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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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異世界の説明

朝に投稿をしたお話の続きとなります。

この回は今主人公が飛ばされた世界の説明とカードゲームのルール説明が主となっております。

読みにくい部分もあるとは思いますが、どうか付いてきて頂ければ作者冥利に尽きます。

 眩しい光から解放されて、目を開けると、先程までいた不安定な背景とは全く違う、青い空が白い雲を連れて流れていた。 寝転がっていると認識すると、俺はすぐに立ち上がり目の前の景色を再度見渡す。


 舗装されたレンガ造りの道路、辺りは青々とした草原が生い茂る。 見渡しても同じ草原で、異世界らしいと言えばらしい風景の真ん中に立っていた。


「うーん。 確かに異世界転生だと、いきなり街中に落とされるパターンもあるけれど、俺としてはこっちの方が最初から不思議な顔をされずに済むのは、異世界には馴染みやすくなるんだよね。」


 でもさすがになんの説明も無しに投げられてもなぁ。 近くの街まで歩かなきゃ行けないのかな? そんなことを考えていたらなにから音が聞こえてきた


「・・・? なんだろう? 音からして自動車じゃないよね?」


 自動車でもあんなに音が静かではないはず。 舗装された道路の向こう側を見てみると、なにやら茶色の動物が見えてくる。 こちらに近付いて来たのは馬。 そして後ろになにかを乗せて布をかけられた荷車を見かけた。 そしてそんなことを見ていたら向こうの騎手が俺に気が付いて、目の前で馬車を停めた。


「どうしました? 旅のお方。」


 そう言われて周りを改めて見てみると自分が寝転がってた隣に鞄が置いてあった。 どうやら手ぶらでこの世界に飛ばしたわけでは無さそうだ。


「あーっとすみません。 ちょっと疲れてしまって少し休んでいたんです。 この先に街や村などはありますか?」

「この先に最近作られた領地があるので、そこまで荷物を運んでいるのですが、良ければ一緒に行きますか? 乗る場所は荷車になってしまいますが。」

「本当ですか!? 助かります!」


 思わぬ渡舟に助けられ、まずはその街でこの世界についての説明を聞こうかな?


『その必要はありませんよ。 私が説明致しますので。』


 荷車に座って馬車が発車したのを見計らったかのように、脳内に直接語りかけてきた。 うわ、直接脳内に語りかけられるとなんか気持ち悪い!


「まずは自分の服装を改めて見てみてください。」


 そう言われ俺は服装を見てみる。 ブレザーにネクタイにカッターシャツ、そしてズボンにスニーカーと、どうやら本当に死ぬ前に着ていた服装なのは変わらないようだ。 ただその服に付けた覚えのないオプションが付いていた。


 まず目に付いたのはホルスター。 しかもカードゲーマーも御用達のデッキホルスターだった。


 そして首もとにはこれまた付けた記憶のない白をベースとしたスノーゴーグルが首からかけられていた。


「まず最初にデッキホルスターの中なのですが、今はなにも入っていません。 デッキ、及びカードはこれから説明致します。」

「それは構わないんですけど・・・このスノーゴーグルは一体?」

「これはバイザーの役割を果たしています。 せっかくですので装着してみてください。」


 そう言われスノーゴーグルを首もとから目元に持ってくる。 するとまるでデジタル世界に入ったかのように目の前に機械的な景色が見える。


「今見えてる世界は「AIカード構築領域」。 ここでカードの情報やパックの開封、デッキの構築を主に行っていきます。 もちろんそのデッキ構築もAIで行います。 そしてそのデッキは物量を持ち、デッキホルスターに入られます。 一応2つは離すことは可能ですが、どちらかを無くされても困るものなのでその辺りは後で防犯対策を付けることをオススメします。」


 一度スノーゴーグルを外し、デッキホルスターを確認した。


「カードの事はまた後にして、この世界における、カードゲームのルールを説明しておきます。 カードゲーム世界では「コア」と呼ばれる魔法石でコマを進めます。 コアには「ライフコア」と「補充コア」の2つで構築されています。」


 多分説明にはあの領域で行われていると感じ、スノーゴーグルを再度付けると、左にピンクの立方八面体、右に水色の正四面体が見えていた。


「左がライフコア、右が補充コアになります。 最初のターンで補充コアの数は10個、ターンを重ねる毎に2個ずつ補充されます。 ターン終了時には全て戻ってきますので、存分にお使いください。」

「コア消費型のカードルールか。」

「これらがカードの種類となります。」


 そう言って4種類程のカードが見えた。 黄色のカードがモンスターの絵が写し出されている。 あのカードが主体になりそうだ。 次の隣の青色のカードはなにやら朝日が昇っているような絵が写し出されていた。 どういう意味なのかは分からないが詳しくはまた見てみよう。


 赤色のカードは剣が交差している。 どうやらあれが「装備カード」の様な感じかな? 装備カードがあるということは戦闘力はあまり高くはなさそう、かな?そして最後に白のカードはお城の絵のあるカード、フィールド魔法だろうか? 全体に及ぼす魔法カードだろうかな。 じゃああの青色のカードは魔法カードかな? そしてその左上に書かれている数字がコストだろう・・・あれ?


「これ、コスト足りなくないです?」


 モンスターカードの所の数字が「18」と書かれていた。 これでは初手には出せない。


「そうですね。 ですがここがこのゲームの最大の特徴でもあります。」


 先ほどから見えているライフコアと補充コアが動き始める。


「コアはライフコアと補充コア、両方を使って召喚、魔法の使用、モンスターへの装着、広域魔法発動が出来ます。 つまり自分のライフを引き換えに、カードの使用をするというわけです。」

「ちょっと待ってください。 そんなことをしたら、ライフなんてすぐに無くなってしまいますよ?」

「このゲームにおいてのライフは「100」が最大上限になっていますので、最序盤でライフコアを使っても問題はありません。 ただしライフコアからのコスト使用は、コスト量に関わらず3回まで、またライフコアから使用したコストの半分は、エンディング時にライフコアに戻ります。 ただ注意して欲しいのは、あくまでも補充コアからの使用が優先となります。」


 そこで簡単には納得は出来ない。 つまりそれでは高コストなモンスターを積んで布陣を固めて仕舞われたら一貫の終わりな感じがする。 こういったコスト消費型カードゲームの場面が動くのは主に中盤戦、それまでに貯めていたコスト消費のアイテムをいかにして相手よりも多く、効率良く使うかがカギになる。 このゲーム、カードによっては壊れるぞ。


「ではゲームの流れについて説明しますね。」


 しかしそんなことを言っても対処はまず不可能だと感じて、俺は話を聞くことにした。


「まずは「オープニング」。 これはターンプレイヤーの開始を表します。 手番が回り始める時になります。 山札から1枚カードを手札に加えるドローもこのタイミングで行います。 初期手札は5枚。 上限手札は8枚です。 9枚目はエンディング時に1枚選んで破棄する形になります。」


 目の前で棒人間を使用したアニメーションが始まった。 分かりやすく伝えるためだろう。


「次に「プラポレーションタイム」。 これは召喚、魔法発動、装備装着、広域魔法発動全てが行える事を行える時間となります。」

「時間ということは、時間制限があるのですか?」

「そうですね。 このプラポレーションタイムは制約バトルの場合ですと、5分の制限時間があります。 過ぎてしまうと強制的に次のフェイズに移行します。」


 つまりそこまで迷うような処理の遅さではないということだ。 カードによっては処理が遅くなり、時間がかかってしまうパターンも存在する。 これもカードによりけりなので一概には言えない。


「次に「コンバットタイム」ここがゲーム内での戦闘シーンになります。 戦闘での処理ですがモンスターカードの右下にあります数字をご覧ください。」


 モンスターカードを目の前に持ってきて、右下を確認する。 そこには赤色の数字と紺色の数字が描かれていた。


「お察ししていると思いますが、赤色が「初期攻撃力」、紺色が「初期体力」になります。」

「攻撃力、体力共に変化するって言うのはカードゲームの鉄則。 「初期」ってわざわざ付けるってことは、変化に対する処理があるということで解釈してもいいんですかね?」

「流石ですね。 この表示された攻撃力と体力は変化「前」の絶対に動かない数字です。 ただし攻撃力は上下しますが、体力はこの数値よりも上には上げられません。 これが最大体力と思っていただければと思います。 もちろん回復カードもあるのでそのあたりも戦略の1つとして汲み取ってください。」


 物理的な殴りあいに加えて、モンスターをいかに残すか、攻略のカギにもなりそうだ。


「ライフコアが減る条件は補充コアの補填だけじゃない。 というか戦闘においてのライフコアの減少はどう処理されるわけ?」

「基本的には攻撃力が体力を上回った場合に、その差分がコアに直結します。 なので体力分以下の攻撃力を当てる場合は、体力が減るだけでお互いにモンスターの消費はありません。 ただし体力を減らしたモンスターに続けて攻撃を行って撃墜した場合は、ダメージは差分の半分しか削れませんので、注意して下さい。」


 なるほど、大量にライフを削られないための措置って訳か。 確かにただのぶつかり合いなら、体力を削るだけ削ってから倒した方が楽に決まっている。 それではただの脳筋プレイになりかねない。


「コンバットタイムが終われば「クールタイム」が発生します。 このフェイズにしか行えないカード処理をするための時間になるので、気にしておく程度で大丈夫ですよ。 そしてそれが終われば「エンディング」となり、消費したコアが全て戻ってきます。 それを確認したら、相手のターンになります。」


 つまり流れとしては


 ターン開始

 ↓

 準備時間

 ↓

 戦闘

 ↓

 休息時間

 ↓

 ターン終了


 といった感じか。 大体の事はプラポレーションタイムに全部行って、そこからコンバットになり、ターンが過ぎていく感じか。


「そして勝利条件は「相手のライフが0の状態でエンディングを迎える」もしくは「山札からドローするカードがなくなり、ドローが出来なくなった場合」となっています。」


 勝利条件を聞いて、早速穴を見つけてしまった。 こういった口ルールの場合での説明は、追及されないことも多い。 なのでカードプレイヤーはその穴を見つけて、ルールからすり抜けた事を行う場合もしばしばある。 勿論物理的なすり抜けは違法なのでダメだけど。


「ライフが0の場合と言いましたが、0以下になることはあるのですか?」

「0以下にはなりません。 オーバーキルも存在はしません。」

「もし自分のターン中にコストとしてライフコアを使い、自分のライフが0の状態でエンディングを迎える場合、ライフコアはいつのタイミングで戻ってきます?」

「クールタイムとエンディングの間には本来導入されていない隙間時間が存在します。 ライフコアが来るのはそのタイミングです。」

「それはこの世界の人は認知しているの?」

「公式には発表されていませんが、カードゲームの常識とはなっています。」


 まあそれに関してはエンディングを迎える前にライフ的には敗北していることになるから、きちんと返さないといけない案件な訳だったか。


「それともう1つ言っておかなければいけない事がありましたね。 先程言ったライフコアの補填なのですが、ライフコアが1/4、つまり25個以下となった場合、ライフコアからの補填が出来なくなります。」

「え? 補填出来なきゃ、高コストカードは出せないですよ?」

「なのでライフコアが25個以下となった場合はオープニング時に貰える補充コアが10個配布されます。 これで「終盤の盤面が著しく悪くなる」と言った事態は避けられるかと思われます。」


 しっかりとした処理がなされているなら問題はない。 ならばもう1つ。


「ドローが出来なくなった場合、それはドロータイミング以外でドローする時に山札が無くなってドロー出来なくなった場合も適応するんですか?」

「・・・随分といろんな事を聞いてくるのですね。 この世界でそんなことまで聞いてくるのはかなり上の人間だけですよ?」


 それって裏を返せばどれだけおかしな文面でも読み取れないって事じゃないの? この世界の人間は馬鹿だと思われても知らないよ?


「一応ドローと判定としてなる場合は適応、つまり敗北扱いになります。 ちなみに同時に引くカードが無くなった場合はターンプレイヤーの敗北となります。」

「じゃあ相手に無理矢理ドローさせる方法のカード効果でドロー出来なくなった場合でも敗北扱いになるのですね。」

「・・・ええ、その通りです。」


 よし、そこまで聞ければとりあえずは大丈夫だろう。


「ふぅ、説明しているこちらの方が疲れてしまいましたよ。」

「すいません。 ゲーマー気質なもので。」

「納得して貰えたならそれでいいです。 ではようやくお待ちかねのパック開封といきましょうか。」


 自分であの状況を作り出しておいてなんだったのだけれど、ようやくチュートリアルが終わった感じがするな。


「そのままサンバイザーはお付けください。 これからパックを表示致します。」


 そう言われサンバイザーの画面の奥からパックの形をした四角い掲示板のようなものが現れた。


「では引いてみてください!」


 そう言われたが、よくよく考えてみたら物理的に触ることが出来ないのにどうやって・・・そう思い、ふと自分の腰にかかっているデッキホルスターに触れた。 するとパックが触ってもいないのにひとりでに開封し始めた。 そして異世界でのカードの初御披露目となった。

作者個人としては長めに説明をしたつもりですがどうなのでしょうか?

次回はカードについての話になります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても丁寧に説明されていますねー(*'ω'*) ただ、私自身がカードゲームをしたことがないので、ちゃんと理解できているかちょっと不安です(;´∀`)
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