色々あって、死んだそうです
死後の世界ってのは、随分といい加減らしい。
色々あって死んだ俺の前に、長蛇の列。
係員の呼びかけに従って、最後尾にくっついてから5時間半。
疲れた表情の若い女が、椅子に座りながら俺と対峙。
「転生先での特殊能力なんですけどぉ、何がいいですかぁ?」
気怠そうにそう告げる女。
唐突かつ今更すぎる説明だ。
……しかし、選べるのか。
それなら、パッとしなかった生前とは違う、華やかな━━
「あっ、華やかなのは選択肢にないっす」
え、考えたこと全部聞こえてるの?
……ていうか、それなら「何がいい?」とか聞くなよ。期待しただろ。
「選択肢はぁ……2つっすね」
「何と何ですか?」
「りんごの早剥きとぉ」
「いやいやいや、ちょっと待ってください!
……ショボくないですか?」
「能力のランクは生前の業績に比例するんで」
「………」
悲しい。
まさかこんな形で、今までの自分の人生を否定されると思わなかった。
……仕方ない、もう1つが良いものである事に賭けよう。
「あとは、コンティニューっすね」
「……はい?」
えっと、聞き間違いですか?
なんか、随分とすごそうな能力が聞こえた気がするんですけど。
「死んだ場所で、すぐに生き返れるっていう能力っすけど?」
「やっぱりすごい能力じゃないですか!」
意外と捨てたもんじゃないな、俺!
自分ではパッとしないと思ってたけど、まさかこんなに評価されるんなんて!
「もちろんそれd━━」
「もちろんそれで!」と即答しかけ、思いとどまる。
死んだ場所、というのは現世での死んだ場所なのだろうか?
もし、何回も死の直前に戻され、現世で地獄の苦しみを味わうとかだったら……。
考えただけでも恐ろしい。
「あー、それは大丈夫っす。転生先で、何回でも生き返れます。
同じ死を何度も繰り返す地獄って事はないっすけど━━」
「何回でも!? いわゆる無限コンティニュー!?」
やっぱり、すごい能力じゃないですかねぇ!?
ていうか、これはもうチートでしょ!
りんごの早剥きと並べる能力じゃないでしょ!
「……え、マジこれで良いんすか?」
「もちろんです! コンティニューでお願いします!」
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こうして、俺の異世界生活が始まった。
目を開けると、いかにもなファンタジー空間が目の前に広がっていた。
俺は深く深呼吸した後、最高の気分で大きく伸びをした。
身体中の凝りがほぐれ、痛気持ち良さが全身に広がる。
━━と同時に、いきなり目の前が真っ暗になった。