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古ぼけた喫茶店の店員に雇われたのは、中学校を卒業してからでした。
朝から夕方まで喫茶店で働いて、夜は高校の夜間部へ通う生活を私は送っていました。
家庭の経済的な問題や自分の学力の低さでこの現状なので、色々と思う所があってもどうしようもないのでした。
珈琲の匂いがずっと私の鼻の奥に染み付いて、それに時々イライラしたりもします。
だって珈琲は苦くて美味しくないですから。
仕事は言われたことしか出来なくて、愛想も良くないから店長に今にもクビにされそうでした。
それならそれでいいと思っていましたけど、そうしたら学費や生活費が困ることになるのできびきびと動くようにしました。
愛想良くできない代わりに言葉使いや食器を置く時に所作を柔らかくするように心がけました。
店長は思い直してくれたようで小言が減りました。
高校の夜間部は年齢が様々な生徒がいて友達と呼べる人はできません。
話しかけられたら返すくらいのやり取りぐらいです。
まあ、中学校の時もほぼ全員から居ないものだと思われていたのでその頃から比べたらましな方です。
勉強はとても難しくて先生に授業の後、よく質問しに行きました。
分からないことがなんだか悔しくて、何度か泣いてしまうこともあって先生には申し訳ないと思いますが、せめて高校くらいは卒業しておきたくてそこだけは頑張りたかったのです。
毎日楽しいことは特に無かったです。
働いて勉強して日々は過ぎて行きました。