表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
25/262

妙な男達、失踪、オークション

「へぇ、それがアリフレアのデッキかい?」


 アリフレアも朝のパックの開封を行っている時に、丁度ゼルダも起きたようで、アリフレアのデッキを見ていた。


「やっぱりこのゲームには興味があるのか?」

「ボクも嗜む程度には前の国でやっていたからねぇ。 他人のデッキがどんなものなのか見てみたい気持ちは少なからずあるんだ。」


 ゼルダもそれなりにゲーマー気質のようだ。 やっぱりここは買ってあげるのが筋かもしれない。 ここで別れればいつ会えるかは分からないが、また縁があった時にでもと思う。


「そんじゃ、俺は朝飯を買ってくるついでに、ゼルダの手足を隠す手袋なんかを買ってくるぜ。」

「あれ? ここの宿のご飯は食べないのかい?」

「こういった場所なら外で買って来た方が安いんだよ。」


 そう言って俺は宿を後にし、昨日よりは喧騒の少なくなった賑やかなヨセマの朝を楽しみつつ、朝御飯用のパンとサラダ、ゆで卵なんかを購入した後、衣服店に入ろうとしたところで、この場には似つかわしくない、スーツのような服を着た男3人組を見つけた。 サングラスまでしてかなり怪しい雰囲気だった。


「おい、そっちはどうだ?」

「駄目だ、見当たらねぇ。 色んな物を取り上げたからそう遠くへは逃げれない筈だが・・・」

「落ち着け。 奴は良くも悪くも亜人なんだ。 目撃情報くらいあるはずだ。 表でいないなら路地裏かもな。 死んでなきゃいいが・・・ 行くぞ。」


 その会話をした後に男3人組は別々に去っていった。 妙なことを口走っていたな。 良くも悪くも亜人・・・か。 もしかしてあいつらが探しているのって、ゼルダの事なのか?


「お客様、いかがなされましたか?」


 入ろうとしたお店の前で立ち止まっていることに疑問を持った店員さんが話しかけてきたので、俺は大丈夫な事を伝えた後、手袋や靴下が欲しいと行って、買い物を済ませた。


「え? 亜人を探している黒い服を着た男達がいた?」


 宿に戻った後、アリフレアとゼルダに先程見かけた男達の話をする。


「一応亜人繋がりで共有しておきたかったんだが・・・なにか知ってるか? 同じ亜人として。」


 そう言うとゼルダは首もとに手を当てた。 服が邪魔で良く見えないが、チョーカーのようなものを付けていた。 そしてゼルダは


「いやぁ、どうかな? ボク以外にも亜人がこの街にいるんだったら、ボクも会ってみたいものだけどね。」


 そう話すゼルダの顔は、なんだか暗く、どこか寂しげだった。


「・・・ちょっと、お手洗いに行ってくるね。」

「ん、ああ。 構わないぜ。」


 部屋を後にしたゼルダ。 ドアが閉められた後、アリフレアが俺に近寄ってきた。


「ご主人様。 ゼルダさんは、なにか、秘密を持ってる、私たちに話せない、なにか。」

「分かるのか? アリフレア。」

「ご主人様に、会う前の、私も、同じような、雰囲気を出した、から。」


 雰囲気で分かるのか。 そうアリフレアを見ていると、部屋のドアが叩かれた。


「セージ様はこちらにいらっしゃいますか?」

「清司なら俺だけど・・・」

「お手紙を渡して欲しいと言われたので、お届けに参りました。」


 手紙? そう思いながら手紙を貰い、中身を確認してみる。


『こんな形で別れを告げるようでごめん。 だけど優しい君達を巻き込むような事はしたくなかった。 ボクは海を渡ってきたと言ったけれど、それは正式な手続きをして入ったんじゃない。 ボクは「奴隷の首輪」を付けられている。 セージが言っていた黒い服を着た男達はこれを求めて探しているんだ。 ここで君達がボクを匿ったと知られたら、君達は只では済まないだろう。 これはボクの問題だ。 君達に会えたことは本当に良かった。 亜人と知っていても普通に接してくれた君達をボクは忘れないよ。   ゼルダ』


 手紙の内容はこんな感じだった。 ゼルダは俺達に迷惑をかけないために、1人で出ていってしまったようだ。


「ゼルダ・・・」


 奴隷の首輪。 つまりゼルダは亜人の奴隷としてこの国に入ってきたようだ。 そう知って、俺達は果たしてどうすると思ったのだろうか? 亜人だから仕方ないと見捨てる? それとも亜人を嫌悪してしまう?


「ご主人様。 ゼルダさんを、助けに、行きたい、です。 」


 悪いが俺達には「見捨てる」だの「嫌悪」だのという概念はとうにない。 亜人だろうが関係ない。 困っているなら助ける。 それが俺がこの世界にした理由だ。


「アリフレア、まだ近くにいるかもしれない。 連れ戻すまでとはいわなくても、ちゃんと理由だけはその口で言って貰わないとな!」


 そういいながら俺とアリフレアは宿を出るのだった。


 俺達は聞いて回ってみたが、それらしい人物も怪しい動きをする人物も、中々目撃されていない。 黒スーツならば、このような場所なら浮いてしまう位に目立つ筈なのだが・・・


「くっ・・・この街もそこそこ広いからなぁ・・・まだ見切れていない場所があるかもしれないな。」


 焦燥感に刈られながらもとにかく聞き込みをしていく。 やはり情報が足りないかと思ったとき、


「黒い服の男? それならあっちの方に、行くのを見かけたよ。 他にも誰かいたような気がするんだ。」


 そう少年の証言を元に(少年にはお礼として10セートをあげた。)俺達はマーケット街から離れた場所まで来ていた。


「この辺りもヨセマのマーケット街だというのか・・・?」


 そこは正しく闇の場所のような場所で、先程までの街の明るさは無かった。 いや、ここもそれなりにはやっているのだが、表ほど賑わっている様子は無かった。


「アンちゃん、ここの地は初めてに見えるね。」


 辺りを見渡している俺達に、1人の老人が声をかけてくる。 腰は曲がり、歯抜けではあるが、見た目以上に元気そうではある。


「ここもヨセマのマーケット街じゃないのか?」

「ああ、そうさ。 ここでは表で売り切れなかった商品を更に安く提供しているのさ。 ここだって利用している人間は数多くいる。 たまにお宝も流れてくるしなぁ。 だが、最近は客層が少し厳つくなったように見えるねぇ。」


 その言葉に俺はもしやと思った。 俺はお金を少しちらつかせつつ、話を聞いてみる。


「おじいさん。 その情報がもしかしたら俺達に必要な情報かもしれない。 いくら払えばその情報をくれる?」

「はっはっはっはっはっ! アンちゃん面白いことをするねぇ。 そんなことをせんでも情報は教えるさ。 ま、なんか買って欲しい気持ちはあるがねぇ。」


 どうやら俺の気の張りすぎ、いやドラマの見すぎか。 しかし情報がどれだけ重要なものなのかは内容による。


「この街、ヨセマは今も昔も商業街だった。 しかしそれを裏に見る人間はどこの世界にもおるようでな。 この建物の一角を使い、「奴隷オークション」のようなものをやっておるようじゃ。 もちろんこのヨセマで要請なんか行っちゃあいない。 裏取引みたいなもんだ。」

「その中に、亜人の、人も、いたり、するのです、か?」

「嬢ちゃんも気になるのかい? 確かに聞いた話では亜人も扱ってるって言っていたな。 亜人はこの辺りでは珍しいからのぉ。 欲しがる人間は数多くおる。」


 オークションかぁ・・・これまた一筋縄ではいかない感じか。


「アンちゃん達、カードゲーマーかい? そのオークションじゃぁ、例外としてカードゲームでオークションの価値を決めることも出来るという噂もある。 アンちゃん達、行くならこの先の角の建物の下でオークションが行われておる。 そこに黒スーツも向かっておったわ。」

「! ありがとう、おじいさん!」


 そう言いながら俺とアリフレアはその建物に向かった。


 建物の中に入り、カウンターに誰もいないようなので奥に入り、下に続く階段を見つける。 奥から声が聞こえてくるので、おそらくここが例の会場で間違いなさそうだ。


「アリフレア。 ここから先はお前を入れるわけにはいかない。 その代わり、お願い事を頼まれてくれるね?」

「ご主人様の、命令ならば、なんでも、致します。」


 その純粋さが少し怖い部分も出てくるが、今は気にしないでおこう。


「アリフレア。 これから向かって欲しい場所がある。 その場所は・・・」


 アリフレアを見送り、俺はオークション会場に入る。 中に入ると、外の雰囲気とは大違いな大きな会場で、壇上のカーテンがかけられている。 会場の人間は見れば見るほどヨセマの雰囲気とは真逆な格好をしている。 全員スーツ姿で、一部にはSPのような人間もいる。 このオークション、普通の物はまず無いだろうというのは、雰囲気で分かった。


「それでは大変お待たせ致しました! オークションを開始させて頂きます! まずはこちらの商品から!」


 司会者と共に開けられたカーテンの向こうにあったのは商品・・・ではなく、檻の中に入れられた男性、しかも頭から垂れた犬耳があった。 どうやらここで行われているのは亜人を売るためのオークションのようだ。


「はい、ではまずはこの子から。 1セートから始めていきますよ。」

「10セート!」

「15セートだ!」


 かなり盛り上がりを見せているようだが、人身売買は明らかな重罪だ。 裏オークションと呼ばれるだけの事はあると思いつつ、俺はこのオークション会場に、不快感を覚える。


「では続きまして、雄牛の亜人・・・おおっと! まだこの檻を壊そうとする元気があるようです! さあさあこちらも5セートから!」

「30セート!」

「50セートだす!」

「ならば100セートだ!」


 日本円で1万円の価値・・・だって・・・? 人身売買がここまで酷いものだとは知らなかったとはいえ、人として、いや亜人としての価値はその程度だと言いたいのか・・・? 俺は服を右手で握りしめていた。 無意識の、いや、不快感からの怒りだ。


「さてさて、亜人はまだまだおりますよぉ。 続きましては・・・」


 そんな感じで進んでいく亜人オークション。 だが紹介されていく亜人達は、檻の中に入っているからなのか、反抗をしたのか、かなり体力が消耗しているように見えた。 何人も、何人も、色んな亜人を見ていて、たまに暴れているのを沈めているのを見ると、やっぱり心の底からどす黒い感情になってくる。


「さぁ、いよいよラストとなります亜人は、この世でとても珍しい特性を持っている亜人になります。 それでは、最後の亜人のご対面でーす!」


 そう言って最後に出てきたのは、手足は隠されているが、見慣れた亜人、ゼルダだった。 確かにトカゲの亜人だとは言っていたが、そこまで珍しいものだとは知らなかった。


「100セート!」

「150セートだ!」

「300セート!」


 珍しいからか値段は上がっていく。 さも当然のように。


「お待ちください。」


 そう言って舞台袖から現れたのは少し太った金髪の、いかにもお金を稼いでいます、と言った風貌の男性だった。 舞台袖から来たと言うことはアイツがこのオークションの主催者か。


「申し訳ありません。 お客様の競りに参加するのもあれなのですが、僕個人としてもこれは欲しいのでですね。 僕は彼女に3000セートを出そう。」


 そこで会場がざわめく。 どうやら3000セートはかなりお高い様子だ。 しかし俺はあれでも払える気がするが、それだけでは他の亜人達は連れ去られてしまうのがちと難点だ。


「声をあげるものはいないかな? それじゃあ・・・」

「5000セート。」


 だがまずは目の前の助けられる命を助けるのが先だ。 そう思い、俺は値段を吊り上げる。


「・・・あなた、ここの参加者ではありませんね? 飛び入りをするにしても、そんなお金を用意できるのか・・・そもそも参加資格の無いものに商品は売れませんよ?」

「じゃあどうすれば参加券をくれるんだ?」

「僕とカードバトルをしましょう。 僕は参加券を賭けます。」

「しゃあ俺はこの場所の記憶の抹消で手を打ってくれないか? 方法はあるんだろ?」

「よろしい。 では制約形式で行いましょう。 観客がいた方が盛り上がる。 中央に来なさい。」


 命令形か。 だが、少なくともゼルダをこちら側に引き込めるチャンスが掴める。 それに仮に負けたとしても、その前にアリフレアが自警団のような人達を連れてくるまでの時間稼ぎとしても使わせて貰おう。


「バクディッシュのバトルが見られるぞ! 今回は運が付いてるぜ!」


 観客の一人が興奮気味にそう話す。 だがそんなのはお構いなしにAIフィールドは展開された。


『オークションの参加券を賭けた、制約バトルを開始致します。』


「「さぁ、劇場の始まりだ!」」

次回からはお久しぶりのカードバトル。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ