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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第一の章 今の世界を知る
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森の中をひた歩く

「ご主人様。 ここからどのくらい歩かれるのですか?」

「そうだなぁ。 まずは森に入ってすぐ右側にいって、川を見つけよう。 川なら見通しがいいし、この辺りで道と川が交差している。 つまりこのまま川沿いに行けば、ヨセマの領地には入れるというわけだ。 見通しの良し悪しは、盗賊達も把握している可能性はあるからね。」


 まず最初に自分達が確保しなければいけないのは水だ。 そう考え俺は川を目指すことにした。


 森事態は鬱蒼としておらず、差し込む光が心地いい位だ。 だがほとんど単身のような状態には避けておきたいし、アリフレアとのペースもある。 早く行くことに越したことはないのだが、特に急ぐ理由も浮かんでこないので、余程の事がない限りはこの景色を堪能しながらピクニックの気分で歩いていこう。 アリフレアの心の療養も兼ねているし。


 森の中は少し歩いた舗装されているような道とは違い、やはり雑草が生い茂っている。 当たり前と言えば当たり前なのだが、暗くなってしまえば歩くのは困難になるかもしれない。 そうなる前になんとか川沿いまでは歩いていきたいところだ。


「ご主人様。 あれ。」


 アリフレアがなにかを見つけたようで、木の上を見る。 すると、なにか赤い実がなっていた。


「あの実がどうかしたのか?」

「もしかして、これなのかなと、思って。」


 そう言っていつの間にか持っていた動植物図鑑のページを見せてくれた。


『ゴチアの実 ヘタと実を覆っている種が特徴。 甘さと酸味の両方がある。 砂糖煮等によく使われる。』


 ふむふむ。 食用の実か。 確かに今後の冒険にはこういった自然栽培になっているものを食べたりする事が多くなる。 生態バランスを崩さなければ問題はないか。 ただ木自体は高いので、このままでは取れない。 石などを投擲して落とすのもいいが、それでは実が潰れてしまう可能性がある。


「よし、アリフレア。 俺が肩車をするから、あの実を2、3個ほど取ってきてくれ。」

「え!? そ、そんな! ご主人様が私の土台になることなんて・・・わ、私が土台になりますから、ご主人様が・・・」


 素直には従ってはくれないか。 奴隷だった頃の感覚がまだ抜けていないようで、どうも自分が下になることが普通だと思っているようだ。 仕方ない。 強行手段は取りたくないけれど、しばらくはこっちからやってあげるしかないか。


「いいからいいから、ほいっと。」

「ひゃっ!」


 そう言いながら俺はアリフレアを一度抱え上げた後、肩に乗せる。 アリフレアを持って改めて分かったが、やはり軽すぎる気がするのだ。 昨日はあれだけ食べていたと考えると、まともに食わせてなかったことが垣間見得る。 今後はそう言うことが無いように、こちらも注意しよう。


「どうだアリフレア。 届くか?」

「は、はい・・・届き・・・ます・・・ご主人様・・・」


 アリフレアも実を2、3個ほど取ると俺の手元に落としてきた。 それを確認して、俺はアリフレアの足が届く距離まで屈み、肩車から解放する。


「さてさて、これがどんなものか食べてみようか。」

「は、はい。 ご主人様!」


 そこまで大声で返事するってアリフレア、今一瞬だけ意識が別のところに行ってなかったか? そんなことはあまり気にせずに先ほど取ったゴチアの実の試食に入る。


 一気にかじりついて、最初に来たのは酸味、そして後から追いかけてくるように、甘味が押し寄せてくる。 そして俺はこれを食べて、分かったことがある。


「これイチゴだな。」


 そう、味がイチゴそのものなのだ。 だが味覚が同じならそれはそれでありがたいことだ。 アリフレアもお気に召したようで、とりあえず1個は念のために残しておくことにして、再度川沿いに向かって森を歩くことにした。


「むっ。 見えてきた。」


 どうやら川が現れたようだ。 だけどそのままは行けない。 何故なら川がこちら側の崖で流れているからだ。


「これでは、降りることは、出来ないですね。 ご主人様。」

「別に見つけるのが目的だったし、そこに関してはあんまり気にしていないけれど、さすがに防水加工はしてない可能性があるんだよなぁ。 これ。」


 スノーゴーグルはともかく、デッキケースまで失くすのはさすがに惜しい。 それに道的にはまだ森を歩くので、川があるという事実だけで十分だったりする。


「日が沈み始めてる。 行けるところまで行こうか。」

「はい。 ご主人様。」


 そう言いながら川を右手にして、木々の間を歩いていった。


 そして日が沈み、ランタンをつけて、もう少し進もうかと考えたが、予想以上に森の中が暗くなり、川沿いということもあってランタンの炎がより一層明るくなってしまったので、夜の進行はほんの少しにすることにした。


「と言ってもやっぱり距離はあるからなぁ。 出来るだけランタンの炎を弱くすれば、ギリギリ行けるかな?」


 後少し、後少しと歩みを進めていたが、本当に森が影をだし始めたので、この辺りで野宿をすることにした。


 飲み水やら食べ物やらはとりあえずはなんとかなっているので、後は寝る場所だけだ。 テントは買ってはいないけれど、その代わりに買ったカメレオンシーツが俺達を隠してくれるだろう。


「アリフレア、川で水を汲んできてくれないかい?」

「はい。 どのくらい入れて来ますか?」

「その鍋の半分位で十分だ。 こっちはこっちで拵えておくから、慌てずに持ってくるんだよ。」


 暗い中で川に行かせるのも危険かと思ったが、少し位ならと考えて、俺は干し肉を切り始めた。


「さぁ、アリフレア。 昨日のような料理じゃないけど、食べようか。」

「はい。 ご主人様。 ありがたく貰います。」


 アリフレアは注がれたカップのスープを受け取った。 昨日の今日の事なので、抵抗があるかと思ったのだが、すんなりと受け取ったので、本当に良かったのかと聞いてみる。


「前の、ご主人様の時は、これでも豪華な方でした。 私は、基本的には残り物でしたし、量もここまでは、ありません・・・ご主人様?」


 アリフレアの言葉に本気で涙が出そうになった。 そりゃあそこまでガリガリになるよと思ったのと、そこまで我慢していたんだなって考えたら、涙腺がちょっと壊れた。


「アリフレア。 これからは遠慮せずに色々と言っていいからな。 出来る事はやってあげるからな。」


 そう言いながらアリフレアの頭を撫でてやる。 そこまで言われてこれ以上悲しい思いをさせてやるものかと改めて誓った。


 簡易的な食事をとって、今後の進み具合を話し合うことにした。


「今が恐らくこの辺りだろ? 陽の沈み方からして結構長くは歩ける筈だ。 このまま問題がなければ後2日位で次の領地の中心部には行けそうだ。」

「ご主人様。 また川沿いを、歩くのですか?」

「いや、地図を見る限りだと、ここに橋がある。 そして川は俺達が行くヨセマとは逆側に流れ始めているから、この橋を渡ったら少し舗装された道を中心に進むさ。 今よりは歩きやすくなる筈だ。」


 勿論これはあくまでも「なにもなければ」だ。 ここでなにかがあれば予定がずれ込むことになる。 まあ特に急ぎの用事などはないので、到着時期がずれ込もうがあまり関係はないのだが。


「森の中を、歩くことは、もういいの、ですか?」

「森の中は怖かったか?」

「まだ、森の中で、食べれる葉っぱを、見つけてない、ので。」


 あぁ、そう言うことか。 確かにさっきのスープだけだと栄養バランス悪いもんな。 それに食料が急に無くならないとも限らないからな。 食べれるものはとにかく探さないとな。


「うん。 それなら森の中の散策も少ししながら進むとしようか。」

「はい!」


 アリフレア自身が直接こうして申し上げてきたのだ。 それを拒否する必要は全く無い。 先にアリフレアが寝た後に俺はスノーゴーグルをつけて、デッキ、及びカードの再確認をした後に俺もカメレオンシーツの中で眠るアリフレアと共に、身を隠して眠りについた。

最初から便利アイテム「馬車」は使用しません。 旅の思い出は足で稼いでいくのです。


とはいっても今回は距離が距離だからという理由ですが。

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