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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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アリフレア、初めてのカード

 俺は目を覚ます。 そしてそのままスノーゴーグルを装着し、今日配布されるパックの開封へと入る。 これを少しでもルーティングしておかなければ、身体がおかしくなってしまうからだ。 そんな感じで俺は配られたパックを開ける。

 俺は例外としてある程度の期間までは毎日配られる1パックと共に、神様からの配慮で5パック貰える。 なのでまずは1パック目を開ける。


『魔法カード:誇りの一撃 レアリティ 紫 コスト 5

「種族:衛兵」が攻撃を行う場合、コストを5支払う事でライフコアにダメージが入らない代わりに、モンスターを破壊する。』


『領域カード:バレットスクランブル レアリティ 紫 コスト7

「コンバットタイム終了時」フィールドに存在するモンスター全てに3のダメージを与える。』


『魔法カード(インタレプト):ツギハギの折り畳み盾 レアリティ 銅 コスト 7

「相手の攻撃時」1ターンに1度、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効化する。 更にコストを3支払う事で手札に戻す事が出来る。 但しこのカードを手札に戻した場合、このターン使用できない。』


『モンスター:バトルタンク レアリティ 水色 コスト3

 種族:機械族

「コンバット時」このカードはもう一度攻撃を行う事が出来る。 但しこの効果を使用した次のコンバットタイム時、このカードは攻撃することが出来ない。

 ATK 4 HP 6』


『モンスター:ライフギーバー レアリティ 紫 コスト 5

 種族:不定形族

 このカードを相手に見せた後捨て場に捨てることで、自分フィールドのモンスター1体のHPをこのモンスターのHP分上乗せする。

 ATK 2 HP 8』


 最初のパックはこんな感じだった。 今回俺が目につけたのは当然干渉カードである「ツギハギの折り畳み盾」だ。 使った上で更に手札に戻せると言う効果はリターンが効くので手札に持っていればかなり役に立つ。 だけどインタレプトカードを使う時のコストはライフコアからなので、あまり多用は出来ないのもまた難点である。 まあ効果が強い分、代償はでかいと言うわけだ。 使い所は見極める必要はあるけれど、これで相手の理不尽攻撃にも対応策が出来るようになったわけだ。


 このままパックを開け続け、ある程度はテキストを読み解いてから、カードをデッキに入れるかどうかを考えながら見ていたけれど、今回は入れ替えることは無かった。


「んん・・・」


 隣でスヤスヤと眠っていたアリフレアもどうやら起きたようだ。 まだ日が昇っていないので、もう少し寝てても構わなかったのだが、そこはアリフレアの体内時計を信じてあげよう。


「アリフレア。 自分のデッキを確認したりはしないのか?」


 朝御飯としてたまたまそこになっていた「ループルの実」というリンゴに近い果物を食べながら、アリフレアに質問をすると、アリフレアは首を傾げた。


「アリフレアもバイザーとデッキケースが戻ってきたから今朝のパックの開封やデッキの調整なんかが出来るようになっている筈だ。」


 そう言ったのだがアリフレアはと言うと


「・・・デッキ? パック・・・?」


 と、まるで言っている意味が分かっていないようにおうむ返しをするだけだった。


「・・・アリフレア。 もしかしてデッキ、というかバイザーを付けたことが無いのか?」


 そう質問するとアリフレアは怯えたように「コクリ」と首を縦に振るのだった。 おかしい。 この世界の人間なら、ある程度の年齢に達した時に、パックの開封やデッキの調整なんかが出来ると神様達は言っていた。 それで見たことも触ったこともないとすると・・・


「アリフレア。 前に自分の持っていたカードってどうしていたか覚えているか?」

「それは・・・前のご主人様が、持っておられ、ました。 今の、ご主人様の、様に、その、メガネのようなものを、使って。」


 ふーむ。 つまりカードやデッキの所有者はアリフレアのままで、管理はあいつらがやっていたってことか。 まあそれなら話は簡単だ。


「アリフレア。 昨日買ったバイザーを付けてみるんだ。」

「ご主人様?」

「最初は驚くかもしれないけれど、すぐに慣れるから。 俺が保証する。」


 そうアリフレアに言って、アリフレアは恐る恐る自分用のバイザーを目に付ける。


「ふ、ふわっ!」


 どうやら無事に入れたようだ。 これでアリフレアもこの世界に入門出来た。 とは言え流石になにも分からないままのアリフレアをそのままにするわけにもいかないので、俺もスノーゴーグルを装着し、AI空間に入る。


「アリフレア。 聞こえているかい?」

「は、はい。 聞こえて、います。 あの、これは?」

「大丈夫だ。 目の前には何が見える?」

「ええっと、なにか袋のようなものが浮いています。」


 袋・・・パックの事か。


「ならその袋を開けてみるんだ。」

「む、虫とか、入ってない、ですよね?」


 前に同じようなことをされたのか? だが、開けて貰わなければカードの確認も出来ないことだろう。


「そんなものは入ってないから安心しろ。 開けてみないことには分からないから。」

「は、はい・・・ あ、か、カードが出てきました。 ええっと・・・」


 慌てふためきながらアリフレアはカードを確認していくのだが・・・


「・・・ご主人様、あの、私に、文字の読み方を、教えて、下さい。」


 その質問を微笑ましく思えた。 というよりもなんとなくそんな気はしていたのだ。 アリフレアはまともに読み書きを教えて貰えず、ただ奴隷のように扱われていただけなので、喋れるようになったのも、俺がこうして普通に接するようになったからであり、多分前まではそうやって喋ることも許されていなかったのではないかと思えるくらいだ。 なので、ある意味新鮮な気持ちでもあったりする。 人に教えをするというのは。


「よし、まずは読み方を教えよう。 まずは・・・」


 どうせ急くような事ではない。 歩を確実に進めれば領地にはたどり着く。 だからこうしてアリフレアと会話をすることを優先することにした。 読み書きが出来ないようではこの先大変になるだろうからな。 覚えさせられるうちに覚えさせておいた方がいいだろう。


 ただ正直読み書きを教えることは出来ても言葉の意味までは覚えさせることは難しい。 例えば「破壊時」という言葉の説明の時などには、カードゲームにおける意味合いと、現実世界での意味合いが異なるため、簡潔には教えられないのだ。 なのでそう言った意味では俺も言葉のおさらいになるし、再認識が出来るので、これからアリフレアと共に自分も学び直せれればと勝手に思ったりはしていた。


 で、一通り読み方や言葉の意味を教えた辺りで、アリフレアはかなりのカードを所持していることに気がついた。 パックの開封はアリフレア自身でやるのは今回が初めてだと聞いていたが・・・ ああ、あいつらがカード交換のために毎日1パックずつ開封していたからカード事態は増えるのか。 しかもあいつが負けた上にペナルティで交換していたアリフレアのカード達は全部アリフレアの所持カードとなっているから実質全部アリフレア()()のカードになるのか。 そりゃ自分の特徴を含めたカードと他人の特徴を含めたカードを混合させたら勝てるものも勝てないって訳だ。 馬鹿やったな。 あいつ。


「アリフレア。 今度は自分でデッキを作ってみようか。」

「ふぇ!? わ、私1人で、ですか?」

「手伝ってあげてもいいけれど、まずはアリフレアが思うように、デッキを作っていいんだ。 誰も怒ったりしないから、自由に、アリフレアの思う存分考えてデッキを作るんだ。 最初から完璧に作ろうなんて思わなくていいからな。」


 そう言って俺はスノーゴーグルを外し、アリフレアを1人にしてあげる。 これには訳があって、俺が見ていると、恐らくアリフレアは俺にアドバイスを求めてくるだろうと思ったこと、そしてそんなアドバイスをするわけでもない人間が勝手に他人のデッキを覗くのは反則だろうという、俺なりの気遣いがある。


 またアリフレアには、自分でなにかを完成まで持っていって欲しいという俺の個人的な願いがある。 これから一緒に旅をして行く上で、アリフレアも立派なカードゲーマーになって貰おうと思っているからだ。 アリフレアの才能をどこかで引き出せればいいなと、軽い考え程度だが。


 そして朝日の全体が見えるようになった辺り、アリフレアが装着してから大体20分くらいのところで


「ご、ご主人様? ええっと、出来上がり、ました。」


 そう報告してくるアリフレア。 実際には目だけはまだAI空間にはあるのだけれど、声は届くようで、そのまま会話を続ける。


「それじゃあそれを使って、俺と対決しようか。」

「ええ!? ご、ご主人様と!?」

「なに、制約によるカードバトルじゃないから、気楽にやればいいさ。」


 そう言いながら俺はデッキホルスターから自分のデッキを取り出す。 デッキと言っても実際に質量があるわけではなく、電子的に()()()()()という認識の中で、カードを触れていたり、カードの内容が読めたりするだけだ。


 それに電子的に処理しているため、フィールドやコアの表示も電子的だ。 これならいつでもどこでもやれて、かなり便利そうだ。


「戦い方は・・・俺の戦いを見て、大体は分かっているね?」

「は、はい。」

「よし、それじゃあアリフレアのデッキがどんな風になったのか、見せて貰おうかな? 掛け声を言うぞ、アリフレア。 せーの」


「「さあ、劇場の幕開けだ。」」

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