純粋な力のみが成立させる真実の世界
サブタイトルは、分かる人には分かるタイトルになってます。
俺の作られた引きが導き出した答え。 そのカードは・・・
「プラポレーションタイム! 俺は、コストを45支払う!」
「45だと!? そんな高コスト聞いたことがないぞ!?」
それもそうだ。 これは俺に与えられた特別なカード。 使えば二度目があるか分からないカードなんだ。 そんなものが世間一般的な世の中に出回ってて堪るか。
俺のライフコアは「26」、補充コアは20個ある。 それを全て支払って出すモンスター。 それがこの戦いに終止符を打ってくれる。
「全ての力を集めし力の源、その純粋たる力を持って、自分の意義を定義せよ! 来い! 純粋竜!」
『モンスター:純粋竜 レアリティ ミラージュ コスト 45
種族 竜族
ATK 50 HP 100』
咆哮と共に現れたのは、ダイヤモンドの何倍もの光沢を持ち、水の何倍もの透明度を持った、まるで宝石のような光を放つ竜だった。 その存在感は凄まじく、このファイアーコロシアムの中にいることを忘れるくらいに美しく輝いていた。
「攻撃力50、体力100のモンスター・・・今までに、いや、世界のどこを探してもまず見つけることなど不可能なモンスターカード・・・」
ベルジアもその圧倒的な存在感に、ただ驚愕するしか無かった。 もうここまでだしたのだ。 全てを出して、全てをぶつける。 それだけだ。 俺は「カッ」と目を見開き宣言する。
「コンバットタイム! 俺はスティールで、ジャイアントドラゴンを攻撃! 体力は上がっても、スティールの攻撃力なら潰せれる!」
スティールはジャイアントドラゴンの周りを右往左往し、ジャイアントドラゴンの前で動きを止める。 そしてジャイアントドラゴンが噛みつこうとしたところで、スティールは細いピアノ線を手前に引っ張る。 するとジャイアントドラゴンに見えていなかった糸のようなものが、絡み付き、肉を食い込んで、そのまま縛り上げられ身体がバラバラになった。
「くっ!」
その肉片にベルジアは当たり、ライフコアが減る。 だがそれは些細なダメージ。 壁となるモンスターがいなくなったベルジアは「インタラプトカード」が無い限り、この純粋竜の攻撃を防ぐ術はない。
「お前に見せてやる。 これが本当の、このモンスターを出すために紡いできた魂の一撃を。 純粋竜よ! この戦いの全てを焼き付くせ! アンミックスストレートレーザー!!」
その技名と共に純粋竜は口の中にエネルギーを貯めて、そしてレーザーの如く吐き出した。 ベルジアに動きはない。 どうやら対抗手段は手元には無いようだ。
「これが・・・全てを与えられし者の力・・・」
ベルジアはそう一言呟いて、アンミックスストレートレーザーの攻撃の中に溶けていった。 ライフコアが「0」になったことを確認してから
「俺はクールタイムに入り、エンディングを迎える。」
完全な決着の言葉を付け加え、この戦いを終わらせた。
『この制約の勝者は セイジ ノナミとなりセイジに対し、ベルジア、及びその家族は、援助資金の提供を約束されました。』
その言葉と共にAIフィールドが消えていく。 スノーゴーグルを外して、目元に新鮮な空気を入れる。
「ご主人様。」
ずっとみていたアリフレアが、間髪入れずに!俺の脇腹に飛び込んでくる。 もちろんそこまで勢いよくではなかったので、そのままアリフレアの頭を撫でてやる。
「・・・」
ベルジアはと言うと、先程やられてから天を見ているだけだった。 終わっているにも関わらず、サンバイザーも付けたままに。
「・・・制約は制約だ。 お前達には援助の手続きをせねばならんな。 この領地内ならちょっとした土地なら貸してやれる。 さぁ望むものを申せ。」
「いや、土地とかはいらない。 その代わり次の領地に行くまでに必要な最低限の資金を渡してくれ。 俺達はそれを貰い次第準備して、ここを旅立つ。」
「なに!? それでは制約に・・・」
「背いてはいないぞ? 俺はあくまでも「援助資金の提示」をしてほしかっただけだ。 強いて言うならば今の俺に固定財産は必要ない。」
「馬鹿な!? それだけのために私と勝負をしたと言うのか!? 一文無しでその娘を保護するような形になるかもしれない条件で!」
「負けたら負けたで別の手を考えるだけだ。 そもそもこの領地を出ることは少なからず考えてはいたしな。 俺達はこの領地の宿にいる。 準備が出来たら持ってきてくれ。」
そう言って俺はアリフレアを連れて大広間のドアの方に向かう。
「待て! それでは我々の・・・領主としての立場が無くなるではないか!」
「確かにこれじゃああんたらの地位は無くなるだろうな。 放浪者に情けをかけられた挙げ句に条件が安いんだからな。 だけどな・・・」
困惑を極めるベルジアに向かって、俺は振り返りながら言う。
「慈悲を与えられないならば、これくらいはしてもらわなければ、こっちだって困るんだ。 この領地の人達の事を改めて考えてから、次に進んだって遅くはないだろ? 俺はその踏み台にしてくれたって構わない。」
そう言い残して、部屋を後にした。
「ご主人様。 本当に良かったのですか?」
城を出た後にアリフレアがそう聞いてくる。 恐らくはもっと要求しても構わなかったと言いたいのだろう。 実際に俺は勝ち、権利を得たのだから、欲しいものをいくらでも出させることは出来ただろう。 だがそうしなかったのには理由がある。
「あそこで貰ったところでたかがしれているし、俺はこの領地で留まらないで、他の領地の現状を見ておきたい。 それにあえて必要最低限の援助で良かったんだよ。 元々からね。」
その答えにアリフレアは「?」を頭で浮かべているような表情をしている。 なのでこう聞くことにした。
「アリフレア、俺は色んな場所に行くつもりだ。 だけど険しい道のりになる。 だからアリフレアだけでも生活できるようにああ言ったんだ。 これで・・・」
その先を言いかけた時、アリフレアは俺の身体に抱きつく。 小さな身体から力強い抱擁をくらっている。
「私は、ご主人様と、離れたくない。 お金があっても、誰からも、優しくされない生活は、もう嫌なのです。 どんなに険しくても、ご主人様の傍に、いさせてください。 私を、もう、1人に、しないで・・・」
そう表情は見えないながらも涙で訴えているのが聞こえてきた。 ちょっと意地悪すぎたかな。 俺はゆっくりとアリフレアの髪を撫でてやる。
「すまなかったなアリフレア。 お前の気持ちは受け取った。 一緒に行くか。 ここ以外の世界へ。」
「・・・! はいっ!」
お互いに顔を見合わせた後、アリフレアはもう一度抱き付いてくる。 俺も今のこの領地にアリフレアを置いておったところで、気がかりになってしまうし、何より彼女を自由にさせているが、所有権扱いになっているので、放っておくわけにもいかない。 奴隷少女というわけではない筈なのだが。
「全く、昼間っから見せつけてくれちゃって。」
声が聞こえたので振り返ると、床屋の店員さんが何かの買い出しの後のように袋を持って、俺達の方を見ていた。
「あぁ、すみません。 お見苦しいところを。」
「いいじゃないか。 その子、随分とあんたに懐いてるようだし。 大事にしなよ? 女は鮮度が命だからね。 勝手に腐らせるのはもったいないだろ?」
「貴女が言っても、説得力が微塵も感じられませんよ?」
軽い冗談話を終えた後、俺達は宿に戻り、旅に必要なもののリストを作成することにした。
「ええっと、まずは食糧に地図、武器になるようなものと護身用が最低でも必要か。」
「移動なら、馬車は、必要かと、思うのですが。」
「距離と場所によりけりだな。 俺達は依頼を受けに行く訳じゃないから、戻ってくる必要はあんまり無い。 あえて言うなら、馬を操れん。」
アリフレアの言いたいことも最もだったが、別に急ぐ旅でもないので、馬車を乗る必要は今のところはない。 そう思いながら、アリフレアの方をチラリと見て、俺との決定的違いに気が付く。
「そうだな、アリフレア用のサンバイザーとデッキケースも買ってあげないとな。」
「そ、そんな事を、してもらわなくても、私は・・・」
「まあいいじゃないか。 やり方が分からなければ俺が教えるし、それにこのゲームはちゃんと普通に遊べるようにもなってるしな。」
ベルジアのいる城に行く時やその帰りで通りのカフェのテラスで老若男女問わず、このカードゲームを楽しんでいたことから、制約上でのみ戦うだけの代物では無いと分かった。 というかそればっかりだと13歳から出来ても制約ばかりに縛られる。 それではカードゲームとしては楽しさを無くしてしまう。
後はどこで買うかを悩んでいると、不意に宿のドアからノックの音が聞こえる。
「お客様、お届け物を届けにきたと申すものがこちらに来ています。 開けて貰ってもよろしいでしょうか?」
届け物・・・ベルジアからのか。 そう思いながら俺はドアを開けた。
というわけで、彼は領地から離れ、冒険に出ることになりました。
カードゲームの話だと大体は留まる気がしますが、世界を見た方がやりやすいかなと思ったのが実際に響いてる気がします。




