新しい世界への旅立ちの為に
はいどうも!
初めましての方は初めまして。
投稿作品を見てくださった皆さんはこんにちは
風祭 風利と申すものです。
今回から新作の投稿を開始致します。
コンセプトは「カードゲームで世界制覇」というかなり勢いのあるコンセプトにしてはみたものの、これはあくまでも目標として定めたコンセプトで、投稿期間によっては・・・
とまあ新しい小説を書くのに細かい理由なんて必要ないんですけどね。
いつものごとく見切り発車で始まったこの小説ですが、出来る限り手は抜かないよう頑張っていきます。
長話もあれですので、今回もプロローグからお楽しみ下さい。 それではどうぞ!
「・・・・・・あれ? どうなったんだろう?」
自分の目が瞑られていた事とそんな瞑られていた視界に光が入ってきていたので、恐る恐る目を開ける。 目を開けて見えた世界は真っ白な部屋のような場所。 ただ真っ白という訳ではなく、所々に扉のようなものが見える。 ただ普通の部屋でないことは間違いではなかった。
「・・・やっぱり、死んじゃったんだよね。」
俺はここに来る前の景色を覚えている。 だけど思い出したのは直前の光景じゃなく、家族や学校連中の思い出。 つまりそれが見えたということはあれは走馬灯だったと今になって分かった。
「お目覚めになったようですね。」
声がしたのでそちらを向くと、金髪でロングヘアの、優しく微笑んでいる女性がいた。 その後ろには白髪に長い白髭、猫背の老人がこちらを見ていた。 そして格好がローブのような白装束をどちらも着ていた。
「・・・ああ、貴女達が神様と呼ばれる方々ですか? すみません、俺、神の崇拝とかしていないので、実感が無いんですよ。」
「ホッホッホッホッ。 目の前に神様が現れるなんていう非常識な事が起きていても落ち着いているのぉ。 あるいはこれも夢だと思って現実逃避をしているのかの?」
老人の神様は俺の物腰になにか面白そうなものを見つけたかのように笑いかけてくる。 あぁ、完全に神様だなって分かっちゃった。
「貴方は前世で不慮の事故によりその命を落としてしまいました。 しかし魂だけは今ここにあり、これから貴方を今でとは違う世界で新たな人生を始める儀式を始めようと思っています。」
おお、話を聞く限りだと、これは現代人、特に若者なら誰もが夢みる「異世界転生」というやつではないか。 だけど俺は聞きたいことがあった。
「あの・・・異世界転生するのはいいんですけど・・・その・・・俺って、一体なんで死んでしまったんですかね? いや、死んだって分かるだけでもスゴいことなんじゃないかとは思うんですけど、やっぱり前世の事が気になって・・・」
そう質問をすると、神様達はかなり渋い顔をしていた。 多分よっぽど死に方を教えたくないのかもしれない。 だが老人神様が女神様に一つ頷き返すと、改めて俺に向き直った。
「貴方はゲームセンターで遊び終わった帰り道、遮断機の降りた踏切で待っていたところに、若い男女の、しかも運転手の方は薬物を投与した状態で運転していて、その暴走車の横部分にぶつかり撥ね飛ばされました。 それだけならまだ命はあったのですが、その後に来た電車に・・・」
そこで言葉を詰まらせる女神様。 聞いた俺も、確かにそんな死に方は嫌だったなと気分が悪くなった。
「だからそんな君には、新たな世界に行く時は幸せになって貰いたいのじゃよ。 そのためにこうしてわしたちが君の魂を一度ここに呼び寄せたのじゃ。」
その配慮と気遣いに、感謝しか浮かんでこなかった。
「それでお主の望む世界に行くようにするためにいくつか質問をさせてもらうぞい。 なにそんなに考えずとも正直に答えれば良い。」
正直に・・・か。 俺受け答えとかってあんまり得意じゃない方なんだよね。 それなりに簡単な質問だといいんだけど。
「では最初の質問じゃ。 お主は武術の心得はあったかの?」
「武術・・・剣道とか柔道とかですか?」
「その他にもボクシングやサバット・・・簡単に言えば格闘技は持っておったか?」
「いえ、基本的に喧嘩はしてこなかったので。」
俺はこう見えても平和主義者、もとい争い事だけは避けてきた。 後が面倒だからね。
「ふむ、では次じゃ。 魔法には興味があるかの?」
「興味はありますが、自分には向いてない気がするんですよ。 なんていうかこう、イメージが湧いてこないと言うか。」
正直に言えば成績はオール3の平々凡々。 どこにでもいる普通の高校生だよ。
「確かに魔法にはイメージが必要だからの。 そう言うことならばしょうがない。 では次じゃ。 お主は動物は好きかの?」
「嫌いではないです。 ただ触れあったりするよりは、見て楽しんでいましたね。 花とかも同じです。」
見ているだけで十分だ。 触ったりして変なことになるよりはずっとまし。
「ふむ、鑑賞が一番近いかの? では次じゃ。 お主は神や妖怪などの、いわゆる非科学的なものは信じる質かの?」
「そうですね。 いるんじゃないですかね? 妖怪も神様も。 というか神様は目の前におられますし。」
「これは一本取られたわい。 では次じゃ。 お主、賭け事は好きかの?」
「遊びでやる程度なら問題ないですが、金銭に飲み込まれるような遊び方はしません。」
そもそも賭け事はあまりやらない主義にしている。 単純に得意じゃないという方が正しいけれど。
「それも堅実で良いの。 では最後じゃ。 お主は次に行く世界で、どのような生き方をしたいと考えておる?」
その最後の質問に俺は考えた。 この選択を間違えれば、自分の身丈に合わない生活が待っている感じがしたからだ。 頭をフルに使って導きだした答えは
「俺は・・・困っている人がいたならば、助けることは出来なくても、手を差し伸べれる人間に生きたいです。 俺にだってやれることの限界はあります。 だからこそ偽善者でも誰かを助けたいと思うのです。」
それが俺が異世界に行ったときにやりたい最大の事。 決して前の世界では出来ないと思っていた事を、次の世界でやってみたい。
「ホッホッ。 やはり転生者の性格は温和に限るわい。 質問はこれで以上・・・と言いたいが、もう一つだけ質問を聞いてもいいかの?」
「なんでしょうか?」
「お主の趣味であるこの「カードゲーム」というのはトランプ等とは違うのか?」
あぁ、その辺りは全知全能って訳じゃないのね。 なぜだか神様の胸腔に親近感を湧きつつ、俺は自分の唯一の趣味であったカードゲームについて説明をした。 カードゲームは奥が深く、様々な会社からルールが異なるカードゲームを広く遊んでいた。 友人達と楽しむのはもちろん、個人的にひっそりとやっているものまで、俺の人生に必要な趣味だと、かけ離すことが出来ないものだと思っている程に嵌まっていた。 それがカードゲームというものだと、神様に説明をしたのだった。
「ふむふむ。 なるほどのぉ。 お主が情熱を持つのも頷ける。 その熱意で、君の行き先が決まった。」
「様々な候補はあったのですが、どうせなら貴方の趣味を全力で楽しめる世界の方が、第二の人生としては良いものになるでしょう。 心配せずともちゃんと説明は致しますので。 その身をお委ねください。 容姿についてはそのままでも違和感なく、新しい世界に馴染めることでしょう。」
いよいよ旅立ちの時のようだ。 正直色々と思い残すことはある。 家族や友人とはせめてもう一声くらいかけていきたかったのだが、声も届かないのならそれはしょうがないこと。 安らかに眠る代わりに俺は第二の人生を始めることにするよ。
「そうじゃ、お主に前世でひとつ言い忘れていたことがあったの。」
まだ意識はある。 なにを言い忘れたのか、しかとこの耳に聞いておかないと。
「お主は死ぬ直前まで自分の命よりも他の命を救おうとし、実際に年端も行かぬ男児を、車から身を呈して守ったのだ。 お主自身はこうして亡くなってしまったが、その男児と周りで見ていた人間からは称賛されるだろう。」
俺の最後までやってきたことは間違いじゃなかったのか。 その言葉に、異世界に行く前なのに涙が出てきた。
「貴方の名前もそのまま受け継いで行きましょう。 向こうについたら改めて説明を致しますよ。 第二の人生を共に歩んでいきましう。 野村 清司さん。」
女神様の言葉に体が光に包み込まれる。 こうして俺は、新たな世界へと旅立つ事となったのだった。
いかがだったでしょうか?
前回の作品が転移だったので、今回は転生という形にしました。
とはいえ今回のプロローグはあくまでも入るための口実なので、本格的な話は次回からとなります。
すぐにでもカードバトルしてくれよと思われる方もいらっしゃるかと思いますが・・・
ごめんなさい。 これが私なりの話の進め方だと、初めての方は理解して貰いたいです。
あまり話が進展しないのもご愛嬌という感覚で見て貰えればと思います。
これからどのくらい続けられるか未知ですが、この小説を宜しくお願い致します。