 連れたいってくれるかい?」


 そう言いながら俺に奴隷の首輪を渡してくる。


「ボクはセージさんの奴隷になるなら構わない。 むしろ本望だと思えるようになったよ。 だから、セージさんの奴隷として、その首輪に契約をしてほしい。」


 そう言われたが正直奴隷としては雇いたくはない。 が、ゼルダは真剣そのものだった。 そんな風に見られたら断るに断れないじゃないか。 俺はドーホースから降り、ゼルダと契約を結ぶためチョーカー、もとい奴隷の首輪をゼルダの首に着ける。


「契約の言葉はあるか?」

「『汝、我が元で解約まで働きかけよ』。 です。」

「分かった。 『汝、我が元で解約まで働きかけよ。』」


 そうして首輪の前についている水晶が淡い赤の光を放った後にすぐに光を失う。 これで契約は完了らしい。


「本日よりこのリーゼルデ・フォン・フランシュシュ。 貴方に仕える奴隷として一緒にいさせてもらいます。」


 その物言いに戸惑いつつも、リーゼルデ・フォン・フランシュシュ、ゼルダを仲間に加えて、ヨセマを後にするのだった。


 というかゼルダのフルネームってそんな長い名前だったの?

この作品を書いて、1ヶ月が過ぎました。 正直仲間にするペースが遅く感じるのは、感覚の違いでしょうか?


とにもかくにもこれでゼルダも仲間になるのですが・・・ここだけの話、ゼルダのキャラ設定が定まっていないのです。 理由については・・・後々分かります はい。

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