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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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その手札は主の赴くままに

 俺は少し虚無感に襲われていた。 何故なら先程の一撃は、類を見ない程に完璧にコンボが決まっていた。 リターンアンドドローの効力とは言えあそこまで決まっていた上で、SPハイヤーを倒せなかった。 これは肉体的ダメージよりも、精神的ダメージの方が大きい。


「なにも気にすることはない。 僕としても少々危うかったものだ。 まさかあそこから形成を立て直すなんてね。 だが所詮は庶民の浅はかな夢の末端。 本当に叶えられるのは、地位のあるものだけなのさ。」

「・・・それと亜人を奴隷にすることの、どこに繋がりがある?」


 そうだ。 カードバトルの熱で浮かれていたが、これはそもそもゼルダを、亜人の人達を、少しでも奴隷から解放しようと思った末の行動だ。 ここで負ければ、彼らはこいつらに良いように使われるだけだ。 それを阻止するために戦っているんじゃないか。


 自分の中で、目的を履き違えるところだった。


「人は誰かを踏み台にしなければ生きていけない。 だが人で人を貶すのは容易ではない。 ならは人ならざるもので踏み台を作ればいい。 亜人というのは産まれた時のの突然変異と言われているが、それは決して人としては生きていけない劣等な種族だ。 そして亜人は人ではないので人との生活では住みにくい。 だから僕はそんな彼らの生き処を作っているに過ぎない。 それに亜人ならば法を害しなければ奴隷として扱うことは間違ってなどいないのだからな。」


 そんなおべっかともいえる羅列を並べられ、俺はどうしても怒りを隠せなかった。 それはあくまでも「亜人は人ではない」という考えがあるから、根底を否定するような言い方をしていたから、俺の怒りに触れたのだろう。


「あんたには、人を見る目は無いように見えるんだよ。 あんたは本質を見抜けていない。」

「亜人をそんなに真面目に見る人など居やしませんよ。 そもそもが劣等種扱いなのですから。 まあ、例外として、()()()()()()()で見る人も少なからずはいますがね。 そのような体つきの亜人もいるわけですし。 ですがその後は結局捨てられるのがオチらしいですよ? やはり亜人は亜人ですし。」



「・・・けんなよ。」

「はい?」


「亜人だなんだとさっきから聞いてりゃ、自分達は優れた人種? 亜人は劣等種? そうやって種族間で優越を付けるのは、他人を見ないことと一緒だ! ふざけるのも大概にしやがれ!」

「ふっ。 なにを言われようと、この戦いに私の勝利で決着がつく。 負け犬の遠吠えならこの場を去ってからやってください。 クールタイムに入り、僕はエンディングを迎えますよ。 さぁ、なにも出来ずに這いつくばりなさい。」


 こいつは亜人はおろか、目の前の俺にすら踏み台の1つとしてしか見ていない。 こんな奴に俺は負けたくない。 人を見下すのが正義の世界なんか、俺は認めない。 なにより亜人の人達を。 ゼルダのあの1回の会話で亜人だなんだと騒ぐ世間を見返したい。 そしてなにより、こんな奴の元に奴隷として、いやそれ以下の境遇になりそうな場所に連れていかれそうになっているゼルダを、救ってやりたいんだよ!


 そう思った瞬間、山札の一番上が光始める。 これはスキルの条件を満たした証。 このカードで全てを裏返せと言う神様の力。


「な、なんですか!? その光は!?」

「スキル・・・ですと!?」

「そうだ。 俺のオープニング、そしてこれが俺のスキル、「作られた引き(クリエイト・ドロー)」!」


 俺が引いたこのカードが全てを裏返す。 そのカードは・・・


「プラポレーションタイム! 俺はコストを5支払い、魔法カード「ドローイコールハンド」発動!」


『魔法カード:ドローイコールハンド レアリティ ミラージュ コスト5

 このカードを使用した状態の相手の手札と同じ数だけドローを行う。』


「僕の手札と同じ枚数だって!?」


 なるほど、これならSPハイヤーの攻撃力はぐんと下がる。 まさしく今欲しかったカードだ。


「お前の手札は5枚、俺の手札は0枚。 よって俺は5枚ドローを行う! これがスキルで貰ったカードの力だ! ドロー!」


 俺の引いた5枚の中に、お世話になったカードも、初めてみるカードもある。 見慣れたカードを使いたいところではあったが、効果を確認したところで、召喚するモンスターを決めた。


「俺はコストを11支払い、「エンジェルビー」を召喚する!」


『モンスターカード:エンジェルビー レアリティ 銅 コスト11

 種族 昆虫族

「召喚時」カードを1枚ドローする。

 相手モンスターを破壊した時、そのダメージの半分の数値分(半数切り捨て)、ライフコアを回復する。

 ATK 18 HP 15』


 現れたのは蜂のような針を尻尾に持つ女天使だった。 容姿としてはクラスのマドンナになれそうな感じだった。 手に持っている槍のようなもので攻撃を行うのだろう。


「エンジェルビーのカード効果により俺はカードをドロー! コンバットタイム! エンジェルビー! SPハイヤーを攻撃だ!」


 そう言うとエンジェルビーはこちらにウインクをした後に、持っていた2つの槍を投げた。 え!? 投げるの!? それはSPハイヤーに見事に当たり、SPハイヤーは消滅。 バクディッシュのライフコアにダメージが入る。 バクディッシュのライフコアは「39」。 これで巻き返すことが出来そうだ。


「エンジェルビーの効果。 相手モンスターを破壊したから、ダメージの半分、「6」のライフコアを回復する。 クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」


 これで俺のライフコアも「34」。 ここから挽回を見せてやる!


「僕のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 ふふふ。 君がスキルを見せると言うのなら僕も見せようではないか。 スキル発動!総入れ替えトータルリピースメント! これにより、手札、捨て場のカードを全て山札に戻してシャッフル! そして捨て場に戻した分を捨ててから、手札を戻した分ドローする!」


 余分なカードを捨てて欲しいカードを手に入れる算段か。 だがそれでも手札は6枚。 どう出てくるか。


「ふふふふふふふ。 来ましたよ。 また僕の手元にねぇ。 SPハイヤー! 再び現れなさい!」


 なんと幸運な奴だ。 あの厄介なカードが復活してしまった。 また削りあいか。


「私はコストを3支払い、コーラルリザードを召喚。 コストを4支払い、タップタートルを召喚。 コストを3支払い、マーメイドリーを召喚。」


 ここに来て低コストモンスターのラッシュ。 ステータスも乏しいモンスターが多い。 総入れ替えして数で圧しきる作戦に変わったのか?


「これで僕の手元は1枚。 君との枚数差は4枚。 これで僕の勝ちが決まるのだ。」


 あ、もしかしてこいつ誤解してるな? 正直言う義理は無いけれど、ここは畳み掛けとこ。


「なぁあんた。 SPハイヤーのステータス、しっかりみてるか?」

「ふっ。 なにを言うか。 僕にも見えているさ。 SPハイヤーの攻撃力が・・・上がっていない!?」


「SPハイヤーの効果が発動するのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。 だからあんたがいくら手札を減らそうがステータスは変わらないぜ? というかそう書いてある筈なんだけど?」

「では・・・僕がやったことって・・・」

「無駄に数を増やしただけだったみたいだな。 あんたがSPハイヤーのため()()に入れたであろうモンスター達は、あんたの期待には答えてくれなさそうだしな。」

「こ、これでは意味がないではないか・・・クールタイムに入り、僕はエンディングを迎える。」


 おっと、完全に戦意消失状態になったようだが、そんなことで情けをかける俺じゃない。 潰せる時は徹底的に潰すぞ。


「俺のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 俺はコストを21支払い、「深淵の沼」を発動。 相手の体力10以下のモンスターを全て破壊する!」


 そう言って現れた大きな沼にモンスターは沈んでいく。 ああなってしまってはもう助からないだろう。


「俺はコストを18支払い、怪盗ハンドスティールを召喚! そしてスティールの効果により相手の手札をランダムに選び、そのカードをコストを2倍にして使用することが出来る!」


 といっても相手の手札は1枚だからそれの確認くらいだろうかな。 ん、このカードは・・・ これなら終わらせられるな。 相手のライフコアは「35」。 このターンで終わらせる。


「コンバットタイム! エンジェルビー、スティール! 相手のライフコアを奪っていけ!」


 そう言って2人はバクディッシュのライフコアに攻撃を行う。 カードのモンスターなのは分かっているが、ああ並んで見てみると美男美女コンビなんだよなぁ。 羨ましくはない。 だけどカードのそれを垣間見てもズルいと思ってしまう。 そうしている内にバクディッシュのライフコアの数は残り1を残すのみとなった。 そしてこれがこの試合を終わらせる最後のカード。


「コストを6支払いインタラプトカード、「ダメ押しの一刺し」。」


『魔法カード(インタラプトカード):ダメ押しの一刺し レアリティ 水色 コスト3

 全てのモンスターの攻撃が終了した時、相手のライフコアが5以下の時、自分の手札から相手の手札を引いた差分のダメージを与える。』


 エフェクト的にだがそのカードを再度手札に持ち直し、バクディッシュのライフコアに投げ、そしてバクディッシュのライフコアが砕けた。 これでバクディッシュのライフは0になる。


「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。 これにて終幕だ。」

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